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廊下にて 2-3
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発作が収まったエリゴスさんと共に飛竜三兄弟と一緒のアルゴス君とマルケス君の居る広場に行くと、なんと、シュリさん以外のと言うか、明日のカブトムシ捕獲メンバー、つまり男性新人全員が揃っていた。驚いて立ちつくしていると、私達に気付いたランティスさんに促された子供たちが嬉しそうに駆け寄ってきた。
「「ママ!!」」
目の前でぴょんとジャンプして抱きついてきた子供たちを受け止めると、二人は頭をグリグリと擦り付けてきた。
「ママ!!あのな?俺たちが戻っても、イールとイースは遊んでくれたんだ」
「ちびもふじゃないけど大丈夫だったの~。嬉しいよね~」
「イールとイースはカブトムシの樹に行くのに乗せて飛んでくれたんだ。気持ちかった~。じーじは男だから走ったんだ」
「ごめんなさい。でもね?ママなら何回でも乗せて飛んでくれるんだって~!だから泣かなくて良いんだって~」
「「グルァ~」」
「いつでも、任せろ、言った」
競うように教えてくれるアルゴス君とマルケス君の言葉に、イールとイースも同調している。
ああ、でも、イールとイースの背中に始祖様の姿が無かった理由がわかった。彼等に乗車拒否されたからだ。
「始祖様と言えば……」
「ミーナちゃん。そのまま、だ」
言いかけた私を遮り、ウィンクする始祖様とキョトンとしている子供たち。
「 はい」
おそらく、始祖様は何らかの機会に知った、リオさんの正体をアルゴス君とマルケスには伝えていないのだろうとあたりをつけた。リオさんが、子供たちに正体を明かす事を良しとしないのか、頓着していないかはわからないが、始祖様の発言はその秘密にかかる「そのまま」なんだろう。見れば、リオさんと子供たちを除く男性陣は、全員頷いている。
「「ママ、なに~?」」
仲間外れにされたと思ったのか、子供たちが、ちょっぴり頬を膨らませて私を見上げてくる。
「ん?始祖様がイールとイースに乗せてもらえないのに、素直に、うんって頷いたのかな?って思ったの」
答えれば、子供たちはほっとしたのか、ニッコリと笑ってくれた。
「な~んだ。じーじは、苦笑いってのしてた」
「そうなの。それに、じーじはうんって言わなかったよ~。でも、頑張って走ってきたみたいだよ?」
「それがわかったから、お前らの言った通りって言ったんだ」
子供たちの報告に嫌そうに顔をしかめて始祖様が言えば、アルゴス君とマルケス君は不思議そうに首をかしげた。
「「なんで?」」
「なんで?は、なんでミーナちゃんに最後まで言わせなかったのか?であってるか?」
「「はい」」
大きく頷いたアルゴス君とマルケス君の前に来た始祖様は、子供たちの頭をグシャグシャ撫でた。
「ばっか。そんなのちびたちに対する俺の優しさだろうが」
「「わかんない」」
「お前ら、独り占めしたことになんだろ?」
「「あ!!」」
考えても見なかったのだろう子供たちが小さく声を上げると、ささっと私から離れて、額を付き合わせて、こちらに丸聞こえな会議をし始めた。
始祖様はうまく誤魔化したつもりだろうけど、種を蒔いてどうすんのよ。もう。
「そうだった。どうしよ」
「どうしよう~。あ!!じーじにごめんなさい、しよ?許してくれるかもしれないよ?」
マルケス君の提案に力強く頷いたアルゴス君は、二人で手を繋いで、始祖様に頭を下げた。
「「ごめんなさい!!」」
「良いってことよ。気にすんな」
ふっと片頬だけで笑った始祖様に、子供たちはほっとしたように笑っていた。
「「ママ!!」」
目の前でぴょんとジャンプして抱きついてきた子供たちを受け止めると、二人は頭をグリグリと擦り付けてきた。
「ママ!!あのな?俺たちが戻っても、イールとイースは遊んでくれたんだ」
「ちびもふじゃないけど大丈夫だったの~。嬉しいよね~」
「イールとイースはカブトムシの樹に行くのに乗せて飛んでくれたんだ。気持ちかった~。じーじは男だから走ったんだ」
「ごめんなさい。でもね?ママなら何回でも乗せて飛んでくれるんだって~!だから泣かなくて良いんだって~」
「「グルァ~」」
「いつでも、任せろ、言った」
競うように教えてくれるアルゴス君とマルケス君の言葉に、イールとイースも同調している。
ああ、でも、イールとイースの背中に始祖様の姿が無かった理由がわかった。彼等に乗車拒否されたからだ。
「始祖様と言えば……」
「ミーナちゃん。そのまま、だ」
言いかけた私を遮り、ウィンクする始祖様とキョトンとしている子供たち。
「 はい」
おそらく、始祖様は何らかの機会に知った、リオさんの正体をアルゴス君とマルケスには伝えていないのだろうとあたりをつけた。リオさんが、子供たちに正体を明かす事を良しとしないのか、頓着していないかはわからないが、始祖様の発言はその秘密にかかる「そのまま」なんだろう。見れば、リオさんと子供たちを除く男性陣は、全員頷いている。
「「ママ、なに~?」」
仲間外れにされたと思ったのか、子供たちが、ちょっぴり頬を膨らませて私を見上げてくる。
「ん?始祖様がイールとイースに乗せてもらえないのに、素直に、うんって頷いたのかな?って思ったの」
答えれば、子供たちはほっとしたのか、ニッコリと笑ってくれた。
「な~んだ。じーじは、苦笑いってのしてた」
「そうなの。それに、じーじはうんって言わなかったよ~。でも、頑張って走ってきたみたいだよ?」
「それがわかったから、お前らの言った通りって言ったんだ」
子供たちの報告に嫌そうに顔をしかめて始祖様が言えば、アルゴス君とマルケス君は不思議そうに首をかしげた。
「「なんで?」」
「なんで?は、なんでミーナちゃんに最後まで言わせなかったのか?であってるか?」
「「はい」」
大きく頷いたアルゴス君とマルケス君の前に来た始祖様は、子供たちの頭をグシャグシャ撫でた。
「ばっか。そんなのちびたちに対する俺の優しさだろうが」
「「わかんない」」
「お前ら、独り占めしたことになんだろ?」
「「あ!!」」
考えても見なかったのだろう子供たちが小さく声を上げると、ささっと私から離れて、額を付き合わせて、こちらに丸聞こえな会議をし始めた。
始祖様はうまく誤魔化したつもりだろうけど、種を蒔いてどうすんのよ。もう。
「そうだった。どうしよ」
「どうしよう~。あ!!じーじにごめんなさい、しよ?許してくれるかもしれないよ?」
マルケス君の提案に力強く頷いたアルゴス君は、二人で手を繋いで、始祖様に頭を下げた。
「「ごめんなさい!!」」
「良いってことよ。気にすんな」
ふっと片頬だけで笑った始祖様に、子供たちはほっとしたように笑っていた。
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