虐待ふたなり機械少女は地下世界でマフィアの女王となる

ハヤイもち

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1章

第5話 世界、不安、恐怖

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「およそ1千年前、私たちの祖先は地表という地球表面で暮らしており、
その頃は常に猛毒な放射線にさらされ、竜巻、地震、台風など様々な自然災害に
見舞われており・・・」

教師の言葉に合わせて、電子黒板の映像が移り変わっていく。
宇宙から降り注ぐ放射線により、癌や中毒などの様々な症状で苦しむ人々の様子。
建築物が模型かと思われるほど巨大な竜巻が街を襲う様子。
大地の揺れによって建物がおもちゃのように粉々になってしまった様子。

レイカはノートを取りながら、
それを興味なさげに流し見していた。

「なんで我々の祖先はそんな危ない場所に暮らしていたんですか?」

生徒の一人が教師に質問した。

「いい質問だ。なぜ、彼らは危険だとわかっていながら地表で暮らし続けたのか。
それは彼らが地下の世界を知らなかったからだ」

「しかし、祖先は海底探索や南極の巨大洞窟探査などやっていたと聞いています。
そこでどうして地下への入り口を見つけられなかったのでしょうか?」

「・・・うむ。おそらく地下世界を見つけていた人もいただろう。しかし、
彼らの多くはその存在に対して蓋をした、それは不安や恐怖からだ。
未知のものに対する恐怖がそれ以上先に進むことをあきらめた。
祖先は地下世界の入り口で想像しうる恐ろしいものの前に足がすくんだ。
慣れ親しんだ地表での生活を望んだ。
そして地表こそが唯一の楽園だと信じようとした。
だが蓋を開けてみれば恐ろしいものなどこにも存在しなかった。
それだけだ」

「ではどうして祖先は一度蓋をした地下世界に再び行こうと思ったのですか?」

「必要に駆られたからだ。
地表に住んでいられなくなったからだ」

ちょうど授業の終わりの鐘が鳴った。

「それでは今日はここまで。
明日”星”の観察記録の提出期限だから忘れないように」


「うわっ、まじ」


教師の言葉に隣にいたアンナが声を上げた。

「あれ一週間ずっと観察じゃん。今からじゃ間に合わないよ、
ねぇレイカ悪いけど…」
「やだ」

こそこそレイカに話しかけたアンナに冷めた視線で返す。

「ひどっ、親友の頼みじゃん」
「やってなかったあんたが悪い」

どうせ大した罰もないのだ。
アンナが嫌がっているのはそれが施設長にチクられて
ぐちぐちと長い説教されることだ。
ちょっと我慢すればすぐ終わる。一時間くらい。
わたしは施設長に説教なんて絶対嫌だけど。
レイカは心の中で思った。

「わたしじゃなくて、ほかの人に課題見せてもらえば?」
「いや、あんたのが一番出来がいいじゃん」
「そう、じゃあ、余計見せない」

レイカはカバンにさっさと教科書類をしまうと、
教室を出ていく。
途中で何人か男子に声をかけられたが、それも無視する。

レイカはこんなことをしている暇はないのだ。
彼に会わなくては。早く、早く早く早く。
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