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国の名前と取り巻く環境 7
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「ミーナちゃん、三つの国で戦争やきな臭い話は無ぇんだ。そこは心配すんな」
「はい」
だが、断言されたがゆえに疑問が懸念となる。何故、母なる森が始祖さまへ私の所へ行けと言ったのか。
「知識を共有している始祖様にも母なる森の真意は判らないのですか?」
「あぁ。悪いな。ミーナちゃん。俺は知識は共有しているけど、意識までは共有してないんだ」
「「「「あ」」」」
目から鱗な説明に、何人かの呟きとハモった。
そうだ。森は森、始祖様は始祖様として存在した上で知識を共有しているからこそ、個人として始祖様は自由に発言し、行動出来るのだ。強いて言えば、フォレスト限定のリアルタイムで補足追加出来る辞書を共有しているにすぎない。一人納得していると、つんっと服を引っ張られて視線をアルゴス君に向ける。
「どうしたの?」
「あの、な?ママ、聞いても良い?」
「もちろん」
ぎこちなくはあるだろうが、笑顔を浮かべて答えるとほっと安心したように子供達が口を開いた。
「きょーゆーってなんだ?」
「意識と知識はどう違うの?」
マルケス君のは、難しい質問だな~。
脳みそをフル回転させつつ先ずはアルゴス君の質問から答える。
「共有は自分だけでなく誰かと一緒に何かを使ったり守ったりする事だよ」
「じゃ、今、俺達とママは、この椅子をきょーゆーしてるって事?」
「そう!!良く分かったね~。アルゴス君、凄い!!」
頭を撫で回すと嬉しそうに笑ってくれるが、ハッと表情を引き締めた。
「マルケスは?」
「もちろん良い子だよ?二人とも良い子」
不安そうなアルゴス君の問い掛けにすぐに答えると、彼はふにゃりと微笑んで私の膝から椅子へと移り、マルケス君に奨めた。
「順番こ!!マルケス、良いよ」
「アルゴス、ありがとう~!!」
いそいそと私の膝に座ったマルケス君はにっこりと笑った。譲り合いが出来る子供達の頭を私は両手で撫で回した。
「順番こが出来るアルゴス君もマルケス君もとっても偉い!!すごく良い子だよ」
「「きゃ~!!」」
子供達がはしゃぎ歓声をあげる姿を男性陣は微笑ましげに見ている。
「ママ?違いは?」
「ちょっと難しいよ?意識はこうやってお喋りしたり自分で動いて考えられる事、かな?知識はいろんなお勉強して溜めるもの、だよ」
「意識は、寝たふりだとあるけど、寝てたら無いって思っても良い?」
「そう!!マルケス君、すごい!!難しいのに良く分かったね!!」
「さっすが、マルケスッ!!俺、わかんね~」
アルゴス君にも褒められたマルケス君は、にっこり笑いながら誇らしげに胸を反らしている。
「じゃぁ、じ~じはお勉強しなくても頭良いってことなの?」
「じ~じ、ずるいっ!!俺たちもお勉強したくないっ!!」
マルケス君の疑問に、アルゴス君が始祖様に対して抗議の声を上げた。困ったな~と言う声で二人に説いてみる。
「どうしてもお勉強したくないなら、しなくても良いけど、そうすると大人になれないんじゃない?」
「「だって、じ~じ……」」
子供達は納得出来ないのかしたくないのか、恨めしそうに始祖様に視線を向ける。
「アルゴス君とマルケス君は大人?」
「「子供」」
「そうだね。だから大人になる為にお勉強してるんだもんね。始祖様は?」
「「大人。あ!!」」
気付いてくれたようで子供達は目を丸くしたまま、ぱちぱちと瞬きした。
「そう、始祖様はいっぱいいっぱいお勉強して、大人になってから始祖様になったんだよ?ズルしたわけじゃないね~」
「「はい!! じ~じ、狡いって言ってごめんなさい!!」」
「気にすんな~。つか、アルゴスもマルケスも、良い子レベル上がってんじゃん」
始祖様の言葉に子供達は「ぇへへ~」と照れ臭そうに笑っている。
「はい」
だが、断言されたがゆえに疑問が懸念となる。何故、母なる森が始祖さまへ私の所へ行けと言ったのか。
「知識を共有している始祖様にも母なる森の真意は判らないのですか?」
「あぁ。悪いな。ミーナちゃん。俺は知識は共有しているけど、意識までは共有してないんだ」
「「「「あ」」」」
目から鱗な説明に、何人かの呟きとハモった。
そうだ。森は森、始祖様は始祖様として存在した上で知識を共有しているからこそ、個人として始祖様は自由に発言し、行動出来るのだ。強いて言えば、フォレスト限定のリアルタイムで補足追加出来る辞書を共有しているにすぎない。一人納得していると、つんっと服を引っ張られて視線をアルゴス君に向ける。
「どうしたの?」
「あの、な?ママ、聞いても良い?」
「もちろん」
ぎこちなくはあるだろうが、笑顔を浮かべて答えるとほっと安心したように子供達が口を開いた。
「きょーゆーってなんだ?」
「意識と知識はどう違うの?」
マルケス君のは、難しい質問だな~。
脳みそをフル回転させつつ先ずはアルゴス君の質問から答える。
「共有は自分だけでなく誰かと一緒に何かを使ったり守ったりする事だよ」
「じゃ、今、俺達とママは、この椅子をきょーゆーしてるって事?」
「そう!!良く分かったね~。アルゴス君、凄い!!」
頭を撫で回すと嬉しそうに笑ってくれるが、ハッと表情を引き締めた。
「マルケスは?」
「もちろん良い子だよ?二人とも良い子」
不安そうなアルゴス君の問い掛けにすぐに答えると、彼はふにゃりと微笑んで私の膝から椅子へと移り、マルケス君に奨めた。
「順番こ!!マルケス、良いよ」
「アルゴス、ありがとう~!!」
いそいそと私の膝に座ったマルケス君はにっこりと笑った。譲り合いが出来る子供達の頭を私は両手で撫で回した。
「順番こが出来るアルゴス君もマルケス君もとっても偉い!!すごく良い子だよ」
「「きゃ~!!」」
子供達がはしゃぎ歓声をあげる姿を男性陣は微笑ましげに見ている。
「ママ?違いは?」
「ちょっと難しいよ?意識はこうやってお喋りしたり自分で動いて考えられる事、かな?知識はいろんなお勉強して溜めるもの、だよ」
「意識は、寝たふりだとあるけど、寝てたら無いって思っても良い?」
「そう!!マルケス君、すごい!!難しいのに良く分かったね!!」
「さっすが、マルケスッ!!俺、わかんね~」
アルゴス君にも褒められたマルケス君は、にっこり笑いながら誇らしげに胸を反らしている。
「じゃぁ、じ~じはお勉強しなくても頭良いってことなの?」
「じ~じ、ずるいっ!!俺たちもお勉強したくないっ!!」
マルケス君の疑問に、アルゴス君が始祖様に対して抗議の声を上げた。困ったな~と言う声で二人に説いてみる。
「どうしてもお勉強したくないなら、しなくても良いけど、そうすると大人になれないんじゃない?」
「「だって、じ~じ……」」
子供達は納得出来ないのかしたくないのか、恨めしそうに始祖様に視線を向ける。
「アルゴス君とマルケス君は大人?」
「「子供」」
「そうだね。だから大人になる為にお勉強してるんだもんね。始祖様は?」
「「大人。あ!!」」
気付いてくれたようで子供達は目を丸くしたまま、ぱちぱちと瞬きした。
「そう、始祖様はいっぱいいっぱいお勉強して、大人になってから始祖様になったんだよ?ズルしたわけじゃないね~」
「「はい!! じ~じ、狡いって言ってごめんなさい!!」」
「気にすんな~。つか、アルゴスもマルケスも、良い子レベル上がってんじゃん」
始祖様の言葉に子供達は「ぇへへ~」と照れ臭そうに笑っている。
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