136 / 269
二国会議 初日 6
しおりを挟む
九十度のおじぎなんて生で初めて見た!!
ヤクザが出てくるドラマなどでしか見たことがなかったのだが、シチュエーションの違いはあれど、威圧感を覚えるより先に、整然とした動きは格好よさを強調して、拍手をおくりたくなってしまった。
アルゴス君とマルケス君にも見せてあげたかったな~。
そんなつもりで頭を下げてくださったわけではないと理解しているつもりでも、子供たちも目を輝かせて喜びそうだと思った。もちろん、想像するだけで、オーシャン組には口がさけても言えないが。
「ミーナ殿はさぞや驚かれたでしょう。このバカタレどもが騒ぎまくって申し訳ない」
オーシャン組が席に着いたとたん、フリストさんに頭を下げられた。お爺ちゃんやお婆ちゃんっこだった私は、高齢の方に謝罪されると逆に申し訳なくてこちらが頭を下げたくなる。
「いえ。私の発言に驚いた事は存じているつもりですから、お気になさらず。むしろ、こちらが申し訳ありません」
「なんと!!なんとお優しい!!お前たちもミーナ様を見習わんか!!」
顔を真っ赤にした勢いで「キェ~」とか奇声をあげそうなフリストさんに、倒れては困ると思ったのか、王様が胸元で小さく手を挙げて視線を集めた。
「フリスト殿。うちのエリゴスとミーナの言動にそちらが反応したのはわかったが、説明してもらっても?」
「はい。陛下。儂なぞに敬称をつけてはなりませんぞ?なめられてはなりません」
王様の言葉に深く頷いたフリストさんは、もう地の喋りにする事に決めたのか、気付いていないのか。自国でも注意する存在が居るのか、孫をたしなめるお爺ちゃんのように王様に接したのが面白かった。王様は「以後気を付ける」と苦笑いした。
「まずは、リオ様と飛竜たちの関係についてですな。飛竜達はリオ様が始祖様と成られた時から共にあったと伝えられております。飛竜達もリオ様も互いを兄弟と呼び、行動を同じくしておられます」
「オーシャンの始祖様は飛竜と共に降臨されたのか」
呆然と呟く王様に同感なのは私だけでないようで、フォレスト組はみな首を縦に振っている。
リオさんと一緒に降臨したって、イールもイースも生きる伝説!?つか、死なないの?寿命無いの!?
「はい。そう伝えられております。飛竜たちはそもそも我等が近寄る事を良しとしません。視界に入るだけで威嚇される始末です。今回はリオ様の宥めがあってなんとか我等を背中に乗せてもらいました」
「だが!!アルゴス様とマルケス様は!!それにミーナはじゃれあっていたぞ!?」
思わず、といった感じで叫んでしまったエリゴスさんにフリストさんは目を丸くした後、私を見つめてくる。その目は「本当か?」と語っていた。
「はい。イール様もイース様も大変包容力がおありで面倒見も良く、最強のお守りになる、と匂いをつけて下さいました」
私の返答に、目がこぼれそうに見開いたオーシャン組の皆さんは、ただただ私を凝視している。又、私が彼等にとってなにか信じがたい事を言ったのは分かったが、こうも何度も驚かれると逆に「そちらの非常識と常識を箇条書きにして提出して下さい」と提案したくなる。
ヤクザが出てくるドラマなどでしか見たことがなかったのだが、シチュエーションの違いはあれど、威圧感を覚えるより先に、整然とした動きは格好よさを強調して、拍手をおくりたくなってしまった。
アルゴス君とマルケス君にも見せてあげたかったな~。
そんなつもりで頭を下げてくださったわけではないと理解しているつもりでも、子供たちも目を輝かせて喜びそうだと思った。もちろん、想像するだけで、オーシャン組には口がさけても言えないが。
「ミーナ殿はさぞや驚かれたでしょう。このバカタレどもが騒ぎまくって申し訳ない」
オーシャン組が席に着いたとたん、フリストさんに頭を下げられた。お爺ちゃんやお婆ちゃんっこだった私は、高齢の方に謝罪されると逆に申し訳なくてこちらが頭を下げたくなる。
「いえ。私の発言に驚いた事は存じているつもりですから、お気になさらず。むしろ、こちらが申し訳ありません」
「なんと!!なんとお優しい!!お前たちもミーナ様を見習わんか!!」
顔を真っ赤にした勢いで「キェ~」とか奇声をあげそうなフリストさんに、倒れては困ると思ったのか、王様が胸元で小さく手を挙げて視線を集めた。
「フリスト殿。うちのエリゴスとミーナの言動にそちらが反応したのはわかったが、説明してもらっても?」
「はい。陛下。儂なぞに敬称をつけてはなりませんぞ?なめられてはなりません」
王様の言葉に深く頷いたフリストさんは、もう地の喋りにする事に決めたのか、気付いていないのか。自国でも注意する存在が居るのか、孫をたしなめるお爺ちゃんのように王様に接したのが面白かった。王様は「以後気を付ける」と苦笑いした。
「まずは、リオ様と飛竜たちの関係についてですな。飛竜達はリオ様が始祖様と成られた時から共にあったと伝えられております。飛竜達もリオ様も互いを兄弟と呼び、行動を同じくしておられます」
「オーシャンの始祖様は飛竜と共に降臨されたのか」
呆然と呟く王様に同感なのは私だけでないようで、フォレスト組はみな首を縦に振っている。
リオさんと一緒に降臨したって、イールもイースも生きる伝説!?つか、死なないの?寿命無いの!?
「はい。そう伝えられております。飛竜たちはそもそも我等が近寄る事を良しとしません。視界に入るだけで威嚇される始末です。今回はリオ様の宥めがあってなんとか我等を背中に乗せてもらいました」
「だが!!アルゴス様とマルケス様は!!それにミーナはじゃれあっていたぞ!?」
思わず、といった感じで叫んでしまったエリゴスさんにフリストさんは目を丸くした後、私を見つめてくる。その目は「本当か?」と語っていた。
「はい。イール様もイース様も大変包容力がおありで面倒見も良く、最強のお守りになる、と匂いをつけて下さいました」
私の返答に、目がこぼれそうに見開いたオーシャン組の皆さんは、ただただ私を凝視している。又、私が彼等にとってなにか信じがたい事を言ったのは分かったが、こうも何度も驚かれると逆に「そちらの非常識と常識を箇条書きにして提出して下さい」と提案したくなる。
0
お気に入りに追加
433
あなたにおすすめの小説
転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~
丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。
一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。
それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。
ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。
ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。
もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは……
これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
飯屋の娘は魔法を使いたくない?
秋野 木星
ファンタジー
3歳の時に川で溺れた時に前世の記憶人格がよみがえったセリカ。
魔法が使えることをひた隠しにしてきたが、ある日馬車に轢かれそうになった男の子を助けるために思わず魔法を使ってしまう。
それを見ていた貴族の青年が…。
異世界転生の話です。
のんびりとしたセリカの日常を追っていきます。
※ 表紙は星影さんの作品です。
※ 「小説家になろう」から改稿転記しています。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
こちらの世界でも図太く生きていきます
柚子ライム
ファンタジー
銀座を歩いていたら異世界に!?
若返って異世界デビュー。
がんばって生きていこうと思います。
のんびり更新になる予定。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
★加筆修正中★
なろう様にも掲載しています。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる