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☆第二章 変調は運動能力で知った☆
しおりを挟むタロの歩き方がおかしくなってきた事に気づいたのは、母でした。
ご存じのように、猫はつま先で歩く動物ですが、その歩き方が、なんだか弱々しくなっていったそうです。
ピンと伸びたつま先立ちが、次第に足首が伸びない感じになって、やがて踵をつけて歩くようになりました。
こうなると、後ろから見なくても歩き方が酔っ払いの人みたいで、いかにも変調だなと感じます。
ただ、既に十年近く生きているので、年を取っただけなのかもと、私は感じてもおりました。
しかしある夜、冬になると浴槽の淵へジャンプしてお湯を飲んでいたタロが、見上げただけで、ジャンプを諦めた瞬間を、母が目撃したそうです。
翌日、母と一緒に病院へと連れてゆき、先生に診て戴きました。
猫は腎臓が弱い生き物なので、そちらの病気を疑いました。
処方された薬を与えても症状が改善されず、先生に紹介して頂いた「高度医療センター」という施設で、診てもらう事になりました。
高度医療センターというのは、動物専門の人間ドッグのような感じでしょうか。
かかりつけの獣医の先生に紹介されて連絡していただく事で、予約をとって、診察していただける施設です。
入院設備はありますが、飛び込みで伺っても診ていただけないようです。
逆に言えば、獣医の先生に紹介していただいてここで診て入院となった場合、それは本当に危険な状態、という事です。
診察結果は、家族と獣医の先生に伝えられて、治療はかかりつけの獣医さんで。という流れになります。
私と母が、予約の朝に医療センターへとタロを連れてゆき、診察していただくこと、約八時間。
結果として、腎臓の心配はなかったのですが、糖尿病と解ったのです。
この時のタロの血糖値は、なんと六百を超えてました。
猫の血糖値の平均が百~百五十くらいとの事なので、六百という数値がどれほど大変な事態なのか、解って頂けると思います。
医療センターの先生も、もう少しで即入院でしたと仰ってました。
こうして、私たち家族に結果を知らされ、タロを連れて帰宅しました。
そして翌日、再び獣医の先生に診て戴き、糖尿病との闘いが始まるのです。
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