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2章 ユウトの開発日記
12歳の頃の忘れられないトラウマ
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※※※ここからユウト視点※※※
熱に浮かされた顔で俺を見下ろす瞬を見た時、
俺は再び絶望した。
思えば俺が男を惑わすようなこんな体になってしまったのは
あの時からだ。
忘れもしない。
小学校6年生の夏。
あの時から俺の人生は狂いだしたのだ。
※※※
「じゃ、またな」
「明日は水着忘れんなよ、ドジ」
「わかってるよ!」
シュンは本当に嫌な奴だ。
とユウトはいつも思っている。
同じ年で頭がよくて、足も速くて、
そして何事に対しても冷めている。
そして認めたくないが顔がかっこいい。
それの何がいいのか
クラスの女子にはクールとかかっこいい
とか言われている。
それに引き換え、俺はあがり症で
勉強もできなくて、ドジですぐ転ぶし、
ちょっと失敗するとすぐ涙が出る。
カッコ悪いって言われる。
そして意地悪なシュンは、ことあるごとに
俺のことをバカにするから、泣きたくないのに
悔しくて勝手に涙が出る。
大嫌いで関わりたくないのに、同じクラスだし、
隣の席だし、同じ生物係だし、俺が何もしなくても
俺にちょっかいかけてくるから、本当に嫌い。
家に帰ったら、先日買ったゲームしようとわくわくしていい気分だったのに、
シュンに俺が今日水泳の時間で水着を忘れたことをからかわれて、すごく
嫌な気持ちになった。
恥ずかしかった思いがぶり返してきて、
かあっと顔が赤くなる。
また目に涙の膜が張って、それをシュンにみられるのが嫌で
俺は走って教室を出た。
※※※
「うーん、うーん」
いつもは通らない道を走っていって、いつの間にか知らない公園に立っていた。
ちょうど公園に差し掛かったところで、40代くらいのおじさんが
ベンチに座って唸っているのを見つけた。
…体調悪いのかな。
知らない人に話しかけちゃいけないと言われているけど、
困っている人を見つけたら、助けないといけないとも教えられてるので
どうしたらいいんだろうと困った。
「うーん、うーん」
でももし、病気とかだったら。
俺は自分が風邪をひいて本当に苦しかったことを思い出して、
おじさんに声をかけることにした。
「おじさん、どうしたの?苦しいの?」
俺が声をかけるとおじさんは俺の方を向いて、ちょっと笑った。
その笑顔がちょっと気味悪かったのを覚えている。
でもすぐにまた苦しそうな顔になって。
「おじさん、腹が痛くて立てないんだ。でもあっちに車止めてるから
そこまで行って休みたいんだけど・・・・。」
やっぱり体調が悪かったんだな。
無視したら、ひどい奴になるところだった。
「じゃあ、お父さん呼んでくるから、お父さんにおんぶしてもらって
車まで行こう?」
「いや、君が肩を貸してくれたら立てるから。本当に頼むよ。
車に薬が置いてあるんだ、今すぐ薬を飲まないといけないんだ」
「わかった。じゃあ行こう。立てる?」
「うん、ありがとう」
車に着くと、オジサンがカギを開けた。
「じゃ、俺、行くね」
「ごめん、ちょっと苦しくて動けないんだ、
後ろの席の鞄に薬が入っていると思うから探してくれないか?」
知らない人の車に乗るのが嫌だなって思ったけど、
苦しそうなおじさんを見て、助けないとと思って、
俺はワゴン車の後部座席に乗り込んで、鞄を探してあげることにした。
「鞄がいっぱいでわかんないよ。どこ?」
後部座席は荷物がたくさんあって、鞄も何個かあってどれが
おじさんが言っている鞄かわからなくて、後ろを振り向いて聞こうとした。
「むぐっ」
後ろを向いた瞬間、大きな体に後ろからぎゅっと強く抱きしめられて
口を大きな手で覆われた。
びっくりして動けないでいると、おじさんは俺を抱きしめたまま
体で車の扉を閉めた。
熱に浮かされた顔で俺を見下ろす瞬を見た時、
俺は再び絶望した。
思えば俺が男を惑わすようなこんな体になってしまったのは
あの時からだ。
忘れもしない。
小学校6年生の夏。
あの時から俺の人生は狂いだしたのだ。
※※※
「じゃ、またな」
「明日は水着忘れんなよ、ドジ」
「わかってるよ!」
シュンは本当に嫌な奴だ。
とユウトはいつも思っている。
同じ年で頭がよくて、足も速くて、
そして何事に対しても冷めている。
そして認めたくないが顔がかっこいい。
それの何がいいのか
クラスの女子にはクールとかかっこいい
とか言われている。
それに引き換え、俺はあがり症で
勉強もできなくて、ドジですぐ転ぶし、
ちょっと失敗するとすぐ涙が出る。
カッコ悪いって言われる。
そして意地悪なシュンは、ことあるごとに
俺のことをバカにするから、泣きたくないのに
悔しくて勝手に涙が出る。
大嫌いで関わりたくないのに、同じクラスだし、
隣の席だし、同じ生物係だし、俺が何もしなくても
俺にちょっかいかけてくるから、本当に嫌い。
家に帰ったら、先日買ったゲームしようとわくわくしていい気分だったのに、
シュンに俺が今日水泳の時間で水着を忘れたことをからかわれて、すごく
嫌な気持ちになった。
恥ずかしかった思いがぶり返してきて、
かあっと顔が赤くなる。
また目に涙の膜が張って、それをシュンにみられるのが嫌で
俺は走って教室を出た。
※※※
「うーん、うーん」
いつもは通らない道を走っていって、いつの間にか知らない公園に立っていた。
ちょうど公園に差し掛かったところで、40代くらいのおじさんが
ベンチに座って唸っているのを見つけた。
…体調悪いのかな。
知らない人に話しかけちゃいけないと言われているけど、
困っている人を見つけたら、助けないといけないとも教えられてるので
どうしたらいいんだろうと困った。
「うーん、うーん」
でももし、病気とかだったら。
俺は自分が風邪をひいて本当に苦しかったことを思い出して、
おじさんに声をかけることにした。
「おじさん、どうしたの?苦しいの?」
俺が声をかけるとおじさんは俺の方を向いて、ちょっと笑った。
その笑顔がちょっと気味悪かったのを覚えている。
でもすぐにまた苦しそうな顔になって。
「おじさん、腹が痛くて立てないんだ。でもあっちに車止めてるから
そこまで行って休みたいんだけど・・・・。」
やっぱり体調が悪かったんだな。
無視したら、ひどい奴になるところだった。
「じゃあ、お父さん呼んでくるから、お父さんにおんぶしてもらって
車まで行こう?」
「いや、君が肩を貸してくれたら立てるから。本当に頼むよ。
車に薬が置いてあるんだ、今すぐ薬を飲まないといけないんだ」
「わかった。じゃあ行こう。立てる?」
「うん、ありがとう」
車に着くと、オジサンがカギを開けた。
「じゃ、俺、行くね」
「ごめん、ちょっと苦しくて動けないんだ、
後ろの席の鞄に薬が入っていると思うから探してくれないか?」
知らない人の車に乗るのが嫌だなって思ったけど、
苦しそうなおじさんを見て、助けないとと思って、
俺はワゴン車の後部座席に乗り込んで、鞄を探してあげることにした。
「鞄がいっぱいでわかんないよ。どこ?」
後部座席は荷物がたくさんあって、鞄も何個かあってどれが
おじさんが言っている鞄かわからなくて、後ろを振り向いて聞こうとした。
「むぐっ」
後ろを向いた瞬間、大きな体に後ろからぎゅっと強く抱きしめられて
口を大きな手で覆われた。
びっくりして動けないでいると、おじさんは俺を抱きしめたまま
体で車の扉を閉めた。
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