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#3月明かりのパズルー招かれざる訪問者
しおりを挟む「もう寝る時間だぞ、ルーン」
1階から聴こえてきたジャックの言葉に顔を上げた。
自室の白い壁にかかっているネコ型の壁掛け時計は
黒い長針が揺れて、ちょうど23時を指したところだった。
「もう少し!」
私は油のランプで手元を照らして、
うーんうーんとうなっていた。
オレンジの淡い光をたよりに、小さなパズルのピースをつまんで
ここでもない、そこでもないとぴったりはめ込める場所を探していく。
私は今巷で話題になっているパズルに熱中していた。
心の中を映し出すパズルという触れ込みで、
それを見たときにどうしても欲しくなってしまった。
結局、少々高かったのもの私が譲らないのをみると
ジャックが私に買い与えてくれた。
そのパズルは、最初はすべてのパズルが灰色のピースでなんの絵も描かれていない。
しかし、パズルをすべて完成させると、イラストが浮かび上がるらしい。
そのイラストがパズルを作っている人の
心の中の本当の姿を映し出すそうだ。
誰もが一度は名前を聞いたことがあるような有名な魔法使いが監修しているらしく、
子どもたちの間では今や大ブームとなっていた。
「そんなんじゃ大きくなれないぞ」
もう!うるさい。
そんな「大きくなれない」なんて言葉で私が寝る気になると思っているのだろうか。
ジャックは少々私のことを子ども扱いしすぎじゃないか。
「すぐ寝るから!」
2階の私の部屋から漏れる灯りのせいでジャックは私が起きていることが
わかるんだろう。
私はカーテンを開ける。
四角の木枠の1メートル四方の窓から、青白い月明かりが差し込む。
今日は満月のようだ。
窓のカギを開けて、空気を入れるとひんやりとした冷たい風が
流れてきた。
月明かりが明るいから大丈夫そう。
私は手元のランプをふーッとかき消すと、
暖かいオレンジの炎が消えて、
代わりに冷たい月明かりが部屋を照らした。
月明かりを頼りに机まで行くと、
パズルの続きに取り掛かる。
あと2ピースほど。
ピースを手でつまんで月明かりに照らして、
形を確かめる。
「これはここかな…」
真ん中より右端の空白にピースをはめると
ぴったりはまる。
あと1ピース。
はめるところはわかっている。
ピースを手にもってはめようとしたとき。
ぶわっ。
急に窓から風が流れてきて、カーテンを膨らませた。
私は慌てて完成間近のパズルが風で飛ばないように
体を盾にして、守った。
「お嬢さん、ご機嫌よう」
突然声をかけられて、何を考えるよりも
声のした窓のほうを振り向いてしまった。
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