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第一六話 遠足は花々に満ちあふれて
第一六話 一四
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慈乃が振り返るよりも先に、顔を上げたニアが慈乃を腕に抱えたままに背後の人物の名を呼んだ。
「ミト兄、ウタ」
「ニア。場所を考えようっていつも言ってるだろう?」
一向に慈乃を離さないニアだったが、ミトドリに窘められてようやく慈乃を腕から解放した。
「ニア姉ばっかりずるいよ。僕だってシノと仲良くしたいのに」
「そこは姉の特権ってやつよ」
下の子ども達がいないせいか、ウタセもニアもどこか子どもっぽい。今にも軽い姉弟げんかを始めそうな雰囲気に慈乃はおどおどするばかりだったが、ミトドリは慣れた様子で「はい、けんかはよそうね」とふたりを引き離した。
ふたりが大人しくなったのを見て、ミトドリが慈乃に訊いてきた。
「シノはニアとどこを回ってたんだい?」
「花の市を見てから、グルメツアーをしています」
ミトドリは柔らかに笑んだ。
「そうかい。シノにとっては珍しいものばかりかな」
「はい。こんなに花があるところは、そうないかと思いました」
「なら、遠足先をここにしたのは正解だったね」
「ミト兄、ウタ」
「ニア。場所を考えようっていつも言ってるだろう?」
一向に慈乃を離さないニアだったが、ミトドリに窘められてようやく慈乃を腕から解放した。
「ニア姉ばっかりずるいよ。僕だってシノと仲良くしたいのに」
「そこは姉の特権ってやつよ」
下の子ども達がいないせいか、ウタセもニアもどこか子どもっぽい。今にも軽い姉弟げんかを始めそうな雰囲気に慈乃はおどおどするばかりだったが、ミトドリは慣れた様子で「はい、けんかはよそうね」とふたりを引き離した。
ふたりが大人しくなったのを見て、ミトドリが慈乃に訊いてきた。
「シノはニアとどこを回ってたんだい?」
「花の市を見てから、グルメツアーをしています」
ミトドリは柔らかに笑んだ。
「そうかい。シノにとっては珍しいものばかりかな」
「はい。こんなに花があるところは、そうないかと思いました」
「なら、遠足先をここにしたのは正解だったね」
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