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第二三話 めぐる笑顔
第二三話 八
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「そろそろ戻ろうか」
広場の時計を見上げてウタセが腰を上げる。時刻は午後四時前で、陽は既に傾きかけていた。
祭の帰り道は子ども達と一緒に学び家に戻ることになっているから、今から集合場所へ向かい始めないと遅刻してしまう。
「そうですね」
慈乃もウタセに続いてベンチから立ち上がった。
来た道を逆行していく。ひと通りは相変わらずの混雑ぶりだったので、ウタセと離れないように注意しながら歩いた。
集合場所へ向かう途中でミトドリとニアに遭遇した。
「あら、シノも来てたんだ」
「はい。お休みは今日までなので、せっかくだからとウタくんに誘ってもらいました」
「そうなの。あたしもシノに声かければ良かったなぁ」
ニアが悔しそうに歯嚙みする。ミトドリはそんな妹の様子に苦笑いを浮かべていたが、慈乃の持つ大量のガラス玉に気づいたようで目をまるくした。
「ずいぶんたくさん取ったじゃないか」
「これは、テオくんとウルくん、スイくんにいただいたんです」
彼らの成長ぶりに触れながらその時のことを話すと、ニアもミトドリも感心したように息を吐いた。
「テオもウルもすっかりお兄ちゃんだ」
「そうだね。わたしも居合わせたかったよ」
「シノ達が羨ましい」
ニアの言葉に、ウタセが自慢げに笑った。
「でしょ?」
「今イラっとした」
「えー。またそういうこと言うんだから、ニア姉は!」
「はいはい。けんかしない」
子ども達がいないからか、ウタセ達のやり取りは幾分か幼く思えた。慈乃が小さく笑うと、彼らははたとして言い合いを止めた。
「まーた、何か言いあってんのか」
「飽きないね~」
振り返ると呆れ顔をするスギナとツクシが立っていた。
「シノちゃんも呆れちゃうよね~」
「いえ、私は……。本当に仲が良いのだなと」
「なんで他人事なの! シノも入ってるんだからね」
ニアは慈乃に抱き着くと、そのまま慈乃の目をじっと見つめた。
「シノも家族! あたしにとっては可愛い妹なんだから!」
ニアの言葉がくすぐったくて、慈乃は笑って「はい」と答えた。
広場の時計を見上げてウタセが腰を上げる。時刻は午後四時前で、陽は既に傾きかけていた。
祭の帰り道は子ども達と一緒に学び家に戻ることになっているから、今から集合場所へ向かい始めないと遅刻してしまう。
「そうですね」
慈乃もウタセに続いてベンチから立ち上がった。
来た道を逆行していく。ひと通りは相変わらずの混雑ぶりだったので、ウタセと離れないように注意しながら歩いた。
集合場所へ向かう途中でミトドリとニアに遭遇した。
「あら、シノも来てたんだ」
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「ずいぶんたくさん取ったじゃないか」
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