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3話 リグリッツ・エンデヴァー その2
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「……はあ、あの時のリグリッツ様の言葉は一体……」
ロイド様からの衝撃の婚約破棄から数日が経過していた。私のその間、貴族街の別宅で過ごし、お父様やお母様とも顔を合わせていない。既に執事を通して婚約破棄の話は伝わっているはずだけれど、なんとなく顔を合わせにくかったから。
それに、リグリッツ様の言葉の意味を考えるので頭がいっぱいだったし……。
「確かにリグリッツ様は、私のことを好きだって言ってたわよね……?」
「はい、確かにおっしゃておりました」
メイドであり、幼馴染のレイラもあの場での会話を聞いていた。彼女もしっかりとリグリッツ様の言葉は覚えているようだった。
「そうよね……なぜ、リグリッツ様はあの場であんなことを……」
「……思わず漏れてしまった本音、ではないでしょうか?」
「本音……?」
「はい」
確かに……と、私は顔を赤らめながらも頷いてみせる。あの場でリグリッツ様が心にもないことを言う理由もないし……だとすると、本当に私のことを……? で、でも、私はどうしたらいいのかしら……? 私は気持ちの整理がつかず戸惑っていた。
「……ふう」
「シャロム様は、リグリッツ様の告白はご迷惑なのでしょうか?」
「まさか……そういうことではないけれど……」
迷惑ということはないと思う。ただ、弟のロイド様との婚約破棄が起きた直後だし、冷静に考えることが出来なくなっているのは確かね。
「私が申し上げるのも非常に恐縮なのですが……リグリッツ様のお言葉は本音で間違いはないと思います。以前から、シャロム様を気にかけておいででしたし」
「……」
言われてみれば、確かにそうかもしれない。私とロイド様の婚約が決まった時、真っ先に来てくれたのもリグリッツ様だったし。
「シャロム様、赤くなっていますよ? お顔が」
「ちょ……! 何を言い出すのよ、レイラはっ!」
「実はまんざらでもない……いえ、少し嬉しいのではないですか?」
「へ、変なこと言わないでよ……!」
私はレイラに覆いかぶさるように抱き着き、彼女の言葉を制止する。恥ずかしさから逃れる為の苦肉の策ではあったけれど、私の胸の高鳴りはなかなか収まることはなかった。
ロイド様からの衝撃の婚約破棄から数日が経過していた。私のその間、貴族街の別宅で過ごし、お父様やお母様とも顔を合わせていない。既に執事を通して婚約破棄の話は伝わっているはずだけれど、なんとなく顔を合わせにくかったから。
それに、リグリッツ様の言葉の意味を考えるので頭がいっぱいだったし……。
「確かにリグリッツ様は、私のことを好きだって言ってたわよね……?」
「はい、確かにおっしゃておりました」
メイドであり、幼馴染のレイラもあの場での会話を聞いていた。彼女もしっかりとリグリッツ様の言葉は覚えているようだった。
「そうよね……なぜ、リグリッツ様はあの場であんなことを……」
「……思わず漏れてしまった本音、ではないでしょうか?」
「本音……?」
「はい」
確かに……と、私は顔を赤らめながらも頷いてみせる。あの場でリグリッツ様が心にもないことを言う理由もないし……だとすると、本当に私のことを……? で、でも、私はどうしたらいいのかしら……? 私は気持ちの整理がつかず戸惑っていた。
「……ふう」
「シャロム様は、リグリッツ様の告白はご迷惑なのでしょうか?」
「まさか……そういうことではないけれど……」
迷惑ということはないと思う。ただ、弟のロイド様との婚約破棄が起きた直後だし、冷静に考えることが出来なくなっているのは確かね。
「私が申し上げるのも非常に恐縮なのですが……リグリッツ様のお言葉は本音で間違いはないと思います。以前から、シャロム様を気にかけておいででしたし」
「……」
言われてみれば、確かにそうかもしれない。私とロイド様の婚約が決まった時、真っ先に来てくれたのもリグリッツ様だったし。
「シャロム様、赤くなっていますよ? お顔が」
「ちょ……! 何を言い出すのよ、レイラはっ!」
「実はまんざらでもない……いえ、少し嬉しいのではないですか?」
「へ、変なこと言わないでよ……!」
私はレイラに覆いかぶさるように抱き着き、彼女の言葉を制止する。恥ずかしさから逃れる為の苦肉の策ではあったけれど、私の胸の高鳴りはなかなか収まることはなかった。
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