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97話 デイトナでの戦い その2
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「はああああ!!」
神速の動き……雷電光を身に纏い、デュランは更なる加速を実現してみせた。ハズキも自らに迫る脅威は無視できないものと判断。初めて彼女は移動を開始した。
「取った!!」
「……うっ」
その時、デュランの動きが変則的になった。リファインコマンドにより最適化されていた彼の動きは、ハズキの移動の終着点を読んでいたのだ。すかさず彼女にダブルブレードの一撃をお見舞いした。今までの中でも最高に強烈な破壊力を誇って。
……ハズキの左腕は切り飛ばされていた。
「……凄いわね。ここまでやるなんて……確実に始末する必要がありそう」
腕を落とされたハズキだが、全く動揺している気配はない。それもそのはず、話している間に傷が完治していたのだから。その再生速度にはデュランも言葉が付いて来ない。
「……化け物が……くっ!?」
デュランはどのようにハズキを仕留めればいいのかを考えていたが、当然そんな猶予は与えてくれない。見えざる砲撃……それはデュランを包み込むように連続で行われたのだ。周囲の街並みは軒並み原型を留めないレベルで破壊されていく。
「がっ……!!!」
いかにリファインコマンドで相手の動きを読めるといっても見えざる透過武装の一撃は別問題であった。ハズキ自身の動きと透過武装の攻撃……これらを完璧に計算しつくすのはデュランであっても非常に困難を極める事態なのだから。
完全に避け切れなかったデュランは砲撃の何発かを受けそのまま大きく後方へと弾きとばされた。最早、勝負ありとすら言える状況であろうか。
「あなたは戦いには参加しないのかしら?」
先ほどから様子見を続けているシャルムにハズキは声をかける。彼女は物理攻撃を完全に無効化する霊体化を展開していたのだ。その為にハズキも攻撃を行わず、いつ不意打ちが来ても大丈夫なように警戒はしていたのだが。彼女が攻撃を仕掛けて来る様子はとうとうなかった。
「……デュランだけでは勝ち目が薄いか。まあ、アルノートゥンはわらわとデュランの二人で一つ……こういう事態が来ることは想定はしていたが。ソウルタワーの最上層に行くまで、二人で戦う必要が出て来るとは思わなかったぞ」
アルノートゥン結成以来の事態と言えるだろうか……デュランだけではなく、シャルムも戦闘に参加するというのだ。ハズキはシャルムに焦点を絞った。が、その時……
「!!」
彼女の後方から凄まじい勢いの剣閃が襲って来たのだ。ハズキは咄嗟に両腕でガードしたが深く抉られてしまった。満身創痍なデュランの不意打ちだ。ハズキとしても意外な攻撃と言わざるを得なかった……なぜならば彼は一対一を好むと考えていたからだ。
「シャルムが参加するか……ならば共闘と行こう」
「うむ、足を引っ張るなよ」
「こっちの台詞だ」
「……そういうこと……」
これはハズキの読みが甘かったと言えようか……事実上の年齢で言えば彼女は1年も生きていない。デュランの考えを見抜くには少しばかり経験が足りていなかったのだ。実際の彼は戦闘狂であり一人で戦うことを好む一方、その時の戦局に合わせて柔軟に思考を変化させることができる人物だったのだ。
場合によってはシャルムと共闘することも厭わない。
「傷が完治するまで3秒程度……ここいらで勝負に出るとしようかの」
シャルムはハズキの両腕が完治する3秒間の間に決着を付けようと考えた。どのみち長期戦になれば勝ち目はないのだから……。この3秒間はいくらハズキといえども完璧なポテンシャルの発揮はできない。
前後からレドンド以上の実力者がそれぞれ同時に攻撃を仕掛けて来ている……。
「く……!」
読みを誤ったがゆえに負ってしまった両腕の負傷……それと同時に展開されるコンビネーション抜群のアルノートゥンの二人がかりの攻撃……ハズキは無意識の内に透過武装で両方に攻撃を仕掛けていたが……霊体化状態のシャルムには通用しなかった。デュランを吹き飛ばすことには成功したが。
「か、身体が……動かない……!?」
「わらわが発揮できる最大限の呪縛じゃ。流石に簡単に脱出は不可能じゃろう?」
シャルム呪縛攻撃により、ハズキは全身を麻痺させられてしまった。傷自体は完治した彼女だが、そのまま地面に倒れこんでしまう。
「やれやれ……一応は勝負ありといったところかの? デュラン、生きておるか?」
「……全身の骨がボロボロだ……内臓も破裂している。回復には時間を要するな……」
「おんしがそこまでボロボロになるとはの……本当に恐ろしい相手じゃった。タイミングが違えば二人がかりでも殺されていたかもしれぬ」
「……ふん……」
デュランとしては不満があるようだが、シャルムの考えに同調しているようでもあった。それほどまでの強敵を相手にしていたという自覚があるのだろう。
「……智司さま……申し訳ありません………」
ある意味ではデュランを犠牲にした特攻作戦と言えるだろうか? 身体の自由を奪うことには成功したシャルムだが、ハズキはダメージを負っていない。アルノートゥンの二人がかりでようやく仕留めることに成功した相手と言えた。
……ハズキのまさかの敗北。この情勢は智司達にとってどういったことを生み出すのか……。
神速の動き……雷電光を身に纏い、デュランは更なる加速を実現してみせた。ハズキも自らに迫る脅威は無視できないものと判断。初めて彼女は移動を開始した。
「取った!!」
「……うっ」
その時、デュランの動きが変則的になった。リファインコマンドにより最適化されていた彼の動きは、ハズキの移動の終着点を読んでいたのだ。すかさず彼女にダブルブレードの一撃をお見舞いした。今までの中でも最高に強烈な破壊力を誇って。
……ハズキの左腕は切り飛ばされていた。
「……凄いわね。ここまでやるなんて……確実に始末する必要がありそう」
腕を落とされたハズキだが、全く動揺している気配はない。それもそのはず、話している間に傷が完治していたのだから。その再生速度にはデュランも言葉が付いて来ない。
「……化け物が……くっ!?」
デュランはどのようにハズキを仕留めればいいのかを考えていたが、当然そんな猶予は与えてくれない。見えざる砲撃……それはデュランを包み込むように連続で行われたのだ。周囲の街並みは軒並み原型を留めないレベルで破壊されていく。
「がっ……!!!」
いかにリファインコマンドで相手の動きを読めるといっても見えざる透過武装の一撃は別問題であった。ハズキ自身の動きと透過武装の攻撃……これらを完璧に計算しつくすのはデュランであっても非常に困難を極める事態なのだから。
完全に避け切れなかったデュランは砲撃の何発かを受けそのまま大きく後方へと弾きとばされた。最早、勝負ありとすら言える状況であろうか。
「あなたは戦いには参加しないのかしら?」
先ほどから様子見を続けているシャルムにハズキは声をかける。彼女は物理攻撃を完全に無効化する霊体化を展開していたのだ。その為にハズキも攻撃を行わず、いつ不意打ちが来ても大丈夫なように警戒はしていたのだが。彼女が攻撃を仕掛けて来る様子はとうとうなかった。
「……デュランだけでは勝ち目が薄いか。まあ、アルノートゥンはわらわとデュランの二人で一つ……こういう事態が来ることは想定はしていたが。ソウルタワーの最上層に行くまで、二人で戦う必要が出て来るとは思わなかったぞ」
アルノートゥン結成以来の事態と言えるだろうか……デュランだけではなく、シャルムも戦闘に参加するというのだ。ハズキはシャルムに焦点を絞った。が、その時……
「!!」
彼女の後方から凄まじい勢いの剣閃が襲って来たのだ。ハズキは咄嗟に両腕でガードしたが深く抉られてしまった。満身創痍なデュランの不意打ちだ。ハズキとしても意外な攻撃と言わざるを得なかった……なぜならば彼は一対一を好むと考えていたからだ。
「シャルムが参加するか……ならば共闘と行こう」
「うむ、足を引っ張るなよ」
「こっちの台詞だ」
「……そういうこと……」
これはハズキの読みが甘かったと言えようか……事実上の年齢で言えば彼女は1年も生きていない。デュランの考えを見抜くには少しばかり経験が足りていなかったのだ。実際の彼は戦闘狂であり一人で戦うことを好む一方、その時の戦局に合わせて柔軟に思考を変化させることができる人物だったのだ。
場合によってはシャルムと共闘することも厭わない。
「傷が完治するまで3秒程度……ここいらで勝負に出るとしようかの」
シャルムはハズキの両腕が完治する3秒間の間に決着を付けようと考えた。どのみち長期戦になれば勝ち目はないのだから……。この3秒間はいくらハズキといえども完璧なポテンシャルの発揮はできない。
前後からレドンド以上の実力者がそれぞれ同時に攻撃を仕掛けて来ている……。
「く……!」
読みを誤ったがゆえに負ってしまった両腕の負傷……それと同時に展開されるコンビネーション抜群のアルノートゥンの二人がかりの攻撃……ハズキは無意識の内に透過武装で両方に攻撃を仕掛けていたが……霊体化状態のシャルムには通用しなかった。デュランを吹き飛ばすことには成功したが。
「か、身体が……動かない……!?」
「わらわが発揮できる最大限の呪縛じゃ。流石に簡単に脱出は不可能じゃろう?」
シャルム呪縛攻撃により、ハズキは全身を麻痺させられてしまった。傷自体は完治した彼女だが、そのまま地面に倒れこんでしまう。
「やれやれ……一応は勝負ありといったところかの? デュラン、生きておるか?」
「……全身の骨がボロボロだ……内臓も破裂している。回復には時間を要するな……」
「おんしがそこまでボロボロになるとはの……本当に恐ろしい相手じゃった。タイミングが違えば二人がかりでも殺されていたかもしれぬ」
「……ふん……」
デュランとしては不満があるようだが、シャルムの考えに同調しているようでもあった。それほどまでの強敵を相手にしていたという自覚があるのだろう。
「……智司さま……申し訳ありません………」
ある意味ではデュランを犠牲にした特攻作戦と言えるだろうか? 身体の自由を奪うことには成功したシャルムだが、ハズキはダメージを負っていない。アルノートゥンの二人がかりでようやく仕留めることに成功した相手と言えた。
……ハズキのまさかの敗北。この情勢は智司達にとってどういったことを生み出すのか……。
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