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第一三話 夏風邪の魔法

第一三話 二六

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 扉の開く音で慈乃は目を覚ました。
 三方の簡易カーテンと残り一方の窓にかかるカーテンはいずれも閉められていたが、窓からは午後の光がカーテン越しに射しこんでいた。
(二、三時間くらい寝てたのかしら)
 慈乃がぼんやりと窓の方向を見つめていると、二つの足音が近づいてきた。
「シノ、起きてる?」
「はい」
「開けるね」
 カーテンの向こうには昼食を盆に載せたウタセと、意外にもクルルがいた。
「調子はどう? お昼ご飯は食べられそうかな?」
「怠さはありますが、食べられそうです」
「よかった」
 ウタセは安心したように顔を綻ばせた。クルルも安堵のため息をつく。
 ウタセは盆を近くの机に置くと、慈乃を招いた。
 渡された薬を飲んで昼食を食べながら、慈乃はちらりとクルルを見た。
「なによ」
「えっと、クルルちゃんはなぜここにいるのですか」
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