238 / 454
第一七話 夏の終わりに縁日を
第一七話 二一
しおりを挟む
気づけば一時間ほど経っていた。果物飴の屋台の様子を遠目にうかがえば、店番はヒイラギとフィオに変わっていた。特に問題なさそうに接客をしていることを確認して、慈乃はテオに向き直った。
「まだ行っていないのはおにぎりとかき氷と輪投げですね」
「あ、かきごおりがたべたいな」
「行ってみましょうか」
かき氷の屋台ではアスキがひたすら氷を削っていて、ヨルメイが注文を取ってシロップをかけていた。
「テオくんはどの味が好きですか?」
テオは三種類のシロップのうち、緑色を指さした。
「メロンだよ」
「そういえば、果物飴のときもメロンを推していましたね」
話を聞いていたヨルメイが注文の確認をとった。
「テオくんはメロン。シノ姉さんはどうしますか?」
「では、レモンで」
削った氷をのせた紙コップをアスキから受け取ったヨルメイは、注文通りのシロップを手際よくかけていく。
「ありがとうございました」
ヨルメイがそういうのと同時に、アスキもにっこりと笑った。ふたりに見送られ、慈乃達は次に輪投げの屋台に向かうことにした。
「いらっしゃーい」
「輪投げやっていきませんか」
カルリアとソラルの呼び声に、慈乃とテオは頷いた。
ルールは簡単で、三本の輪を得点のついた棒に投げ入れて、合計点によって景品を持ち帰ることができるというものだった。
「テオは何が欲しいの?」
「きらきらするおもちゃ」
慈乃とカルリアが首を傾げる一方で、ソラルはテオの視線を追って得心した様子だった。
「もしかして万華鏡ですか。なかなか難しいところを狙ってきましたね」
「頑張ってくださいね、テオくん」
一本目は一番手前の低い得点の棒に入った。続く二本目は外してしまったが、最後の三本目で最奥の高得点の棒に入った。見守っていた三人は拍手する。欲しかった景品とも交換できて、テオは満足そうだった。
「まだ行っていないのはおにぎりとかき氷と輪投げですね」
「あ、かきごおりがたべたいな」
「行ってみましょうか」
かき氷の屋台ではアスキがひたすら氷を削っていて、ヨルメイが注文を取ってシロップをかけていた。
「テオくんはどの味が好きですか?」
テオは三種類のシロップのうち、緑色を指さした。
「メロンだよ」
「そういえば、果物飴のときもメロンを推していましたね」
話を聞いていたヨルメイが注文の確認をとった。
「テオくんはメロン。シノ姉さんはどうしますか?」
「では、レモンで」
削った氷をのせた紙コップをアスキから受け取ったヨルメイは、注文通りのシロップを手際よくかけていく。
「ありがとうございました」
ヨルメイがそういうのと同時に、アスキもにっこりと笑った。ふたりに見送られ、慈乃達は次に輪投げの屋台に向かうことにした。
「いらっしゃーい」
「輪投げやっていきませんか」
カルリアとソラルの呼び声に、慈乃とテオは頷いた。
ルールは簡単で、三本の輪を得点のついた棒に投げ入れて、合計点によって景品を持ち帰ることができるというものだった。
「テオは何が欲しいの?」
「きらきらするおもちゃ」
慈乃とカルリアが首を傾げる一方で、ソラルはテオの視線を追って得心した様子だった。
「もしかして万華鏡ですか。なかなか難しいところを狙ってきましたね」
「頑張ってくださいね、テオくん」
一本目は一番手前の低い得点の棒に入った。続く二本目は外してしまったが、最後の三本目で最奥の高得点の棒に入った。見守っていた三人は拍手する。欲しかった景品とも交換できて、テオは満足そうだった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】返してください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと我慢をしてきた。
私が愛されていない事は感じていた。
だけど、信じたくなかった。
いつかは私を見てくれると思っていた。
妹は私から全てを奪って行った。
なにもかも、、、、信じていたあの人まで、、、
母から信じられない事実を告げられ、遂に私は家から追い出された。
もういい。
もう諦めた。
貴方達は私の家族じゃない。
私が相応しくないとしても、大事な物を取り返したい。
だから、、、、
私に全てを、、、
返してください。
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャららA12・山もり
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。
なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。
普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。
それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。
そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
異世界に来たからといってヒロインとは限らない
あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理!
ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※
ファンタジー小説大賞結果発表!!!
\9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/
(嬉しかったので自慢します)
書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン)
変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします!
(誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願
※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。
* * *
やってきました、異世界。
学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。
いえ、今でも懐かしく読んでます。
好きですよ?異世界転移&転生モノ。
だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね?
『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。
実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。
でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。
モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ?
帰る方法を探して四苦八苦?
はてさて帰る事ができるかな…
アラフォー女のドタバタ劇…?かな…?
***********************
基本、ノリと勢いで書いてます。
どこかで見たような展開かも知れません。
暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる