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第二八話 笑顔に満ちた思い出づくり

第二八話 六

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 高くなった陽が地上に柔らかに降り注ぎ、冷えていた空気にぬくもりを与える。時間でいえば一一時前といったところか。
「そろそろ腹減ってきたなー」
 伸びをしながら呟くガザを慈乃はちらりと見た。
「あと少しですし、頑張りましょう」
「そうだなぁ。あ、空腹しのぎになんか面白い話してくれよ、トゥナ」
「なんでオレなの⁉」
 慈乃とガザの数歩先を歩いていたトゥナがばっと勢いよく振り返る。一方で、ガザはニヤニヤしていた。
「いやぁ、暇そうに歩いてるなぁって思ったからさ」
「そんな歩き方してないよ! ……えぇ、面白い話……?」
「結局話すんですね」
 悩み始めるトゥナを横目に見遣るソラルは、呆れたような憐れむような顔をしていた。トゥナはそんな顔で見られているとも知らずに真剣に考え込む。
「そんな急に言われてもなぁ……。……あ、そうだ!」
 たっぷり一分間ほど使って、トゥナはようやく声をあげた。
「お、あるんじゃん」
 期待とからかいの入り混じった瞳でガザはトゥナをじっと見つめた。
「この間オレと一緒にモテようとしてる友達が新しい作戦を練ってきたんだけどね」
「もうオチが見えたんですが」
「オレも。やっぱトゥナに話振ったオレが馬鹿だったわ」
「せめて最後まで聞いてよっ!」
 ガザ達のいつも通り軽快なやりとりを聞いているうちに目的の店の前に着いた。
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