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同僚の騎士団長にイライラする→「そうだ、エロトラップダンジョンだ」

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「あああああ♡♡もう…むりぃ♡♡たしゅけてぇ♡♡オイラが悪かったぁ」

ダンジョンの洞窟に召喚士の情けない声が響く。
召喚士は触手に全身を這いまわられ、責められ息も絶え絶えな状態で助けを求めた。
しかし、その声はむなしく、ダンジョンの洞窟にこだまする。




※※※※



王宮お抱えの召喚士はそれはもう出来損ないだった。

召喚自体はできるのだが、召喚した魔物に襲われ逃げまどい、王宮の建物に悲惨な被害をもたらしたり、
召喚した人間に勇者ではなく、魔物が混じっていたり、
ドラゴンを呼び出したと思ったら、尻尾の生えた人間を召喚していたり(本人曰くサ●ヤ人という人種なのだという)
ひとたびその召喚士が召喚の儀を行えば、王宮は混乱の渦に巻き込まれた。(そして必ず王宮に甚大な被害をもたらした)

そのため召喚士は王様からはほぼ見放され、王宮の人間からはすべからく嫌われていた。
しかし、召喚士になるには素質が非常に重要で、国内外でも召喚士になれるものが滅多にいないため、
王国は出来損ないにしろその召喚士をくびにできずにいたのだ。



※※※※



召喚士はぷんぷんと怒りながら、王宮の廊下を歩いていた。


またしても召喚の儀に失敗して、度重なる失敗に業を煮やした騎士団長は
「王様こいつを処刑しましょう」と王様に進言した。
さらに悪いことに騎士団長は代わりの召喚士も見つけたのだという。
王様の慈悲で処刑は免れたが、もしかしたら『王宮お抱えの召喚士』という
輝かしい(本人にすれば金に困らない)地位がはく奪され、くびになるのも時間の
問題だった。


「なんだってんだあの騎士団長。魔法の一つも使えないくせにオイラのこと馬鹿にして。
オイラがどれだけすごいかわかっていないんだ。召喚ってめちゃくちゃ頭使って大変なんだからな。
絶対あの脳筋の騎士団長にはできないんだ。
オイラだって、…オイラだって王様の前で緊張しなければ失敗なんてしないのに。

それにしても失敗したから処刑しようとするなんてなんてひどい奴だ。
今まで一緒に働いてきたのに血も涙もない奴だ。」


怒っていた気持ちはだんだんと不安の気持ちにすり替わっていく。


「でもどうしよう。騎士団長が本当に代わりの召喚士を見つけてたら、オイラ今度こそくびになるかも。
どうにかして騎士団長を説得して…
無理だ、あの脳筋。オイラのこと大嫌いだし、どうやったって説得できる気がしない。
最悪今あいつの目の前に行ったらその場で切り捨てられかねない…」

その場を想像してしまい召喚士はさぁっと青くなった。
あーでもないこーでもないと召喚士が頭を悩ませながらいつの間にか図書館に来ていた。

ふと召喚士が歩みを止める。


「そうだ、あの騎士団長の弱みを握ればいいんだ」


召喚士の手には一冊の本があった。

「あの大嫌いな騎士団長をけちょんけちょんにして弱みを握ってやる。
そのためには…そいやっ、このページこのページ。そうだぞ、あいつを召喚すればいいんだ。
ふふ、あの騎士団長め、オイラに二度と偉そうな口をきけなくなるぞ。」

先ほどとは打って変わって召喚士はにこにこと笑顔になった。
大嫌いな騎士団長を懲らしめ、言うことを聞かせるいい方法を思いついたのだ。




そうだあいつを召喚すればいい。
その名は、


『エロトラップダンジョン』




※※※※

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