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二国会議 初日 1

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「先ずは謝罪させてほしい。王族とは言え、幼い子供の、しかも獣還りの最中の同席、申し訳なかった」
 謝罪を口にした王様に対し、フォレスト、オーシャン問わず、皆が軽くざわめいた。
 しかし、すぐに頭を下げたディーバさんに倣い、私たちフォレスト組も礼をする。自分達の仕える王だけにはさせられない。
 それにしても、こうも潔い主だと、仕えるこちらも品行方正でいかなければ、と身が引き締まる気がする。
 ホスト国の王族は、晩餐には絶対参加と言う暗黙のルールがフォレストだけでなく、この世界にはあるようだ。
 だが、昼食会にアルゴス君とマルケス君を参加させたのは私がここに来てから「ずっと一緒だったママといきなり引き離すのだから、食事くらいは共に」という王様の独断だったらしい。
「いえ、何もお気になさらず。失礼を承知で言えば、アルゴス様とマルケス様の著しい成長の理由をお伺いしたいくらいです」
 使者団の中どころか、この場に居る者達の中では恐らく最年長である、長い白髪に豊かな白髭を蓄えた男性が言った。彼にはスレンダーなサンタクロースというイメージが沸き上がる。
 「お伺いしたいくらい」とは言っていても、「ぜひ知りたい」と匂わせているが、当然だろうと思う。今の子供たちしか知らない私はにわかには信じられないが、聞けば聞くほど頭を抱えたくなる、「これぞ正しく、クソガキ」と言ったエピソードに事欠かないアルゴス君とマルケス君が大人しく着席し、お行儀良くご挨拶も食事もし、マナー違反かな?と子供達が思う時は自主的に謝ったのだ。
 きちんと、とは言っても私の膝の上だったが非常時なので仕方ない。クソガキからの突然のシフトチェンジにも驚かず、理由を聞きたくならないはずがない。
 小さく胸元で手を上げて視線を集めてからディーバさんが口を開いた。
「驚かれるのも無理はありません。すでにお気付きの方も居るかと思いますが、アルゴス様とマルケス様は、新しく情緒面のしつけ係となりました、こちらのミーナをママと呼び、大変慕っております。彼女の手腕はもとより、アルゴス様とマルケス様の、ママに嫌われたくないという気持ちも大きいように思われます」
 ディーバさんの説明にサンタクロースさんも、深々と頷いた。しつけ係なのに、彼等の傍を離れているという物から、子を産み出す存在は置かないはずの王の傍らにいるという事などの数々の矛盾点に彼等が気付かない内に、つつかれボロを出さない為にも先手必勝でとっとと自己紹介してしまうことにした。王やディーバさんの思惑が分からない為、下手に動くことは出来ないのも痛い。
「ミーナと申します。若輩者であります故に、ご指導、ご鞭撻、よろしくお願いします」
 一息に言って、最上級の営業スマイルを浮かべる。熱に浮かされているようにぽーっとなっている使者団の面々に、「あぁ、本当に私は美人と言われる容姿なんだな」という諦めにも似た思いと「営業の武器ゲット~」とはしゃぐ、両極とも言えそうな感情が押し寄せていた。
「ミーナに続きまして、新参の我々の自己紹介をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
 ニカッと男臭く笑うランティスさんに、気を取り直したように、使者団の皆様が頷いた。
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