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第一三話 守りたいもの
第一三話 一八
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『私、町で働こうと思うの』
「はあ? なんだよ藪から棒に……」
その日の夜、白古の邸で収穫した果物の仕分けをしていたあかりたち四人だったが、あかりが突然紙を掲げた音に皆の動きが止まった。
「秋くんは今日、あかりちゃんと一緒にいたんじゃないの?」
「そうだけど、俺にもよくわかんねぇよ」
「えっと……、あかり、どういうこと?」
最終的に結月に尋ねられて、あかりはこの提案に至るまでの経緯を説明した。
町の人たちの笑顔を見て、今の自分は笑顔を守るのではなく作り出す側になれないかと思ったこと。それを叶えるためには町で一緒になって働くのが手っ取り早いと考えたこと。
あかりが説明し終えると、昴は「なるほどね……」と考え込む素振りを見せた。
あかりがはらはらと昴の決定を見守っていることに気づいていたのだろう。昴はそこまで長く考え込むこともなく意外にもあっけなく「いいんじゃないかな」と賛意を示した。あかりが目をぱちくりさせていると「そんなに意外そうな顔をしなくても」と昴に苦笑された。
「僕だってなんでもかんでも駄目だって否定しないよ。前回のあかりちゃんに学ぶこともあったしね」
『じゃあ、町で働いてもいいんだよね?』
「僕はそれでもいいって思ってるけど、ゆづくんと秋くんはどうだろうね?」
あかりが上目遣いに見れば、秋之介は鷹揚に頷き、結月も小さく首を縦に振った。
「いいんじゃねえの? 南の地の再興にも役立つだろうしな」
「おれも、いいと思う。なによりあかりがやりたいっていう意思を尊重したい」
『ありがとう、みんな!』
正解のない南の地の再興、終わりの見えない声の治療、際限など存在しない稽古。それでもできることを、希望を、一つでも増やしたい。そのために今、あかりは町を知りたいと思う。自身が守ろうとしていた笑顔の正体をきちんと確かめたいと思うのだ。
「はあ? なんだよ藪から棒に……」
その日の夜、白古の邸で収穫した果物の仕分けをしていたあかりたち四人だったが、あかりが突然紙を掲げた音に皆の動きが止まった。
「秋くんは今日、あかりちゃんと一緒にいたんじゃないの?」
「そうだけど、俺にもよくわかんねぇよ」
「えっと……、あかり、どういうこと?」
最終的に結月に尋ねられて、あかりはこの提案に至るまでの経緯を説明した。
町の人たちの笑顔を見て、今の自分は笑顔を守るのではなく作り出す側になれないかと思ったこと。それを叶えるためには町で一緒になって働くのが手っ取り早いと考えたこと。
あかりが説明し終えると、昴は「なるほどね……」と考え込む素振りを見せた。
あかりがはらはらと昴の決定を見守っていることに気づいていたのだろう。昴はそこまで長く考え込むこともなく意外にもあっけなく「いいんじゃないかな」と賛意を示した。あかりが目をぱちくりさせていると「そんなに意外そうな顔をしなくても」と昴に苦笑された。
「僕だってなんでもかんでも駄目だって否定しないよ。前回のあかりちゃんに学ぶこともあったしね」
『じゃあ、町で働いてもいいんだよね?』
「僕はそれでもいいって思ってるけど、ゆづくんと秋くんはどうだろうね?」
あかりが上目遣いに見れば、秋之介は鷹揚に頷き、結月も小さく首を縦に振った。
「いいんじゃねえの? 南の地の再興にも役立つだろうしな」
「おれも、いいと思う。なによりあかりがやりたいっていう意思を尊重したい」
『ありがとう、みんな!』
正解のない南の地の再興、終わりの見えない声の治療、際限など存在しない稽古。それでもできることを、希望を、一つでも増やしたい。そのために今、あかりは町を知りたいと思う。自身が守ろうとしていた笑顔の正体をきちんと確かめたいと思うのだ。
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