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感情受信と感情送信<正反対で惹かれ合う>
しおりを挟む「…はっ!」
唐突に目を覚ました。
当たり前だが、拘束されている。
椅子にぎちぎちに縄で縛られている。
「お前、だったんだな、村瀬」
「おっはようございます。先輩♡」
その強姦魔は俺のよく知る後輩刑事だった。
俺が目を覚ましたのを見ると、嬉しそうに駆け寄ってくる。
これを犬みたいだな、と考えていた時期もあった。
―――くそっ、もっと警戒して先に”感情受信”をしとけばよかった。
俺の受信体質のことは署内では知られていない。
ただ、なんか人の考えを読むことに長けている気味の悪い奴、
と思われている。
肌に直接触らないと感情受信ができない、という難点はあるが、
この体質のおかげで、刑事という仕事では随分役立った。
だが、人の感情なんて仕事以外で知りたいなんて思わない。
だからなるべく人と接触しないように同僚や後輩とも距離を取っていたのが
仇になった。
特にこの後輩は感情受信しなくても、ねっとりした視線を俺に投げてくることが
あったので、余計に関わりたくなかったのだ。
「ふざけんなよ。どうしてこんなことをしたんだ」
「最初は普通に告白しようかと思ってたんですけど、
先輩なかなか警戒して隙が無かったのと、普通に恋人になるのも
なんか面白くないなぁって思ったので、やっちゃいました」
こんな軽々しく事件を起こしたなんて、こいつは馬鹿なんだろうか。
いや、正しくは変態だ。
「でも、俺浮気はしてないですよ」
「どの口が言ってんだ」
「だって俺、先輩とは逆で送信体質なので、俺の思考を送れば
勝手に女は襲われたって勘違いしてくれるんすよね、
それで事件として取り上げてやればよかったんですよ」
「どこまで周りを操ってたんだ?」
「いやだな。そんなにやってないですよ。ただちょっと
物事がうまく運ぶように手を加えただけです」
そこで村瀬は俺の方に近寄った。
「ねぇ、もういいでしょ。
こんなに魅力的な恰好した先輩が目の前にいるのに
俺、我慢できないんすよ。
先輩が受信体質でよかった。俺の気持ち余すとこなく
受け取ってもらえるんすから」
服の上から太股を撫でられ、耳元に顔を寄せられる。
触れるか触れないかの距離でささやかれ、鳥肌が立った。
触れられたらまたあの”感情”が流れ込んでくるのだ。
あんなこと何度もされたら、脳みそがぶっ壊れる。
本気で思考に殺される、しかも快楽で。
「やめろ…本当にやめてくれ。
俺の体質のこと知ってるならわかるだろ。
本当にダメなんだ。壊れる」
「…あはっ、それって煽ってるんすか?
『ダメ、壊れる』なんて好きな人に言われて
止まる男がいると思っているんすか。
案外先輩かわいいっすね」
「やめろ、やめてくれっ」
恥も外聞もなく、村瀬から逃げようとするが、
顔を掴まれて、耳に舌を入れられた。
――――やばい、やばいやばい!
脳内に赤いサイレンが鳴り響き、
その瞬間、再びあの衝撃が体を襲った。
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