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第八話 喪失の哀しみに
第八話 六
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屋敷に着くと、結月と秋之介が待っていた。時人以外の仲間が結月たちにも急報を報せてくれたらしかった。
「おかえり。みんな、怪我、ない?」
「ただいま、結月。うん、大丈夫だよ」
秋之介は黙って時人を見遣ると、「とりあえず中に入ろうぜ。外は寒いし」と促した。
時人は和也のいる結界を昴に預けて、残った仲間と合流するためあかりたちのもとを辞した。
あかりたち四人はいつも使う客間に向かった。全員が腰を落ち着けたところで秋之介が「それで?」と声をあげた。
「概要は聞いたけど、結果はどうだったんだ?」
「……陰の国の式神使いが三人、離の結界から侵入してきたらしい。強襲のために、和也くんは仲間を逃がすために一人残って戦っていたんだって。僕たちが戻ったときにはもう……亡くなっていて……」
沈痛な面持ちで昴は途中まで話していたが、さすがに目をかけていた家臣が亡くなったという事実にはこたえたらしい。
治療にも命にも優先順位があると昴はよく言う。そうしなければ助けられるはずの命も助けられなくなるのだと。昴は口酸っぱくあかりに割り切れと言うが、本当は自身に言い聞かせているだけなのではないかとあかりは思っていた。昴だって本当は取りこぼすことなく皆を助けたいはずなのだ。だって昴は懐に入れた人間には甘い。それは彼の隠れた優しさだと思うのだ。
あかりは昴の気持ちを慮って、続きを話した。
「死人は妖と同じで道具だって言ってた。だから式神として使ってやったんだって。それで陰の国の三人は倒して、和也くんは邪気を払って眠らせてあげたよ……」
話を聞き終えた結月と秋之介は暗い顔をしていた。あかりも例にもれず顔を伏せて、ぽつりと呟いた。
「……どうして、私たちは戦わなくちゃいけないの?」
あかりの声に結月と秋之介が顔をあげた。
「それは陰の国が攻めてくるからだろ」
秋之介が呆れ気味に答えたが、あかりには納得がいかなかった。
「じゃあ、なんで攻めてくるの? 私たちが何かした?」
「んなの知るかよ。侵攻の理由なんてこっちが聞きたいくらいだ」
「理由がわかったら、戦わないで済むのかな」
「……理由……」
そこで昴が呟きを落とした。
「おかえり。みんな、怪我、ない?」
「ただいま、結月。うん、大丈夫だよ」
秋之介は黙って時人を見遣ると、「とりあえず中に入ろうぜ。外は寒いし」と促した。
時人は和也のいる結界を昴に預けて、残った仲間と合流するためあかりたちのもとを辞した。
あかりたち四人はいつも使う客間に向かった。全員が腰を落ち着けたところで秋之介が「それで?」と声をあげた。
「概要は聞いたけど、結果はどうだったんだ?」
「……陰の国の式神使いが三人、離の結界から侵入してきたらしい。強襲のために、和也くんは仲間を逃がすために一人残って戦っていたんだって。僕たちが戻ったときにはもう……亡くなっていて……」
沈痛な面持ちで昴は途中まで話していたが、さすがに目をかけていた家臣が亡くなったという事実にはこたえたらしい。
治療にも命にも優先順位があると昴はよく言う。そうしなければ助けられるはずの命も助けられなくなるのだと。昴は口酸っぱくあかりに割り切れと言うが、本当は自身に言い聞かせているだけなのではないかとあかりは思っていた。昴だって本当は取りこぼすことなく皆を助けたいはずなのだ。だって昴は懐に入れた人間には甘い。それは彼の隠れた優しさだと思うのだ。
あかりは昴の気持ちを慮って、続きを話した。
「死人は妖と同じで道具だって言ってた。だから式神として使ってやったんだって。それで陰の国の三人は倒して、和也くんは邪気を払って眠らせてあげたよ……」
話を聞き終えた結月と秋之介は暗い顔をしていた。あかりも例にもれず顔を伏せて、ぽつりと呟いた。
「……どうして、私たちは戦わなくちゃいけないの?」
あかりの声に結月と秋之介が顔をあげた。
「それは陰の国が攻めてくるからだろ」
秋之介が呆れ気味に答えたが、あかりには納得がいかなかった。
「じゃあ、なんで攻めてくるの? 私たちが何かした?」
「んなの知るかよ。侵攻の理由なんてこっちが聞きたいくらいだ」
「理由がわかったら、戦わないで済むのかな」
「……理由……」
そこで昴が呟きを落とした。
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