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2章~日向の復讐日記
力を失ったヒーロー
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「なっ!どういうことですか!?」
後日身体検査の結果を取りに本部にやってきた俺は
驚愕の事実を知ることとなった。
「ではもう一度申し上げます。
君はもうヒーローに変身できない。
残念ながら二度とヒーローとして戦うことはできないでしょう」
白衣を着た研究員が目の前の用紙を確認しながら俺に告げる。
「なんで、なんでですか!」
「君の体はヒーロースーツと拒絶反応を
起こすようになってしまったのです。
おそらく配列をいじられたのでしょう。
無理矢理着用すれば君の体はスーツに耐えきれずに消滅します」
「俺は、どうなるんですか?」
「道は一つではありません。機密に関する記憶を除去して
組織を除隊し、一般の高校生に戻るか、非戦闘員として
裏方で働くこともできます」
「…」
「すぐに結論を出さずとも構いません。
しかし、もうあなたに戦うための力はないことは理解してください」
それからどうやって本部から出たのか覚えていない。
気づくとよく知った街中を歩いていた。
そこに突如鳴り響くサイレン。
『怪人が発生しました。繰り返します。○○市西部○○区域で怪人が発生しました。
付近の住民は速やかに退避してください。繰り返します…』
逃げ惑う人々の波がこちらに向かってくる。
ぼーっと突っ立ってると、靄の向こうに怪人の影が見えた。
怪人がこちらに向かってくる。
俺は思わず、慣れ親しんだハンドバンドを構えた。
しかし、そこには何もなかった。
当たり前だ。
全部奪われたのだ。
破壊される街、助けを求める人々をただ見ていることしかできない。
悔しい。
「ちくしょう……」
拳を強く握りしめても力が湧いてこない。
怪人がビームを放とうとした寸前。
ビュッ。
怪人の頭を一筋の赤い閃光が貫いた。
その瞬間、怪人の体がボロボロになり、
脆く崩れ落ちていく。
「乙乙、あれ、日向じゃん。
お前も来てたの?それならお前に任せりゃよかった。
俺デート中なのに抜け出してきたんだよ。
代わりになんかおごってよー…ってあれ?」
現れた一輝は相変わらずのハイテンションで一気に話しかけてきたが、
そこで俺の様子がおかしいことに気がついた。
「なんで、お前リストバンドないの?」
一輝のその言葉に、俺はぐっと唇を噛みしめた。
「よくわかんないけど、後片付け終わったら話聞くから
ちょっと待ってて」
報告を済ませた一輝ががれきの上に座る俺のところに戻ってくる。
いつもは『女の子の話ならいくらでも聞くけど~』とか言ってるのに
こういう時は面倒見がいい。
俺は今までのことを、信のことも含めてすべて一輝に話した。
「それで力がなくなってヒーローになれなくなったと」
「ああ」
「いいんじゃねーの?だってはっきり言ってきついし、
危ないことばっかじゃん。ヒーローになったこと後悔はしてないけど
お前は一番長くやってるんだから、もう俺たちに任せても…って
そんな感じじゃないよな」
「ああ、ヒーローのことだけでなく、俺は信のこと諦められない」
「…うーん、そのことだけど、俺『葛葉』って苗字に聞き覚えあるんだよな。
多分同じ学年の子だったと思うけど。なかなか珍しい苗字だから。
もしかしてその信っていう大学生、妹とかいた?」
「そういえばそんなこと言ってたような。多分」
「じゃ、その先輩については俺が調べておくよ。
お前は、ヒーローに戻る方法、まだあきらめてないんだろ。
だったらその方法もあるはずだ、きっと。」
そういってにこっと笑った一輝がぐっと拳を差し出す。
そうだ、俺は何もできずに
ただ守られるだけの存在になるなんて耐えられない。
俺は一輝に元気づけられて、立ち上がり前を向いた。
大丈夫。まだ、やれる。
後日身体検査の結果を取りに本部にやってきた俺は
驚愕の事実を知ることとなった。
「ではもう一度申し上げます。
君はもうヒーローに変身できない。
残念ながら二度とヒーローとして戦うことはできないでしょう」
白衣を着た研究員が目の前の用紙を確認しながら俺に告げる。
「なんで、なんでですか!」
「君の体はヒーロースーツと拒絶反応を
起こすようになってしまったのです。
おそらく配列をいじられたのでしょう。
無理矢理着用すれば君の体はスーツに耐えきれずに消滅します」
「俺は、どうなるんですか?」
「道は一つではありません。機密に関する記憶を除去して
組織を除隊し、一般の高校生に戻るか、非戦闘員として
裏方で働くこともできます」
「…」
「すぐに結論を出さずとも構いません。
しかし、もうあなたに戦うための力はないことは理解してください」
それからどうやって本部から出たのか覚えていない。
気づくとよく知った街中を歩いていた。
そこに突如鳴り響くサイレン。
『怪人が発生しました。繰り返します。○○市西部○○区域で怪人が発生しました。
付近の住民は速やかに退避してください。繰り返します…』
逃げ惑う人々の波がこちらに向かってくる。
ぼーっと突っ立ってると、靄の向こうに怪人の影が見えた。
怪人がこちらに向かってくる。
俺は思わず、慣れ親しんだハンドバンドを構えた。
しかし、そこには何もなかった。
当たり前だ。
全部奪われたのだ。
破壊される街、助けを求める人々をただ見ていることしかできない。
悔しい。
「ちくしょう……」
拳を強く握りしめても力が湧いてこない。
怪人がビームを放とうとした寸前。
ビュッ。
怪人の頭を一筋の赤い閃光が貫いた。
その瞬間、怪人の体がボロボロになり、
脆く崩れ落ちていく。
「乙乙、あれ、日向じゃん。
お前も来てたの?それならお前に任せりゃよかった。
俺デート中なのに抜け出してきたんだよ。
代わりになんかおごってよー…ってあれ?」
現れた一輝は相変わらずのハイテンションで一気に話しかけてきたが、
そこで俺の様子がおかしいことに気がついた。
「なんで、お前リストバンドないの?」
一輝のその言葉に、俺はぐっと唇を噛みしめた。
「よくわかんないけど、後片付け終わったら話聞くから
ちょっと待ってて」
報告を済ませた一輝ががれきの上に座る俺のところに戻ってくる。
いつもは『女の子の話ならいくらでも聞くけど~』とか言ってるのに
こういう時は面倒見がいい。
俺は今までのことを、信のことも含めてすべて一輝に話した。
「それで力がなくなってヒーローになれなくなったと」
「ああ」
「いいんじゃねーの?だってはっきり言ってきついし、
危ないことばっかじゃん。ヒーローになったこと後悔はしてないけど
お前は一番長くやってるんだから、もう俺たちに任せても…って
そんな感じじゃないよな」
「ああ、ヒーローのことだけでなく、俺は信のこと諦められない」
「…うーん、そのことだけど、俺『葛葉』って苗字に聞き覚えあるんだよな。
多分同じ学年の子だったと思うけど。なかなか珍しい苗字だから。
もしかしてその信っていう大学生、妹とかいた?」
「そういえばそんなこと言ってたような。多分」
「じゃ、その先輩については俺が調べておくよ。
お前は、ヒーローに戻る方法、まだあきらめてないんだろ。
だったらその方法もあるはずだ、きっと。」
そういってにこっと笑った一輝がぐっと拳を差し出す。
そうだ、俺は何もできずに
ただ守られるだけの存在になるなんて耐えられない。
俺は一輝に元気づけられて、立ち上がり前を向いた。
大丈夫。まだ、やれる。
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