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カルテ#20 アラフィフと美少女♂のドキドキスローライフ-夜釣りで巨大ナマズを釣れ-
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ケルベロスを倒すための道具を召喚をするはずだったルキは逆に
ケルベロスの目の傷をいやすための癒しの粉の召喚をしていた。
「かわいいな。私は猫派なんだが、
こうして懐かれると犬もいいなという気持ちになるよ」
服従マックス状態で私に腹を見せて撫でて撫でてとしっぽを振るケルベロスを
撫でながら、できるだけ離れてこちらに近寄ろうとしないルキに声をかける。
「この子は何もしないよ。大丈夫だ、こっちにおいでルキ」
「うそだっ!さっきオイラに襲い掛かっていたじゃないか」
「あれは機嫌が悪かったからだろう、ほら見て、こんなにいい子じゃないか」
いい子だと言って撫でると、千切れんばかりにしっぽを振る。
「そうだ、これから森の奥に行くんだから番犬として連れて行こう」
「嫌だっ!オイラ絶対に嫌だから、桜先生」
「ワフッ!」
「ほら行きたいって言ってる。フフッかわいいな」
「…オイラ、いやだからぁ…」
ぐずぐず泣き言を漏らすルキを放っておいて、新しい仲間が加わった。
「病院は衛生面が大事だからずっとペットは飼ったことがなかったんだ。
でも実は子どもの頃からあこがれててね。
猫を飼っている友人の家に行ってはずっと猫たちと戯れていたんだ」
「どう見てもペットじゃないよ、それ、怪物だよ…目を覚まして桜先生」
「少し体が大きいだけじゃないか。どれそろそろ暗くなるから野宿の準備をしよう」
「オ、オイラをこいつと二人きりにしないで!」
ルキが怖がって私に引っ付くので、やれやれと私はケルベロスに声をかけた。
「君は荷物を見ていてくれるかい?あとこの子は私の相棒でね。
食べちゃダメだよ」
「ワフッ!」
「おりこうさんだ。じゃあちょっと待っててね」
「ちょっと水を汲んでくるよ」
「オ、オイラも一緒に行く!」
「わかった。わかった。このあたり魚釣れるかな。
道具屋さんから釣り竿借りてきたんだ」
「釣り出来るの?桜先生」
「趣味が釣りでね。ケロもいるし、いっぱい釣ろう」
「ケロってあの怪物の事?名前まで付けて、もう飼う気満々じゃん!」
二人で川辺に立ち釣り糸を垂らす。
もうほとんど太陽は沈みかけている。
空は白く、もう30分もすれば日が暮れるだろう頃だ。
「夜釣りって一回やってみたかったんだよ。いい機会に恵まれた」
ルキが不思議そうに釣竿を垂らしながら、
問いかける。
「オイラ釣りは初めてだけど、
釣りって普通朝とか昼にするんじゃないの?」
「夜の方が大物が釣れるって趣味仲間から聞いてたんだ。
魚の警戒心が薄れるらしい」
「へぇ」
「今はちょうど『夕マズメ時』だね。
あっちでは忙しくてゆっくり釣りなんてできなかったから
こんなところで願望が叶うなんて思わなかったよ」
私はすっかり楽しくなっていた。
慣れ親しんだ釣り竿の感触に頬を撫でる風が心地よい。
ふいにくいっと釣り糸が張った。
「かかった!」
「早いっ」
「結構重いな、ルキ手伝ってくれ」
「いいよっ」
ピンと引く糸。
腰に来る重い手ごたえに柄にもなく興奮する。
「全然引けないよ!これ大丈夫なの?」
「どうやら、この川の主を引っかけてしまったようだね」
「うぎぎ、重い…っ」
「どりゃあ!」
表面に顔を表したのはなんと巨大ナマズだ。
顔だけで私やルキの2倍以上はある。
水の中に隠れてはいるが、おそらく姿を現したら
全長2メートルは軽く超えるのではないだろうか。
「馬力が足りない!ルキ、なんか強そうなの召喚して!」
「え、強そうなの?」
すぐにルキは魔法陣を地面に描き、呪文を唱える。
「いでよ!ゴーレム!」
土でできた身長4メートルほどのゴーレムが姿を現す。
「あの巨大ナマズを捕まえて!」
ゴーレムが命令に従い、川のほうへと進む。
よしこの大きさならナマズも引き上げることができそうだ。
しかし、川に足を踏み入れたとたん
土でできたゴーレムが足元から崩れた。
「「ああ~!」」
無残に泥になったゴーレムを見て、
二人して絶望的な声を上げる。
「…だめだっ!もう腰が持たないっ!」
ぐいぐいとナマズと力比べをしていた私の限界が来る。
ブチンッ!
音を立てて釣り糸がちぎれた。
「ぜぇっ、はぁっ、はぁっ」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
二人で川辺に仰向けになる。
全身汗だく、服ははねた泥でべとべと、
それでもこんなに心の底から清々しいのはいつ以来か。
「悔しいなっ!主を逃がした」
「ごめん、オイラがゴーレムなんて召喚するから」
「いや、一度で川の主を捕まえたら面白くないよ。
また挑戦しよう、次こそリベンジだ」
「うん、釣りって思ってたより楽しいな」
「はは、釣りの良さに気づいたかい、
私も釣り仲間が増えたらうれしいよ」
二人とも泥だらけでお互いの顔を指さして笑った。
川の主との決闘で体力を使い果たした二人は
荷物の場所へと歩いていた。
ケルベロスの目の傷をいやすための癒しの粉の召喚をしていた。
「かわいいな。私は猫派なんだが、
こうして懐かれると犬もいいなという気持ちになるよ」
服従マックス状態で私に腹を見せて撫でて撫でてとしっぽを振るケルベロスを
撫でながら、できるだけ離れてこちらに近寄ろうとしないルキに声をかける。
「この子は何もしないよ。大丈夫だ、こっちにおいでルキ」
「うそだっ!さっきオイラに襲い掛かっていたじゃないか」
「あれは機嫌が悪かったからだろう、ほら見て、こんなにいい子じゃないか」
いい子だと言って撫でると、千切れんばかりにしっぽを振る。
「そうだ、これから森の奥に行くんだから番犬として連れて行こう」
「嫌だっ!オイラ絶対に嫌だから、桜先生」
「ワフッ!」
「ほら行きたいって言ってる。フフッかわいいな」
「…オイラ、いやだからぁ…」
ぐずぐず泣き言を漏らすルキを放っておいて、新しい仲間が加わった。
「病院は衛生面が大事だからずっとペットは飼ったことがなかったんだ。
でも実は子どもの頃からあこがれててね。
猫を飼っている友人の家に行ってはずっと猫たちと戯れていたんだ」
「どう見てもペットじゃないよ、それ、怪物だよ…目を覚まして桜先生」
「少し体が大きいだけじゃないか。どれそろそろ暗くなるから野宿の準備をしよう」
「オ、オイラをこいつと二人きりにしないで!」
ルキが怖がって私に引っ付くので、やれやれと私はケルベロスに声をかけた。
「君は荷物を見ていてくれるかい?あとこの子は私の相棒でね。
食べちゃダメだよ」
「ワフッ!」
「おりこうさんだ。じゃあちょっと待っててね」
「ちょっと水を汲んでくるよ」
「オ、オイラも一緒に行く!」
「わかった。わかった。このあたり魚釣れるかな。
道具屋さんから釣り竿借りてきたんだ」
「釣り出来るの?桜先生」
「趣味が釣りでね。ケロもいるし、いっぱい釣ろう」
「ケロってあの怪物の事?名前まで付けて、もう飼う気満々じゃん!」
二人で川辺に立ち釣り糸を垂らす。
もうほとんど太陽は沈みかけている。
空は白く、もう30分もすれば日が暮れるだろう頃だ。
「夜釣りって一回やってみたかったんだよ。いい機会に恵まれた」
ルキが不思議そうに釣竿を垂らしながら、
問いかける。
「オイラ釣りは初めてだけど、
釣りって普通朝とか昼にするんじゃないの?」
「夜の方が大物が釣れるって趣味仲間から聞いてたんだ。
魚の警戒心が薄れるらしい」
「へぇ」
「今はちょうど『夕マズメ時』だね。
あっちでは忙しくてゆっくり釣りなんてできなかったから
こんなところで願望が叶うなんて思わなかったよ」
私はすっかり楽しくなっていた。
慣れ親しんだ釣り竿の感触に頬を撫でる風が心地よい。
ふいにくいっと釣り糸が張った。
「かかった!」
「早いっ」
「結構重いな、ルキ手伝ってくれ」
「いいよっ」
ピンと引く糸。
腰に来る重い手ごたえに柄にもなく興奮する。
「全然引けないよ!これ大丈夫なの?」
「どうやら、この川の主を引っかけてしまったようだね」
「うぎぎ、重い…っ」
「どりゃあ!」
表面に顔を表したのはなんと巨大ナマズだ。
顔だけで私やルキの2倍以上はある。
水の中に隠れてはいるが、おそらく姿を現したら
全長2メートルは軽く超えるのではないだろうか。
「馬力が足りない!ルキ、なんか強そうなの召喚して!」
「え、強そうなの?」
すぐにルキは魔法陣を地面に描き、呪文を唱える。
「いでよ!ゴーレム!」
土でできた身長4メートルほどのゴーレムが姿を現す。
「あの巨大ナマズを捕まえて!」
ゴーレムが命令に従い、川のほうへと進む。
よしこの大きさならナマズも引き上げることができそうだ。
しかし、川に足を踏み入れたとたん
土でできたゴーレムが足元から崩れた。
「「ああ~!」」
無残に泥になったゴーレムを見て、
二人して絶望的な声を上げる。
「…だめだっ!もう腰が持たないっ!」
ぐいぐいとナマズと力比べをしていた私の限界が来る。
ブチンッ!
音を立てて釣り糸がちぎれた。
「ぜぇっ、はぁっ、はぁっ」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ」
二人で川辺に仰向けになる。
全身汗だく、服ははねた泥でべとべと、
それでもこんなに心の底から清々しいのはいつ以来か。
「悔しいなっ!主を逃がした」
「ごめん、オイラがゴーレムなんて召喚するから」
「いや、一度で川の主を捕まえたら面白くないよ。
また挑戦しよう、次こそリベンジだ」
「うん、釣りって思ってたより楽しいな」
「はは、釣りの良さに気づいたかい、
私も釣り仲間が増えたらうれしいよ」
二人とも泥だらけでお互いの顔を指さして笑った。
川の主との決闘で体力を使い果たした二人は
荷物の場所へと歩いていた。
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