もふもふの王国

答え合わせは昼食のあとで １

 「聞くだけ聞いておく」と言った手前、こちらも彼等が帰る前にリオさんとお話しするのは決定事項。
 それは判っているんだけど、オーシャンの皆様の期待に満ち満ちた視線が、どーしても気になる。
 言葉はないが、あれだ。
『目は口ほどに物を言う』
 それ以外に何がある？とばかりのそれは、もう、本気で疲れる。
 「判ってるってば～!!」と叫べればどんなにか楽か。
 でも、教育係の自分が、オーシャン組と子供達の前でそんなことをしてしまえば、間違いなくドン引きされる。
 トチ狂ったか??と心配される。
 まあ、でも、彼等の期待の視線も判るんだ。
 なんたって、アルゴスくん、マルケスくん、始祖様、リオさんを交えて、オーシャンの皆様念願の!!「リオ様との二回目の昼食の時間」となったのだから。
 それも、こちらからのお誘いではなく「リオさんからの御願い」とされているのだから、余計に、ねぇ??
 これで期待するなと言う方が無理だ。
 忘れてませんよ?? 
 リオさんには、『どうして直前になって、政治に、ともすれば国民に興味の無さそうな彼が、フォレストに自分も行くと言い出したのか』を聞く。
 ですよね!?
 ……にしても、リオさんからも似たような視線が飛んできてるんだよね～。
 意味ありげな始祖様からの、いやらしい感じのしないニヤニヤ笑いも気になるし。
 これは、子供達のお守りの最中にリオさんの、ひいてはオーシャンに関わる大事ななにかがあったと断定しても良い??かな？
 本当は両隣に座るニコニコな子供達に話を聞きたいが、ここで話せば、当然、皆の耳に入ってしまう。
 それが良い話なのか悪い話なのか、……あの視線で悪くはないとは思いたいが、本当に情報が足りない!!そんな状態で博打は打ちたくない。
 今は我慢だ。
 も、ホント～に濃い、濃すぎる前半戦だったよ～。
 子供たちには迷惑だろうが、人の目がなければ「癒して～」とそのぷにぷにお餅ほっぺにスリスリしまくってたよ。
 それくらい、なんかもう疲れた。
 疲れました～。
「ママ？どした？」
 まさか、「疲れてなにも考えたくありません!!」など言えないため、「今日のご飯はなにかな??って」と返せば、アルゴスくんとマルケスくんは真剣な表情で顔を見合わせ、小さく頷いていた。
「痛いの痛いの、飛んでいけ～!!」
「痛いの、嫌なの、ぶっ飛んだ!!」
「ブー!!」
 私の体に触らずに、「おまじない」をしてくれる可愛らしい姿なのに!!
 あろうことか、誰かが思いきり吹き出していた。
「アルゴス??」
「アルゴスくんは、アレンジしてくれてるんだね」
「ん??普通よりぶっ飛んだ方が、いーっぱい飛んでくだろ??だから!!」
「ブー!!」
 こら!!だれよ。もう～。
 マルケスくんは不思議そうに首をかしげ、私はフォローのつもりで言えば、当の本人はにっこり笑って元気良く答えてくれた。
 でも、なんか、うん。
 ホントにいっぱい飛んできそうだね。