傾国の伯爵子息に転生しました-嵌められた悪女♂は毎日が貞操の危機-

ハヤイもち

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悪役子息に転生したんだけど

目覚めたら修羅場はよくあることです-マユト視点-

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幼馴染のバカな行動を止めようとして、
『婚約者として連れて行く』なんて柄にもないことを
言ったことまでは覚えている。

だがその言葉は間違いなく俺の本心だったし、
こいつとなら人生を共にしてもいいと思うくらいには
紫音のことを気に入っていた。

まぁ、その、なんというか、
正直、小学校低学年まではこいつのこと
女だと思っていた。

こいつは覚えてないだろうが、
『お前を嫁にする』などと言って
雑草で作った指輪をあげたこともあったり、
なかったり。

とにかく、俺は紫音を悪者になどしたくなかったし、
こいつが生きていてくれるなら、この際元の世界に
帰れなくてもいい、くらいの気持ちだった。

しかし、いきなりくらっと立ち眩みをしたかと思ったら、
次の瞬間、自分は下半身丸出しで座っており、
目の前に死んだかと思うほどピクリとも動かない紫音がいた。

「紫音、どうしたんだ?紫音、なんだよ。
何があったんだ?」

なんでだよ。
意味が分からない。

幼馴染は辛うじて靴下とワイシャツを引っかけたくらいの
ほぼ裸の状態。

元々白い肌は死人の如く真っ白で血の気がない。
唇も紫色になっている。

「なんで、なんでお前はいつも、いつも
俺の知らないところでこんな…」

紫音の上半身を持ち上げて、抱きしめる。
俺の体温で温めるようにきつく体を密着させる。

「なんでだよ。俺はお前がいるなら、それで…」

俺がそう口走った瞬間。
紫音の目がカッと見開かれた。
金色の瞳が俺を捉える。

「紫音、よかっ…」

「ひぃっ、や、ややぁ、助けっ…」

その目は俺を見るとひどく怯えて、
抱きしめる俺から離れようとする。

その様子が尋常ではなく、本気で俺のことを
怖がっている様子に、心臓がどくどくと脈打つ。

紫音の身に何が起こったんだ。

「おい、俺だ。マユトだ。
マジでどうしちまったんだよ
紫音」

「ややぁっ、やめてっ、離してっ」

安心させようと声をかけるが、さらに怯えて、混乱し、
過呼吸になりかけている。

彼はひっひっと引きつるように呼吸し、
涙を流して俺を拒否する。

なぜかその泣き顔を見た瞬間、下半身がずくんと重くなったが、
それは無視した。

「大丈夫か?ゆっくり息しろ」

紫音の背中をさすってやるとだんだんと紫音の呼吸が落ち着いてきた。
ひとまず安堵する。

とりあえず俺はズボンを着ると、
未だにボロボロと無言で泣いている
幼馴染に上着をかけてやった。

紫音の体をざっと見た時、経験のない俺でもわかった。

それは、明らかに事後だということ。

肩や首、背中にはキスマークやら噛み跡がある。
俺から丸見えの尻の穴からは血と白い液体が混ざったものが
つぅっと垂れた。

とにかく目の前の放心状態の幼馴染を問い詰めるわけにも
いかず、俺はしばらく泣き続ける紫音の背中をさすっていた。

「…なぁ」

どれくらいたったか。
そう言えば腹が減ったな。もう昼頃じゃないだろうか。
今日の昼食について思いをはせたところで
紫音が小さく声を発した。

「おまえは、マユトか?」

かすれた弱弱しい声で尋ねられた。
彼は下を向いており、長めの前髪で表情は隠されていた。

「は?そうだけど。なんだよ」

「そう、はは、そうやね」

訳の分からないことを聞いてきたかと思ったら、
ひとりでに笑い出した。

その様子に何か引っかかる。
嫌な予感がする。

空笑いする紫音はとても痛々しくて
かわいそうで、そして綺麗だ。

再会してからずっとふざけ合ってばかりいた
幼馴染が初めて見せる弱々しい姿。

それに対して一瞬、自分の頭をよぎった感情に
戸惑い、そしてそれを無理矢理押し込める。

「なぁ、お前大丈夫か?」
「…ひっ、」

肩に手を置くと、俺の行動に怯えたように
紫音の口から押し殺した悲鳴が洩れた。

ひしひしと嫌な感覚が強くなる。
つーっと冷や汗が背中を伝う。

俺の状況とこいつの、この反応、もしかして。

「なぁ、紫音。

…まさか、俺がやったのか?」
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