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ルッツォの気持ち

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 ちび達がサーシャに妬いて召喚してしまったという人族のお姉ちゃん。
  その女が料理を教えてくれるってのをじーさんが二つ返事で了承した時は正直俺は面白くなかった。
 城で働く人間全員に飯を作る厨房はだからこそ、女の料理人は居ない。終業まで女の体力じゃ、まずもたないからだ。
「なんで女に教わるんだよ!!聞いた事が無い料理が下手物だったら、どうすんだよ!?」
「料理習うのに男も女も無いだろ!!まずかったら旨いもんを作る為に、何故そうなったのかを探れば良いだけだ!!」
 じーさんの言う事にも一理あるけど、納得いかねー!!
 どいつもこいつも俺以外は初めての料理とまだ見ぬお姉ちゃんへの期待に興奮してやがるし!!俺たちみてーな筋骨隆々な女だったらどーすんだよ!?女ならどんなでも良いのか!?
 そうこうしている内に出迎えに並ぶ。
「よろしくお願いしますっ!!」
 これでビビるような女だったら、じーさんが何を言おうがたたき出してやる!!
 わざと大声で言って、頭を上げるとちび達と手を繋いでいた女がフワリと微笑んで自己紹介してきた。
「初めまして。私、水無月楓と申します。プロフェッショナルな皆様方を前に、ディーバ様が私の事をなんとおっしゃったのか気にかかって仕方が無い小心者です。お気軽にミーナとお呼び下さい。どうぞよろしくお願いします」
 やべー!!なんだ!?本当に人間か?
 人形みてーな綺麗な顔、耳に優しい声、謙遜しすぎない言葉、すげー好みだ。
 ま、まぁ、自己紹介なんざ、だれでも猫を被るもんだしな!!問題は中身だよ。中身!!
 周りを見ると、全員が全員ともミーナに見惚れてやがる。
 そんな俺達に小さく首を傾けた後、俺達を牽制してミーナの前に立ちはだかるちび達を促した。ちび達の行動に俺達も驚いた。
 あのっ!!あのちび達が挨拶したっ!?
 どこに出しても恥ずかしいクソガキ代表と言える二人のそれに、俺はぶるりと体を震わせた。
 ミーナ、すげー!!中身もイケてるんじゃねーの!?
 ミーナとものすごく話してみたくなって、彼女に纏わり付いていたちび達を肩に担ぎ上げた。
「コラ!!アルゴス、マルケス!!ミーナは俺達の先生をしてくれる為に厨房に来てくれたんだぞ?ちょっと待ってろ」
 そんな俺に対し、野郎共の視線とブーイングが凄まじい。
 ミーナが来るまで散々こき下ろしてた癖に、本人を見るなり態度を変えた俺を面白くないと感じて当然だ。
 だがな、気に入っちまったもんは仕方ねぇだろ?
「俺は料理長を任されてるルッツォだ。とりあえず俺にミーナが料理を教えてくれば良い。そうすりゃ、あとの奴らにゃ俺が教えるから問題無い」
 俺の自己紹介は野郎共とちび達の抗議でウヤムヤになっちまっ たが、ミーナは綺麗なだけじゃねーな。俺達を大声を上げずに諌めちまった。
「静かにしますか?」
 目が笑ってない。
 口元だけの笑みを浮かべるミーナも良いな!!
 ガキの頃に読んだ絵本の氷の女王って感じで……。
 良いじゃん!!
 まぁ、アルゴスの「おっかね~」ってのには同意だけどな。
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