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子爵令嬢の企みと実行

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「イザベラ様~?突然、こんなところに呼び出して申し訳ありません」

「なんですの?あなた、見たことがない生徒ですわね」


イザベラは気が立っていた。
言われない罪をなすりつけられ、
そしてそれを正すこともできず、
急にここに引っ張ってこられた。


空き教室は閑散としていて、
積み重ねられた机や椅子にはうっすら埃が
溜まっていた。


それにこの目の前の女生徒。


何かを企んでいるような、丁寧な言葉遣いながらも
こちらを常に馬鹿にするかのような態度が見え隠れし、
イザベラは居心地の悪さと、苛立ちを募らせる。


「ごめんなさいね。
私は2週間前にこの学園に転入しましたティナ・ベルナール。
ベルナール家の子爵令嬢ですわ。
以後、お見知りおきを~。

ではですね、早速本題に入らせていただきますが、
私、転入したクラスにですね、とても素晴らしい伯爵子息様が
いらっしゃりまして、彼に一目惚れしてしまったのです。」


恋する乙女のようにティナは頬を赤く染める。


「ですがね、残念ながらその殿方には婚約者がいたのですよ。
ティナ、とてもがっかり。

ですが、その婚約者の令嬢がですね、
調べたところ、ひどい女なんですよ。

周りから氷の女王と呼ばれてましてですね、
成績優秀ですが、友達が一人もおらず、
プライドが山のように高い、近寄り難い孤高の存在。

自分よりも高位貴族で、勉学も魔法学も、体術もできて、
自分がいなくても微塵の寂しさも見せないような女。
そんな女を殿方が愛したいと思うでしょうか?

殿方はとても傷ついていたのですよ。
彼女と並べられると、自分の全てが見すぼらしく思えて
自信がなくなる。プライドがボロボロになる。
彼女といるのが苦しくなる時がある。って。

でも、安心してください。
ティナが殿方の心を癒してあげますから」


イザベラは衝撃を感じていた。
アンドレはいつも優しかった。
そんなことを彼が思っていたなんて
知りもしなかった。

彼のいいところはたくさん知っている。
彼は友達思いで優しいし、彼の周りには人が集まる。

そんなこと思う必要ないのに。
比べる必要なんてないのに。


「だけど、まだ殿方の心はあなたの方にあるの。
悔しいけど、まだアンドレ様はあなたが好きだって。

だから、ティナ、アンドレ様があなたを嫌いになるように
色々なことをしたんですよ。」


「・・・まさか」

にこり、とティナが笑った。

「そうです、うさぎをいじめてたとか、
教師と寝てるとか、色々な噂を流したのは
私。


これからもっとひどい噂を流すつもりよ


本当、面白いくらいにみんな食いついて

嫌われてたのねぇ、イザベラ様」


カアッと頭に血が昇っていく。


パシっ。


部屋に乾いた打撃音が響いた。


私は思わず目の前のティナの顔を
平手打ちしていた。

「・・・なんて無礼なの、
こんなこんな邪悪な人間が、」

私は顔を真っ赤にして、悔しくてブルブルと唇を震わせる。


「イザベラ様ぁ?うさぎいじめで
教師と寝ているイザベラ様、
これがアンドレ様の耳に入ったら、どうなるでしょうね、
いや、もう知ってるかも」


私に叩かれてもクスクスと笑い続けるティナが
憎らしくて、憎らしくて、彼女に馬乗りになると
私は手のひらを彼女に向けて、いつでも魔法を放てる
ポーズをとった。


「訂正しないさい。全校生徒の前で。
うさぎを虐待したことも、
私に対して不名誉な噂を流したことも、
すべて白状しなさい。
そうじゃないとこのまま攻撃の魔法を
放つわ。
そしたらあなたの顔はぐちゃぐちゃになる。
もう2度と人前に出れなくなるわよ」

「はぁ、イザベラ様はお馬鹿なんだから」

ティナが私に馬乗りにされた体勢のまま
ため息をついた。

「もう、出てきていいわよ。十分写真は撮れたはずだから」

「・・・え、、、、はっ!」

ガッシャンっ!

ティナが声をかけると同時に、わたしの体は宙にうき、
そのまま積み重なった机に叩きつけられた。

「・・・うっ、ごほごほ、うっ」

埃を被り、痛みで動けない数秒で、
硬直の魔法をかけられる。


ぞろぞろと教室の扉を開けて男子生徒が五人
入ってきた。


「これが噂のイザベラ様か」

「すげー、遠くからしか見たことなかったけど
めっちゃ美人だな」

「油断してなかったら魔法かけられなかったな」

「ティナ、本当にいいんだな、やっちゃって」


男子生徒たちはうつ伏せに倒れ、動けない私を
見世物小屋の動物のように無遠慮に見ながら、
近づいてくる。

「何?なんなのあなたたち、何する気なの?近寄らないで、
それ以上近寄ったら許さないわよ、来ないで!」

「うるさいなぁ、この口、塞いでいい?」

「そうねぇ、人が来たら困るから塞いじゃっていいわよ」

さらに新たな術をかけられ、私は口を塞がれて
声を出すことすら許されなくなった。


「じゃ、始めますか。」

「淫乱な令嬢様はどんな乱れ方をするんでしょうかね」

「カメラもバッチリ回しているから、楽しんでね」



これから世にも恐ろしい凌辱が始まるのだ。
私はきつく男たちを、そしてあの憎たらしい女を睨みつけた。
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