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第一五話 希望の声
第一五話 一三
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「な、なあに?」
「『なあに?』じゃないでしょ! どうして戦えないってわかってて戦場に来ちゃうの! 確かに今回はあかりちゃんが来てくれて助かった部分もあるよ。だけど君が無茶することで今まで何があったか忘れたわけじゃないよね⁉ あかりちゃんはもっと自分のことを大切にして!」
「は、はいっ‼」
案の定、雷が落ちてきた。昴は怒り心頭の様子だったが、それもあかりを心配するが故だとわかっているので反論の余地もない。昴の左右には結月と秋之介がいるが、二人とも今回ばかりはあかりを擁護するつもりはないようだった。
「ま、当然だな」
「昴の言うことは、正しい。あかりは、もっと自分の身を大切にするべき」
「ご、ごめんなさい……」
きまり悪く、あかりは身を縮こまらせて素直に謝罪の言葉を口にした。昴はまだ不満げで何か言いたそうにしていたが、大きく息を吐くと叱責の言葉を飲みこみ、肩を落とした。
「もう本当に……。寿命が縮みそうだよ……」
「泰山府君祭でもやるか?」
泰山府君祭とは寿命延長、病気平癒、除災招福を祈る儀式のひとつである。
秋之介が同情するように昴の肩にぽんと手を置くが、昴はそれを疲れ切った緩慢な動作で払いのけた。
「今その冗談は笑えないよ……」
「悪かったって」
秋之介は特に悪びれた風でもなく、昴は深いため息を吐くばかりだった。
「『なあに?』じゃないでしょ! どうして戦えないってわかってて戦場に来ちゃうの! 確かに今回はあかりちゃんが来てくれて助かった部分もあるよ。だけど君が無茶することで今まで何があったか忘れたわけじゃないよね⁉ あかりちゃんはもっと自分のことを大切にして!」
「は、はいっ‼」
案の定、雷が落ちてきた。昴は怒り心頭の様子だったが、それもあかりを心配するが故だとわかっているので反論の余地もない。昴の左右には結月と秋之介がいるが、二人とも今回ばかりはあかりを擁護するつもりはないようだった。
「ま、当然だな」
「昴の言うことは、正しい。あかりは、もっと自分の身を大切にするべき」
「ご、ごめんなさい……」
きまり悪く、あかりは身を縮こまらせて素直に謝罪の言葉を口にした。昴はまだ不満げで何か言いたそうにしていたが、大きく息を吐くと叱責の言葉を飲みこみ、肩を落とした。
「もう本当に……。寿命が縮みそうだよ……」
「泰山府君祭でもやるか?」
泰山府君祭とは寿命延長、病気平癒、除災招福を祈る儀式のひとつである。
秋之介が同情するように昴の肩にぽんと手を置くが、昴はそれを疲れ切った緩慢な動作で払いのけた。
「今その冗談は笑えないよ……」
「悪かったって」
秋之介は特に悪びれた風でもなく、昴は深いため息を吐くばかりだった。
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