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国の名前と取り巻く環境 6
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笑いが収まった瞬間、王様が爆弾を投下した。
「ついてはミーナには隣国の使者殿と対話してもらいたい」
いきなり使者懇談~!?
叫び出さなかった私自身に乾杯、な気分のままで極上の笑顔で毒を吐く。
「確かに私の使い方を考えろとは言いましたが、丸投げですか?」
私の言葉に、慌てたように首を横に振る王様の姿に溜飲を少し下げた。
「いや!!そういう意図ではない!!その笑みは止めろっ!! ミーナは外交官の前にアルゴスとマルケスのママだろう!?置いて他国に行こう物なら追い掛けて脱走しかねん」
あ~。確かに子供達が私を後追いする姿が簡単に予想出来るわ~。
「そうだよ!!ママは俺達のママなんだから、ママが出掛けるなら俺達もっ!!」
「そうだよ!!僕達とずっと一緒に居てくれるんでしょ?お約束、守って?」
いち早くアルゴス君とマルケス君に言われて、確かにその通りだと謝罪する。
「私の事しか考えていませんでした。申し訳ありません。 アルゴス君、マルケス君、ごめんね。お約束、破っちゃうところだった」
「いや、こちらこそ悪かった」
苦笑を浮かべながら王様が頭を下げてくれる。
「大丈夫!!」
「ママはまだお約束、破ってないから平気だよ~」
アルゴス君は私の頬っぺたを摩りながら、マルケス君は私の腕をモミモミしながら言ってくれた。子供達に癒しを貰い、私は前置き無しに、ずばりと聞いてみる。
「始祖様がいらっしゃった理由と陛下が私と使者殿と面談せよとのお考えには重なる所があるのではないでしょうか?」
私の言葉に目を見張る王様とは逆に、始祖様はニヤリと笑う。
「なんでミーナちゃんはそう思った?」
「はい。始祖様がこちらへいらした理由をぼかしていた事と、言質をとろうとなさったからです。 陛下は始祖様の作り出した流れに乗っただけと判断しました」
子供達の心を傷付けてはならぬと、あえて誰から言質をとったかはぼかして言ったが、始祖様は邪気の無い笑顔を浮かべた。
「やっぱ、ミーナちゃん良いわ~。嫁に来て」
「ママは俺達の嫁!!」
「そうだよ!!僕達がおっきくなったら結婚して、ママはお嫁さんになるの!!」
子供達は椅子から降りはしないが、代わりとばかりにテーブルを両手でバンバンと派手に叩いて抗議行動をとり始めた。
「始祖様!!プ、ぷ、プロポーズは軽々しくするものではありません!!神聖な誓いなのですから、冗談ではすみませんよ!?」
耳まで真っ赤に染めたエリゴスさんが悲鳴にも似た叫びを上げた。
「わぁかったって!!エリゴス、お前、いつか血管ブチ切れんじゃね」
「誰がさ……」
言いかけたエリゴスさんの口をソルゴスさんが大きな手で塞ぐ。不服そうに被っている手をビタビタと叩いているが、どこ吹く風とばかりに涼しい顔だ。一連の動作にアルゴス君とマルケス君はぽかんと口を開けている。
「正直、俺にも初めての事でわかんね~んだけど、森が行けったんだよ」
「「「「森が!?」」」」
「母なる森が、ですか?」
男性陣の驚愕の言葉と私のそれが重なる。
そんな私達に小さく頷いて、お手上げポーズの始祖様が続けた。
「そ。俺が森と一対になって初めてだ。使者がフォレストに災いを運ぶからか、ミーナちゃん個人を心配しているのか、だと思うが、前者は今更だろ?でも、後者だとしたら何故ミーナちゃんを心配する?」
始祖様の疑問はもっともだ。召喚の儀でフォレストに来た異世界人は私が初めてではないらしい。それなのに森が指示を出した。
ごちゃごちゃと思考が絡み、どうすれば良いのか、何を考えれば良いのかがわからない。
「「ママ!!」」
アルゴス君にパチンと頬を挟まれ、マルケス君に強く揺さ振られ、ぐちゃぐちゃになった意識を取り戻す。
「ありがとう。アルゴス君、マルケス君」
小さく頷いてくれるが、私の顔色が悪いのだろう。子供達の表情は冴えない。
「ついてはミーナには隣国の使者殿と対話してもらいたい」
いきなり使者懇談~!?
叫び出さなかった私自身に乾杯、な気分のままで極上の笑顔で毒を吐く。
「確かに私の使い方を考えろとは言いましたが、丸投げですか?」
私の言葉に、慌てたように首を横に振る王様の姿に溜飲を少し下げた。
「いや!!そういう意図ではない!!その笑みは止めろっ!! ミーナは外交官の前にアルゴスとマルケスのママだろう!?置いて他国に行こう物なら追い掛けて脱走しかねん」
あ~。確かに子供達が私を後追いする姿が簡単に予想出来るわ~。
「そうだよ!!ママは俺達のママなんだから、ママが出掛けるなら俺達もっ!!」
「そうだよ!!僕達とずっと一緒に居てくれるんでしょ?お約束、守って?」
いち早くアルゴス君とマルケス君に言われて、確かにその通りだと謝罪する。
「私の事しか考えていませんでした。申し訳ありません。 アルゴス君、マルケス君、ごめんね。お約束、破っちゃうところだった」
「いや、こちらこそ悪かった」
苦笑を浮かべながら王様が頭を下げてくれる。
「大丈夫!!」
「ママはまだお約束、破ってないから平気だよ~」
アルゴス君は私の頬っぺたを摩りながら、マルケス君は私の腕をモミモミしながら言ってくれた。子供達に癒しを貰い、私は前置き無しに、ずばりと聞いてみる。
「始祖様がいらっしゃった理由と陛下が私と使者殿と面談せよとのお考えには重なる所があるのではないでしょうか?」
私の言葉に目を見張る王様とは逆に、始祖様はニヤリと笑う。
「なんでミーナちゃんはそう思った?」
「はい。始祖様がこちらへいらした理由をぼかしていた事と、言質をとろうとなさったからです。 陛下は始祖様の作り出した流れに乗っただけと判断しました」
子供達の心を傷付けてはならぬと、あえて誰から言質をとったかはぼかして言ったが、始祖様は邪気の無い笑顔を浮かべた。
「やっぱ、ミーナちゃん良いわ~。嫁に来て」
「ママは俺達の嫁!!」
「そうだよ!!僕達がおっきくなったら結婚して、ママはお嫁さんになるの!!」
子供達は椅子から降りはしないが、代わりとばかりにテーブルを両手でバンバンと派手に叩いて抗議行動をとり始めた。
「始祖様!!プ、ぷ、プロポーズは軽々しくするものではありません!!神聖な誓いなのですから、冗談ではすみませんよ!?」
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「わぁかったって!!エリゴス、お前、いつか血管ブチ切れんじゃね」
「誰がさ……」
言いかけたエリゴスさんの口をソルゴスさんが大きな手で塞ぐ。不服そうに被っている手をビタビタと叩いているが、どこ吹く風とばかりに涼しい顔だ。一連の動作にアルゴス君とマルケス君はぽかんと口を開けている。
「正直、俺にも初めての事でわかんね~んだけど、森が行けったんだよ」
「「「「森が!?」」」」
「母なる森が、ですか?」
男性陣の驚愕の言葉と私のそれが重なる。
そんな私達に小さく頷いて、お手上げポーズの始祖様が続けた。
「そ。俺が森と一対になって初めてだ。使者がフォレストに災いを運ぶからか、ミーナちゃん個人を心配しているのか、だと思うが、前者は今更だろ?でも、後者だとしたら何故ミーナちゃんを心配する?」
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