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69話 攻防戦 その2
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「はあああああ!!」
アビサル・ノックスのダブルブレードによる剣撃。それは現賞金首ランキング1位の座に相応しいものであった。一振りで周囲の民家を両断している。既に10を越える家が無残に破壊されていた。
「無駄に自然破壊してるんじゃねぇよ」
「人工建築物だろう? それよりも、そうやって避け続けるのは理由があるのかな?」
アビサルの攻撃力の高さを警戒してか、デュランは距離を置いて戦っていた。自ら攻撃をする気配を見せていない。
「そう言えば、アルノートゥンにはもう一人メンバーが居るだろ?」
「シャルムか。安心しろ、この場には居ない」
「はははっ、2対1なら勝てたかもしれないのに、残念だったね」
アビサルは高笑いをしていた。自らの攻撃を避けているデュランの動きを見て、勝ちを確信しているのだ。デュランは予想外の言葉に思わず吹き出しそうになっている。
「くっ、ふはははははは」
「なにがおかしいのかな?」
「いやいや……俺とシャルムの二人で戦う状況を想定していたことに対してだ。大した自信家だと思ってな」
デュランは鬼のような顔を歪ませ、めずらしく本気で笑っていた。余程、滑稽に映っていたのか。
「自信家だと……? 現にお前は俺っちの攻撃をガードしていない。最早、勝ちは目前だ」
「……レッドドラゴンを相手にしても、俺とシャルムの二人攻撃は必要としなかったんだがな」
「……なんだと?」
レッドドラゴン……とんでもない魔物の名前が出たような気がした。思わず、アビサルは聞き返してしまう。
「俺が800階層で倒した魔物の名前だ。貴様も文献で読んだことくらいはあるだろう?」
「バカな……そんなわけが……」
伝説のレッドドラゴン……竜族の中でも一番有名な存在だろう相手。アビサルも知らないわけがなかった。アルビオン王国が誕生する前に生息していた化け物を倒せる人間が居るなど考えられない。
「……ハッタリはよせ……」
「ハッタリに聞こえるのか?」
デュランから流れ出る闘気……先ほどまでとは別人であった。その闘気はレッドドラゴンを倒したというのが、まんざら嘘ではないと思わせる程に力強い。
「後ずさりしたな?」
「えっ……?」
ほんの少しの後ずさり……アビサルの挙動をデュランは見逃さなかった。彼は相手の闘気に恐れおののき、無意識の内に後退していたのだ。
「……勉強させてやろう」
デュランは静かに二本の剣を構える。最早、勝利を確信しているのはデュランの方だ。
「敵に対して恐怖し、後ずさりした者に勝ち目はない。その時は素直に逃げを選択するんだな」
「……くっ!」
「無駄だ。必要はなかったが、貴様の動きはリファインコマンドで解析済み。もう俺に攻撃が当たることはない……。関係ない家々が破壊されるのも本意ではない、死んでもらおうか」
デュランは構えを取っているアビサルの動きなど、まるで脅威に感じていなかった。どんな攻撃が来ようとも受け流せるからだ。そもそもリファインコマンドを使うまでもない相手ではあったが。猛スピードでアビサルに接近し、攻撃を繰り出した。
「ぬああああ!」
「ふんっ!」
アビサルは迎撃態勢を整え、全力でカウンターの一撃を披露した。しかし、天に向けてその攻撃は受け流され、彼の身体は複数のパーツに分かれることになってしまった。
「弱い……賞金首連中はこの程度か? あとは仮面の道化師に期待ってところか」
即死したアビサルには一切の興味を持っていないデュラン。アビサルの健闘も虚しく、デュランの興味は仮面の道化師へと移っていた。
---------------------------
「ああ……やはり、こちらに戦力を集中させていたか」
その頃、ソウルタワーの麓付近では……ジープロウダのメンバーが集まっていた。それと相対しているのは智司たちだ。
「お頭……天網評議会のメンバーも居るみたいだよ」
シスマはサラの存在に気付いたのか、そのように告げる。隣に立つ無口なメンフィスも頷いていた。
「わかっている。しかしそれよりも……気を付けるべきは彼だな」
ラーデュイは冷静に智司を指差していた。彼の実力を一目で見抜き、相手側の面子の中で一番腕が立つと悟ったのだ。
「智司、大丈夫か?」
「あれがラーデュイ……」
ネリスの不安な言葉が智司に伝わって来た。智司もラーデュイの方向を見ている。自分が負ける相手には見えないが……それ以前にそこまでの実力者には見えない。
「でも何かを感じさせる……。最初から本気でいこうかな」
智司はそう言って魔神の剣を取り出した。人間状態での全力状態……彼は最初から、本気で敵を潰そうと考えたのだ。ソウルタワー攻防戦も幕を開けた。
アビサル・ノックスのダブルブレードによる剣撃。それは現賞金首ランキング1位の座に相応しいものであった。一振りで周囲の民家を両断している。既に10を越える家が無残に破壊されていた。
「無駄に自然破壊してるんじゃねぇよ」
「人工建築物だろう? それよりも、そうやって避け続けるのは理由があるのかな?」
アビサルの攻撃力の高さを警戒してか、デュランは距離を置いて戦っていた。自ら攻撃をする気配を見せていない。
「そう言えば、アルノートゥンにはもう一人メンバーが居るだろ?」
「シャルムか。安心しろ、この場には居ない」
「はははっ、2対1なら勝てたかもしれないのに、残念だったね」
アビサルは高笑いをしていた。自らの攻撃を避けているデュランの動きを見て、勝ちを確信しているのだ。デュランは予想外の言葉に思わず吹き出しそうになっている。
「くっ、ふはははははは」
「なにがおかしいのかな?」
「いやいや……俺とシャルムの二人で戦う状況を想定していたことに対してだ。大した自信家だと思ってな」
デュランは鬼のような顔を歪ませ、めずらしく本気で笑っていた。余程、滑稽に映っていたのか。
「自信家だと……? 現にお前は俺っちの攻撃をガードしていない。最早、勝ちは目前だ」
「……レッドドラゴンを相手にしても、俺とシャルムの二人攻撃は必要としなかったんだがな」
「……なんだと?」
レッドドラゴン……とんでもない魔物の名前が出たような気がした。思わず、アビサルは聞き返してしまう。
「俺が800階層で倒した魔物の名前だ。貴様も文献で読んだことくらいはあるだろう?」
「バカな……そんなわけが……」
伝説のレッドドラゴン……竜族の中でも一番有名な存在だろう相手。アビサルも知らないわけがなかった。アルビオン王国が誕生する前に生息していた化け物を倒せる人間が居るなど考えられない。
「……ハッタリはよせ……」
「ハッタリに聞こえるのか?」
デュランから流れ出る闘気……先ほどまでとは別人であった。その闘気はレッドドラゴンを倒したというのが、まんざら嘘ではないと思わせる程に力強い。
「後ずさりしたな?」
「えっ……?」
ほんの少しの後ずさり……アビサルの挙動をデュランは見逃さなかった。彼は相手の闘気に恐れおののき、無意識の内に後退していたのだ。
「……勉強させてやろう」
デュランは静かに二本の剣を構える。最早、勝利を確信しているのはデュランの方だ。
「敵に対して恐怖し、後ずさりした者に勝ち目はない。その時は素直に逃げを選択するんだな」
「……くっ!」
「無駄だ。必要はなかったが、貴様の動きはリファインコマンドで解析済み。もう俺に攻撃が当たることはない……。関係ない家々が破壊されるのも本意ではない、死んでもらおうか」
デュランは構えを取っているアビサルの動きなど、まるで脅威に感じていなかった。どんな攻撃が来ようとも受け流せるからだ。そもそもリファインコマンドを使うまでもない相手ではあったが。猛スピードでアビサルに接近し、攻撃を繰り出した。
「ぬああああ!」
「ふんっ!」
アビサルは迎撃態勢を整え、全力でカウンターの一撃を披露した。しかし、天に向けてその攻撃は受け流され、彼の身体は複数のパーツに分かれることになってしまった。
「弱い……賞金首連中はこの程度か? あとは仮面の道化師に期待ってところか」
即死したアビサルには一切の興味を持っていないデュラン。アビサルの健闘も虚しく、デュランの興味は仮面の道化師へと移っていた。
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「ああ……やはり、こちらに戦力を集中させていたか」
その頃、ソウルタワーの麓付近では……ジープロウダのメンバーが集まっていた。それと相対しているのは智司たちだ。
「お頭……天網評議会のメンバーも居るみたいだよ」
シスマはサラの存在に気付いたのか、そのように告げる。隣に立つ無口なメンフィスも頷いていた。
「わかっている。しかしそれよりも……気を付けるべきは彼だな」
ラーデュイは冷静に智司を指差していた。彼の実力を一目で見抜き、相手側の面子の中で一番腕が立つと悟ったのだ。
「智司、大丈夫か?」
「あれがラーデュイ……」
ネリスの不安な言葉が智司に伝わって来た。智司もラーデュイの方向を見ている。自分が負ける相手には見えないが……それ以前にそこまでの実力者には見えない。
「でも何かを感じさせる……。最初から本気でいこうかな」
智司はそう言って魔神の剣を取り出した。人間状態での全力状態……彼は最初から、本気で敵を潰そうと考えたのだ。ソウルタワー攻防戦も幕を開けた。
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