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第一四話 輝く夏の始まりは

第一四話 三

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「それにしても暑いよね~」
「シノ達は暑くねえの? よくこんなとこでじっとしてられるよな」
 スギナは襟元をつまんで煽いた。プール遊びで濡らされることを考慮したからかスギナもツクシもTシャツにハーフパンツと軽装である。一応慈乃も動きやすい服装ではあるがニアに「病み上がりなんだから」と言われて薄手の羽織物を肩にかけていた。
「ですが湿気がそこまでないので、まだ良いかと」
 泉に囲まれた中央の教会や水路が張り巡らされた街中はむわっとしていて不快な暑さだと感じるが、郊外に位置するこの辺りではそこまで湿度は高くない。そのため夏の暑さのなかでも過ごしやすい方であると思えた。
「シノちゃんって本当にカモミールの花守なの~? 暑さに強くない~?」
「完全な花守ではない、らしいです」
 ウタセ曰く、慈乃はまだ半分人間で半分妖精の状態なのだという。そのため、髪色は白銀で瞳の色は黄金のまま、カモミールの精と会話はできるが花守の力は使えないというなんとも中途半端な状態であった。
「じゃあボク達とおそろいだね~」
「おそろい、ですか?」
 まさかツクシとスギナが半分は人間ということではないだろう。慈乃が首を傾げると、隣のウルフィニも慈乃の真似をした。
「ボクとスギナはふたりで一人前の花守だから~。半分は妖精で、もう半分が花守としての妖精でしょ~?」
「あ、そういうことですか」
「ツクシ、そろそろ戻んねえとニアにどやされる」
「は~い。それじゃ~、シノちゃんとウルくんも良かったらおいでね~」
 ツクシは手を振りながら、スギナと並び歩いてプールの方へ戻っていった。
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