149 / 454
第一四話 輝く夏の始まりは
第一四話 三
しおりを挟む
「それにしても暑いよね~」
「シノ達は暑くねえの? よくこんなとこでじっとしてられるよな」
スギナは襟元をつまんで煽いた。プール遊びで濡らされることを考慮したからかスギナもツクシもTシャツにハーフパンツと軽装である。一応慈乃も動きやすい服装ではあるがニアに「病み上がりなんだから」と言われて薄手の羽織物を肩にかけていた。
「ですが湿気がそこまでないので、まだ良いかと」
泉に囲まれた中央の教会や水路が張り巡らされた街中はむわっとしていて不快な暑さだと感じるが、郊外に位置するこの辺りではそこまで湿度は高くない。そのため夏の暑さのなかでも過ごしやすい方であると思えた。
「シノちゃんって本当にカモミールの花守なの~? 暑さに強くない~?」
「完全な花守ではない、らしいです」
ウタセ曰く、慈乃はまだ半分人間で半分妖精の状態なのだという。そのため、髪色は白銀で瞳の色は黄金のまま、カモミールの精と会話はできるが花守の力は使えないというなんとも中途半端な状態であった。
「じゃあボク達とおそろいだね~」
「おそろい、ですか?」
まさかツクシとスギナが半分は人間ということではないだろう。慈乃が首を傾げると、隣のウルフィニも慈乃の真似をした。
「ボクとスギナはふたりで一人前の花守だから~。半分は妖精で、もう半分が花守としての妖精でしょ~?」
「あ、そういうことですか」
「ツクシ、そろそろ戻んねえとニアにどやされる」
「は~い。それじゃ~、シノちゃんとウルくんも良かったらおいでね~」
ツクシは手を振りながら、スギナと並び歩いてプールの方へ戻っていった。
「シノ達は暑くねえの? よくこんなとこでじっとしてられるよな」
スギナは襟元をつまんで煽いた。プール遊びで濡らされることを考慮したからかスギナもツクシもTシャツにハーフパンツと軽装である。一応慈乃も動きやすい服装ではあるがニアに「病み上がりなんだから」と言われて薄手の羽織物を肩にかけていた。
「ですが湿気がそこまでないので、まだ良いかと」
泉に囲まれた中央の教会や水路が張り巡らされた街中はむわっとしていて不快な暑さだと感じるが、郊外に位置するこの辺りではそこまで湿度は高くない。そのため夏の暑さのなかでも過ごしやすい方であると思えた。
「シノちゃんって本当にカモミールの花守なの~? 暑さに強くない~?」
「完全な花守ではない、らしいです」
ウタセ曰く、慈乃はまだ半分人間で半分妖精の状態なのだという。そのため、髪色は白銀で瞳の色は黄金のまま、カモミールの精と会話はできるが花守の力は使えないというなんとも中途半端な状態であった。
「じゃあボク達とおそろいだね~」
「おそろい、ですか?」
まさかツクシとスギナが半分は人間ということではないだろう。慈乃が首を傾げると、隣のウルフィニも慈乃の真似をした。
「ボクとスギナはふたりで一人前の花守だから~。半分は妖精で、もう半分が花守としての妖精でしょ~?」
「あ、そういうことですか」
「ツクシ、そろそろ戻んねえとニアにどやされる」
「は~い。それじゃ~、シノちゃんとウルくんも良かったらおいでね~」
ツクシは手を振りながら、スギナと並び歩いてプールの方へ戻っていった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
移転した俺は欲しい物が思えば手に入る能力でスローライフするという計画を立てる
みなと劉
ファンタジー
「世界広しといえども転移そうそう池にポチャンと落ちるのは俺くらいなもんよ!」
濡れた身体を池から出してこれからどうしようと思い
「あー、薪があればな」
と思ったら
薪が出てきた。
「はい?……火があればな」
薪に火がついた。
「うわ!?」
どういうことだ?
どうやら俺の能力は欲しいと思った事や願ったことが叶う能力の様だった。
これはいいと思い俺はこの能力を使ってスローライフを送る計画を立てるのであった。
晴明、異世界に転生する!
るう
ファンタジー
穢れを祓うことができる一族として、帝国に認められているロルシー家。獣人や人妖を蔑視する人間界にあって、唯一爵位を賜った人妖一族だ。前世で最強人生を送ってきた安倍晴明は、このロルシー家、末の息子として生を受ける。成人の証である妖への転変もできず、未熟者の証明である灰色の髪のままの少年、それが安倍晴明の転生した姿だった。
【完結】魔王様、溺愛しすぎです!
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
「パパと結婚する!」
8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!
拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。
シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264)
挿絵★あり
【完結】2021/12/02
※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過
※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過
※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位
※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品
※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24)
※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品
※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品
※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品
異世界帰りの英雄は理不尽な現代でそこそこ無双する〜やりすぎはいかんよ、やりすぎは〜
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
<初投稿4日目からは『お昼12:00頃』の毎日配信となります>
「異世界から元の世界に戻るとレベルはリセットされる」⋯⋯そう女神に告げられるも「それでも元の世界で自分の人生を取り戻したい」と言って一から出直すつもりで元の世界に戻った結城タケル。
死ぬ前の時間軸——5年前の高校2年生の、あの事故現場に戻ったタケル。そこはダンジョンのある現代。タケルはダンジョン探索者《シーカー》になるべくダンジョン養成講座を受け、初心者養成ダンジョンに入る。
レベル1ではスライム1匹にさえ苦戦するという貧弱さであるにも関わらず、最悪なことに2匹のゴブリンに遭遇するタケル。
絶望の中、タケルは「どうにかしなければ⋯⋯」と必死の中、ステータスをおもむろに開く。それはただの悪あがきのようなものだったが、
「え?、何だ⋯⋯これ?」
これは、異世界に転移し魔王を倒した勇者が、ダンジョンのある現代に戻っていろいろとやらかしていく物語である。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
ダンジョンの戦闘配信? いやいや魔獣達のための癒しスローライフ配信です!!
ありぽん
ファンタジー
はぁ、一体この能力は何なんだ。
こんな役に立たないんじゃ、そりゃあパーティーから追放されるよな。
ん? 何だお前、自ら寄ってくるなんて、変わった魔獣だな。
って、おいお前! ずいぶん疲れてるじゃないか!?
だけど俺の能力じゃ……。
え? 何だ!? まさか!?
そうか、俺のこの力はそういうことだったのか。これなら!!
ダンジョンでは戦闘の配信ばかり。別に悪いことじゃいけけれど、だけど戦闘後の魔獣達は?
魔獣達だって人同様疲れるんだ。
だから俺は、授かったこの力を使って戦闘後の魔獣達を。いやいや共に暮らしている魔獣達が、まったりゆっくり暮らせるように、魔獣専用もふもふスローライフ配信を始めよう!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる