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初めての対面-連続殺人鬼と刑事の邂逅
しおりを挟む「はぁ。はぁ。やっと追い詰めた…」
桐井はビルとビルの間の暗い路地で、
赤い道化師と呼ばれ、世間を騒がせている
連続殺人犯と向かい合っていた。
ずっと捕まえようと追いかけていた連続殺人犯。
なかなかの知能犯でしっぱをつかませなかった。
やっと追い詰めた。
そいつは口が吊り上がったふざけた仮面をかぶり、
黒いフードをかぶっている。
その仮面には被害者の返り血がべっとりと付着していた。
その手にはナイフ。
その後ろには被害者が無残に頸動脈を掻き切られ、
転がっていた。
ナイフからはぽたっ、ぽたっ、と真っ赤な血が滴っている。
「桐井さん!」
部下が走って桐井に駆け寄ってくる。
それを見た凶悪犯はくるりと方向転換すると
桐井とは反対方向に走り出した。
「まて!」
桐井は叫ぶと部下に「俺があいつの後を追うからお前は被害者の救護と応援を頼む」
と素早く指示を行い。走り出した。
こんな機会、もうない。
今を逃したらもう一生あの凶悪犯を捕まえることができない。
長年の刑事のカンがそう言っていた。
「ぜぇ、はぁ、はぁ、ぜぇ、はぁ」
しかし、追いつけない。
黒いフードの後姿は数メートル先にあるのに、
その距離が縮まるどころか広がっていく。
30過ぎて体力がなくなった。
長年の不規則な勤務で筋力や体力が低下し、
体中がたがきている。
健康診断では「酒とたばこを控えるよう」医者に進言されたが
そのつもりもない。
この年になって妻と子供に逃げられ、刑事という職以外
何もやってこなかった自分がこれ以上何を我慢して生き続けろ
というのだろうか。
応援を呼ぼう
何とか見失わないほどのスピードで走りながら携帯を取り出そうとすると、
ひょいっと凶悪犯は路地の裏手に入る。
くそ、このままじゃ見失ってしまう
取り落とした携帯を拾うこともせずに、凶悪犯の背中を追う。
やっとやっと続いた痛ましい事件に終止符を打つことができそうなのだ。
ここで取り逃がしたら、もう後がない。
凶悪犯を捕まえる。
この執念だけが桐井の足を動かしていた。
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