傾国の伯爵子息に転生しました-嵌められた悪女♂は毎日が貞操の危機-

悪役子息に転生したんだけど

第一王子と子爵令嬢の真ん中に挟まれる悪役子息

なんてこった。
しょっぱなから原作クラッシャーもええとこや。

「ちょっと待って、それ僕に言っとる？」
「ああ君意外に誰がいるんだい？麗しい人よ」

寒くはないがぶるぶると体が震える。

なにこれ、どうすればええん？
世の女子はこれを言われて喜ぶの？ほんま？

「ええか？君、名前は？」

「エリンだ」

「エリン君、ちょっとあれ見てみ？
あそこに可愛らしい女の子がおるやろ？」

「ああ、知らない子だが、…まさか君の恋人か！？」

「ちゃうねん。そうやない。
君はあの子が好きでつけとったんとちゃうの？」

「僕がそんなストーカーみたいなことするわけないだろう。
初めて会った子だ。
それより君のその制服、学園の生徒だろう。
一緒に登校しないか？」

「絶対嫌や、ふざけんな。
ええか、今から大事なこと言うで。
ほら、あの子、
あの花屋の前で花見て笑顔浮かべとる可愛らしい子おるやん。
かわええやろ。かわいい言えや。
あの子が君の将来のお嫁さんやで？わかったか？
まかり間違っても僕に『子猫ちゃん』なんて言ったらいかんの。
わかっとる？」

「え、な、何を…」

「それがわかったらしのごの言わずに、早うデート誘えや」

ガッとエリン第一王子様を子爵令嬢の前に蹴っぽり出してやる。
エリン第一王子は勢い余って子爵令嬢を抱きしめた。
子爵令嬢はポッと顔が赤くなり、エリン王子も焦って何か言おうと
顔を真っ赤にしている。

「ふぅ、ええ仕事したわ」

こっそりそれを見ながら俺は汗を拭いた。
しかし。

「シャルル君」
「シャルル様」

二人から同時に名前を呼ばれて振り返る。
なぜか困り顔の第一王子と顔を赤くした子爵令嬢がこちらを見つめていた。

「一緒に登校しないか？」
「一緒に登校しませんか？」

「はぁ！？」

俺はなぜか二人の間に挟まれて
学園に登校することとなった。

なんで？
確かにイケメンにかわいい系少女に両手に花やけど
何で俺が真ん中におるん。

ちゃうやろ。

二人でイチャイチャせぇよ。
何しとんのこのバカ王子。

心の中で散々罵倒するが、嬉しそうな二人に何を言うこともできない。

「…はぁ」

ため息をつく。

俺はこの二人を悪役として裏切らないといけないのに。
仲良くなってどないすんねん。