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悪役子息に転生したんだけど
子爵令嬢をどうにかして味方にできんやろか?
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藍色の制服に身を包む。
長めのローブのような上着にリボンネクタイ。
セーターを着こむ。
「おっ、なかなかかっこええやん!」
試しに鏡の前で杖を構え、ニヒルな笑顔を浮かべてみた。
うん、悪役っぽい。
『今すぐ、僕の前に膝まづけ下級市民が』とか言いそう。
なかなかの出来上がりにほくそ笑むと階下から声が聞こえた。
「馬車が到着しました。お急ぎください!お坊ちゃん!」
「本当にお体はよろしいのですか、お坊ちゃん」
「心配あらへんわ。寝たらようなった」
「そうですか、ではお気をつけて、何かあったら必ず…」
「わかった、わかったわ。じゃ、行ってくるわ」
小うるさい執事をいなしていざ学園へと参らん!
まって、馬車めっちゃガタガタいうやん。
「ちょっと待って!」
「なんですかお坊ちゃん!」
「俺、やなかった、僕、歩いていくわ」
「え!危険です、もし狙われたりでもしたら」
「ちょっとそれも狙ってんのやけど…堪忍、じゃ、さいなら」
俺は馬車から身軽に飛び降りると、
そのまま全速力で走った。
伊達に3年間陸上部しとらんわ。
学園への道すがら、色々調べたいことがあった。
まずは物語に登場する王子達、さらに最後俺を捉えたという騎士団長。
王子の恋人の子爵令嬢、後は隣国の王子。
特に知っておきたいのは物語の主人公である子爵令嬢。
彼女が俺が元の世界に戻るためのキーマンとなるのは間違いない。
なぜなら、俺はシャルルとして彼女に無実の罪を着せたり、
裏から手下を操っていじめたり、悪評を立てたり、相当あくどいことを行う。
しかし彼女はそれらをすべて見破ったうえで、恋人を目覚めさせ、
騎士団長に俺を捉えるように進言するのだ。
スレに載せられた地味だがあどけない少女の顔を思い浮かべる。
どうにかして彼女をこちら側に引き込めないだろうか。
流石に女の子をここまでいじめるのは心が痛むし、
彼女には物語通りにヒロインとして役をこなしてもらう必要がある。
少々辛い思いはさせるだろうが、俺が処刑台に乗ることになった暁には
彼女は真実の愛を貫き通した最高のヒロインとして国民の人気者になれるのだ。
そして彼女は学園に向かう前に、このあたりの花屋の花を眺めるのがお気に入りだと
紹介文に書いてあった。
あっ、おった。
なんや原作より可愛らしいやん。
めっちゃ花見て嬉しそうにしとる。
あんな純粋そうな子やったら、きっと力を貸してくれるはずや!
「よし、行くで!」
俺が彼女に向かって走り出そうとしたとき、ガシッと肩を掴まれた。
「な、なに?」
「やぁ、なんてかわいい子猫ちゃんなんだ」
振り向いた俺は、聞こえたセリフに言葉を失った。
いや、言葉を失ったどころじゃない。全ての脳機能が停止した。
全身に鳥肌が立って、その場に崩れ落ちるところだった。
「うそやん」
そこに立っていたのは、
黒い短髪にさわやかな顔の男性。
そうじゃない。
問題はそこじゃなかった。
なぜなら彼は絶対に俺に惚れちゃいけない人なのだ。
なぜなら彼こそは子爵令嬢の恋人となる第一王子だからだ。
長めのローブのような上着にリボンネクタイ。
セーターを着こむ。
「おっ、なかなかかっこええやん!」
試しに鏡の前で杖を構え、ニヒルな笑顔を浮かべてみた。
うん、悪役っぽい。
『今すぐ、僕の前に膝まづけ下級市民が』とか言いそう。
なかなかの出来上がりにほくそ笑むと階下から声が聞こえた。
「馬車が到着しました。お急ぎください!お坊ちゃん!」
「本当にお体はよろしいのですか、お坊ちゃん」
「心配あらへんわ。寝たらようなった」
「そうですか、ではお気をつけて、何かあったら必ず…」
「わかった、わかったわ。じゃ、行ってくるわ」
小うるさい執事をいなしていざ学園へと参らん!
まって、馬車めっちゃガタガタいうやん。
「ちょっと待って!」
「なんですかお坊ちゃん!」
「俺、やなかった、僕、歩いていくわ」
「え!危険です、もし狙われたりでもしたら」
「ちょっとそれも狙ってんのやけど…堪忍、じゃ、さいなら」
俺は馬車から身軽に飛び降りると、
そのまま全速力で走った。
伊達に3年間陸上部しとらんわ。
学園への道すがら、色々調べたいことがあった。
まずは物語に登場する王子達、さらに最後俺を捉えたという騎士団長。
王子の恋人の子爵令嬢、後は隣国の王子。
特に知っておきたいのは物語の主人公である子爵令嬢。
彼女が俺が元の世界に戻るためのキーマンとなるのは間違いない。
なぜなら、俺はシャルルとして彼女に無実の罪を着せたり、
裏から手下を操っていじめたり、悪評を立てたり、相当あくどいことを行う。
しかし彼女はそれらをすべて見破ったうえで、恋人を目覚めさせ、
騎士団長に俺を捉えるように進言するのだ。
スレに載せられた地味だがあどけない少女の顔を思い浮かべる。
どうにかして彼女をこちら側に引き込めないだろうか。
流石に女の子をここまでいじめるのは心が痛むし、
彼女には物語通りにヒロインとして役をこなしてもらう必要がある。
少々辛い思いはさせるだろうが、俺が処刑台に乗ることになった暁には
彼女は真実の愛を貫き通した最高のヒロインとして国民の人気者になれるのだ。
そして彼女は学園に向かう前に、このあたりの花屋の花を眺めるのがお気に入りだと
紹介文に書いてあった。
あっ、おった。
なんや原作より可愛らしいやん。
めっちゃ花見て嬉しそうにしとる。
あんな純粋そうな子やったら、きっと力を貸してくれるはずや!
「よし、行くで!」
俺が彼女に向かって走り出そうとしたとき、ガシッと肩を掴まれた。
「な、なに?」
「やぁ、なんてかわいい子猫ちゃんなんだ」
振り向いた俺は、聞こえたセリフに言葉を失った。
いや、言葉を失ったどころじゃない。全ての脳機能が停止した。
全身に鳥肌が立って、その場に崩れ落ちるところだった。
「うそやん」
そこに立っていたのは、
黒い短髪にさわやかな顔の男性。
そうじゃない。
問題はそこじゃなかった。
なぜなら彼は絶対に俺に惚れちゃいけない人なのだ。
なぜなら彼こそは子爵令嬢の恋人となる第一王子だからだ。
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