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9話 強盗集団 その1

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「えっ? 智司の奴、捜索願いとか出てんの?」

「そうなのよ! ちょっと、やばくない……!?」

 ハズキにこてんぱんにやられた隆也は、いまいち反応が鈍い。しかし、美由紀の驚きようは尋常ではなかった。ただ、単純に騒ぎ立てているというよりは、智司のことを気遣っているようにも感じられたが。

「はあ……不味いな」

 現在、彼らは近くのコンビニに入って時間を潰している。適当に買い物でもしようというのだが……智司の心は平穏ではなかった。彼らに自らの現状をどのように説明すればいいのかわからないからだ。下手に自由にしては、警察に駆け込まれる恐れがある。

 智司からすれば警察など恐れる相手ではないが、無用な争いは避けたいと考えていた。


「はあ……ハズキ、早く帰って来ないかな……」


 背後から美由紀と隆也の視線を強烈に感じている智司は、相当に居心地が悪かった。雰囲気的に、自分がいじめられることはないと悟っていたが、気分の良いものではない。

 先ほどの美由紀からの質問は適当に受け流したが、いつ、確信に迫るような質問が再会されるかわからないからだ。そう何度も上手く受け流せる自信は彼にはなかった。

 と、その時だ……。コンビニの中に入って来る者が居た。智司は一瞬はハズキかと視線を向けたが……。


「おい! 動くんじゃねぇぞ、てめぇら!」

「えっ、なに……!?」

 入って来た者達の異様な雰囲気に、美由紀は真っ先に声を上げた。隆也も狼狽えていたが、智司は冷静にその者たちを見守っている。

 覆面をした男達は3名だ……手には本物の銃と思わしき武器を持っている。最初はコンビニ強盗か? と感じた智司ではあるが、それにしては明らかに重装備だ。

「おいおい……コンビニに入って大丈夫なのか……!?」

「うるせぇ……! 警察の奴から逃げるにはこうするしかねぇだろ!」

 男達は店員や客に向けて銃を向けながら、自由に話している。その話声と共に聞こえて来るのは、パトカーのサイレンの音だ……。智司は特に注意していなかったが、そういえばカラオケを終えた辺りから鳴っていた気はしていた。

「な、なんですか……あなた達は……!」

「うるせぇ、黙れ! てめぇらは人質だ!」

 彼らに話しかけた店員を、男の一人が銃で殴りつけた。相当に危険な3人組と言えるだろう。逆らえば、すぐに銃を放つ可能性すらある。

「兄貴……銀行強盗したのはいいですが……逃げられるんですかい!?」

「安心しろよ、ここの客達を人質にして上手く交渉してやる。任せときな」

 3人組の男達はあっさりと正体を明かした。銀行強盗犯……日本中で、もっとも危険な存在と言えるかもしれない相手だ。智司は怯える二人を傍目に、3人の強盗犯を静かに見据えていた。
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