官能小説に恋をして!

藤丸セブン

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後編

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 <六章って本気(マジ)ですの?>
 
「初めは一話完結のつもりだったんですの。でも長くなりそうだから二話完結に変えたんですの。そうしたら四章がべらぼうに長くて、結局三話構成になりましてよ」
「な、何の話?」
「気にしたら負けだよショコリン。私はもう慣れたぜー」
 五章から一週間後。本日は遂にみんなで書いた官能小説を発表する時間だ。
「ちなみに官能小説は音読して貰いますわ」
「ふぇぇ!?」
「地獄かな?」
「だって普通に読んでもつまらねぇですわ!作者は自分の小説を友人に音読させる事を生き甲斐にしてますのよ!?」
 そんなもん生き甲斐にしてねぇよ!?あれはあいつが、いや。もういいよ。また長くなる。
「という訳で。トップバッター!我こそはという人は名乗り出るといいですわ!!」
 ギラギラとした目で話す澤。さぞこの会を楽しみにしていたのだろう。
「そうでもありませんわ」
 ・・・あそう。
「では。不詳この私が一番槍を務めよう」
「流石冬三さんですわ!!」
 初めに官能小説を読むのは冬三に決定した。注意!ここからは少し過激な表現が含まれます。官能小説ですので。予めご了承ください。
 
 純愛  坂本冬三
 私は彼に恋をしている。彼の名前は奥田蓮。彼はイケメンという訳でもなければ勉強ができる訳でも
「あ、入りとかは要らないので濡れ場だけお願いしますわ」
「調子狂うなぁ。いつメンの中では私がボケ担当なのに」
 慣れた、と口では言っていてもこの女に慣れることは出来ない。だって変人だもの。気を取り直して冬三は濡れ場を読み始めた。
 
「蓮くん。私我慢出来ないの」
「え?花梨!?」
 雨に濡れた体をそのままに花梨は蓮をベットに押し倒す。花梨の火照った頬や体を目にした蓮は息を呑む。
「こういうのは雰囲気とかを大切に」
「今、いい雰囲気じゃない?」
 時刻は夜。家には誰もおらず、お互いが火照っている。確かに初夜には絶好のシチュエーションだ。
「蓮くん」
 花梨は愛しい人の名前を呼び自分の唇を蓮の唇に。
 バリィィィイン!!!そんな時!突然蓮の家の窓が破られた!
「フハハハハハ!ようやく見つけたぞ魔法少女カリリン!さあ今日こそ決着を」
「カァァァァット!!!」
 
「何だよぉ。せっかく盛り上がってきたのに」
「こっ!これ!官能小説だよね!?何で急に窓が破られるの!?何魔法少女って!!何なの!?ねぇ何なの!?」
 不貞腐れる冬三に翔子が食ってかかる。その頬は赤く染まっておりよく見ると涎を拭った跡が見える。嗚呼、やはりムッツリなのだなぁ。
「いや。レンレンが好きな魔法少女アニメ見てたら私も書きたくなって。ほら、私って脚本書くとどんなジャンルでも戦闘物になるだろ?」
「し、知らないよ!?それに奥田蓮と桜沢花梨って冬三ちゃんのお友達だよね!?実名使ってるじゃん!!ちゃんと許可取ったの!?」
「いや、どうすれば読者に他の短編と繋がってるよーって気づいてもらえるか考えたんだけどさ。やっぱり名前をそのまま載せた方が伝わるかなと思って」
 おい冬三ぃ!お前までメタ発言するなぁ!取り返しが付かんくなる!
「感動作でしたわ。では次。翔子さん」
「ええ!?あれで終わり!?それで私ぃ!?」
「別にラストでもいいですけれどプレッシャーパナイですわよ」
「うっ」
 澤にそう言われて翔子は原稿を取り出す。こう言えば翔子が折れることは分かっていた。
「じゃ、じゃあ読みます」
「はよ!はよ!ですわ!」
 恥ずかしそうに、しかしどこか嬉しそうに原稿を読み出す翔子。
 
 私を染めて 菅野翔子
 私
「あ、濡れ場だけでお願いしますわ」
「ぅぅぅ。せめてちゃんと読んで欲しいよぉぉ」
 またしても気を取り直して続ける。
 
「お願い。キて」
 女が男の耳元でそう囁く。その囁きは男の理性を消し飛ばすには充分な刺激だった。
「我慢しなくてもいいんだな」
「そう言っているでしょ?貴方色に、私を染・め・て♡」
 男が最後の砦の下着を脱ぎ、男の剣が顔を出す。その剣は平均男性と比べるとかなりの大きさだ。
「あら♡さ、おいで」
 男は勢いに任せて自らの生命の剣を女の湖に
「ドエッチですわぁぁぁぁぁぁ!!!」
 
「ドエッチですわ」
「賢者モードになってる?まあ、確かに想像以上にエッチだった」
「え、えへへへ。そうかな」
 嬉しそうに笑う翔子と疲れた様な顔をして座る澤と冬三。やはりムッツリ。ムッツリかぁ。作者もう逆にムッツリ好きになってきたよ。ムッツリ万歳。
「でも所々変な所がありましたわね。剣とか泉とか。普通にち⚪︎ことかま○ことかって書けばいいですのに」
「規制されちゃうよぉ!!」
「私達しか読まないのに規制なんか気にする必要ないだろ」
 いや。サイトに載せるつもりなんで。規制気にしてくれてありがたいっす。兎にも角にも、翔子の発表は終わりだ。
「さて、ではラストと行こうか」
「ふふん。任せるといいですわ」
 澤は自信満々に立ち上がり!
「ありませんわ」
 と言い放った。
「・・・えっと、忘れてきたって事?」
「いいえ。書いてませんの」
 先程や前回の自信は何だったのか。澤は自信満々に書いていない事をアピールする。
「え?だって澤ちゃん。官能小説に恋したって」
「冷めましたわ。ワタクシ恋は熱しやすく冷めやすい体質ですの。皆さんが盛り上がってる間にワタクシは割と冷めてましたわ」
 三人の間に沈黙が流れる。その沈黙の時間はおよそ十分程度。初めて口を開いたのは澤だった。
「じゃ。お開きとしましょうか」
 開幕一言目がこれとは。救いようがない。
「澤ちゃん」
「何ですのー?」
「歯を食いしばって」
 翔子が笑顔で、血管むき出しの笑顔で力強く拳を握っていた。
「ちょっと!ショコリン!暴力はダメだ!気持ちは分かるが!暴力はいけない!」
「そうですわ!いくら翔子さんがムッツリでワタクシの官能小説で興奮しまくって涎ダラダラ垂らしたかったからって暴力はダメですわ!」
 その言葉が、翔子の逆鱗に触れた。
「ぶらぁべぇぁぁぁぁ!?」
 翔子の怒りに満ちた渾身の拳が、澤の顔面を捉えた。澤はブサイクな顔で悲鳴をあげ、部室の壁に衝突した。
「さ、帰ろ。冬三ちゃん」
「あ、ああ。そうだねぇ」
 こうして官能小説発表会は幕を閉じた。
 
 <エピローグですわ>
 騒動が起こった発表会から一週間が経過したある日。その日にはもう翔子の怒りは消えていたらしく、いつも通りの部活動を行っていた。そのタイミングで。そのタイミングを狙って。市谷澤は呟いた。
「エロ漫画が書きてぇですわ」
「・・・・・・・ふぇぇ?」
「エロ漫画が書きてえんですわ!!!ワタクシ!エロ漫画に恋をしたのですわ!!」
「もう!いい加減にしてぇぇーーー!!!」
 
 官能小説に恋をして!   完!!!
 
 
「読んでくださってありがとうございましたわ!!今回の小説でワタクシと翔子さん以外のキャラが分からない!という人は作者の他の短編小説をお読みになって下さいまし!!それでは!またお会いできる事を心より祈っておりますわ!!!ごーきーげーんーよーぉーー!!!!!!!」
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