152 / 269
カブトムシ大作戦 5
しおりを挟む
「はい。オーシャンとヴォルケーノにも通達をしましたから、あちらからの連絡待ちです」
「早く早く」と急かす子供たちに、私の「贈り物にお手紙を添えたらどう?」との宥めるための提案に頷いて、それでもまだまだ早い7時にアルゴス君とマルケス君が率いるカブトムシ捕獲隊はディーバさんの部屋を急襲していた。幸いな事に起きて軽く書類整理をしていた彼は直ぐ様アルゴス君とマルケス君の頼みを快く聞いてくれた。転送の魔方陣のある部屋に移動し、いきなり送り付けるのはマナー違反だと子供たちに教えながら連絡をとってくれた。
「ありがとう。ディーバ。皆、喜んでくれると良いな」
「そうだよね~。でも、シュリみたいに虫はイヤンって子も居るんだよね~」
「あ!!」
それこそ、今気付いたらしい子供たちは目を丸くして顔を見合わせた後に、がっくりと頭を下げた。チラリとランティスさんたちの持つ、自分達が厳選した各十組のカブトムシとクワガタを見る。合計二十組の甲虫は均等にオーシャンとヴォルケーノにいく予定だ。
「キャーって言われたらどうしよ」
「泣かせるつもりはないもんねぇ」
しょんぼりとする子供たちの頭を優しく撫でていると始祖様があっけらかんと告げる。
「大丈夫だろ。要らないなら要らないって返事来るだろ」
「「そっか。なら良いね」」
「え?良いの?」と思ってしまったのは私だけではなさそうだが、ニコニコと機嫌を直して笑う子供たちに否やはない。
「マンティス、カブトムシとクワガタの長生きの秘密兵器、ある?」
「あげてすぐ死んじゃったら可哀想だよ~」
確かに、転送で負荷がかかったり飼い方が分からないならば、贈られた次の日に甲虫が死んでしまう可能性もある。それを懸念する子供たちに、マンティスさんは小さく笑った。
「大丈夫です。餌や飼育小屋などお世話のしかたはこちらに記入してあります。アレスに複製してもらったこれを一緒に入れれば良いのです」
「「わ~」」
アルゴス君もマルケス君も目を丸くしながらもみるみる笑顔になる。
「マンティス、本当にありがとう」
「アレス、ありがとう~。僕たちのもある?」
「凄いすごい」と言い合いながら飼い方指南書をちょっぴりうらやましそうに見つめる子供たちにマンティスさんとアレスさんが微笑んだ。
「はい。ございます」
「「ありがとう~」」
感極まったアルゴス君とマルケス君が、アレスさんとマンティスさんに抱き付く。
「アルゴス様、マルケス様、両国とも快く受け入れて下さるそうですよ」
「今!!今すぐあげて!!」
「飼い方の秘密兵器と僕たちからのお手紙も入れてね?」
抱き付いてさりげなくマーキングしている子供たちの念を押す言葉に、ディーバさんは微笑みながら魔方陣に向かう。そこに贈り物をセットすると、微かな光を残して各国へと転送される。
「はい。では……。これで贈られましたよ」
「喜んでくれると良いな」
「ね~」
ニコニコ笑顔が願わくば、オーシャンとヴォルケーノの子供たちにも伝わると良いなと漠然と思った。
「早く早く」と急かす子供たちに、私の「贈り物にお手紙を添えたらどう?」との宥めるための提案に頷いて、それでもまだまだ早い7時にアルゴス君とマルケス君が率いるカブトムシ捕獲隊はディーバさんの部屋を急襲していた。幸いな事に起きて軽く書類整理をしていた彼は直ぐ様アルゴス君とマルケス君の頼みを快く聞いてくれた。転送の魔方陣のある部屋に移動し、いきなり送り付けるのはマナー違反だと子供たちに教えながら連絡をとってくれた。
「ありがとう。ディーバ。皆、喜んでくれると良いな」
「そうだよね~。でも、シュリみたいに虫はイヤンって子も居るんだよね~」
「あ!!」
それこそ、今気付いたらしい子供たちは目を丸くして顔を見合わせた後に、がっくりと頭を下げた。チラリとランティスさんたちの持つ、自分達が厳選した各十組のカブトムシとクワガタを見る。合計二十組の甲虫は均等にオーシャンとヴォルケーノにいく予定だ。
「キャーって言われたらどうしよ」
「泣かせるつもりはないもんねぇ」
しょんぼりとする子供たちの頭を優しく撫でていると始祖様があっけらかんと告げる。
「大丈夫だろ。要らないなら要らないって返事来るだろ」
「「そっか。なら良いね」」
「え?良いの?」と思ってしまったのは私だけではなさそうだが、ニコニコと機嫌を直して笑う子供たちに否やはない。
「マンティス、カブトムシとクワガタの長生きの秘密兵器、ある?」
「あげてすぐ死んじゃったら可哀想だよ~」
確かに、転送で負荷がかかったり飼い方が分からないならば、贈られた次の日に甲虫が死んでしまう可能性もある。それを懸念する子供たちに、マンティスさんは小さく笑った。
「大丈夫です。餌や飼育小屋などお世話のしかたはこちらに記入してあります。アレスに複製してもらったこれを一緒に入れれば良いのです」
「「わ~」」
アルゴス君もマルケス君も目を丸くしながらもみるみる笑顔になる。
「マンティス、本当にありがとう」
「アレス、ありがとう~。僕たちのもある?」
「凄いすごい」と言い合いながら飼い方指南書をちょっぴりうらやましそうに見つめる子供たちにマンティスさんとアレスさんが微笑んだ。
「はい。ございます」
「「ありがとう~」」
感極まったアルゴス君とマルケス君が、アレスさんとマンティスさんに抱き付く。
「アルゴス様、マルケス様、両国とも快く受け入れて下さるそうですよ」
「今!!今すぐあげて!!」
「飼い方の秘密兵器と僕たちからのお手紙も入れてね?」
抱き付いてさりげなくマーキングしている子供たちの念を押す言葉に、ディーバさんは微笑みながら魔方陣に向かう。そこに贈り物をセットすると、微かな光を残して各国へと転送される。
「はい。では……。これで贈られましたよ」
「喜んでくれると良いな」
「ね~」
ニコニコ笑顔が願わくば、オーシャンとヴォルケーノの子供たちにも伝わると良いなと漠然と思った。
0
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
こちらの世界でも図太く生きていきます
柚子ライム
ファンタジー
銀座を歩いていたら異世界に!?
若返って異世界デビュー。
がんばって生きていこうと思います。
のんびり更新になる予定。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
★加筆修正中★
なろう様にも掲載しています。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる