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第六話 幸せはいつもそばに
第六話 八
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翌日は、四家としての務めから一日が始まった。陽の国では元日に四家当主が舞と祝詞を披露するのが恒例である。こんなときだからこそ、新年の行事は変わらず盛大に行いたいというあかりの意見に結月たちも前当主たちも賛成してくれた。同じく賛意を示した司も新年の挨拶を中央御殿の張り出し舞台で行う予定だ。
三時間しか睡眠時間をとっていないがものともせず、あかりたちは早朝から慌ただしく働いて、主に舞と祝詞の最終確認を玄舞家の稽古場で行っていた。
その時間もあっという間に過ぎ、いよいよ本番となる。
中央御殿まで移動して、張り出し舞台のそでから司の挨拶を聞いていた。そでからちらりとうかがえる舞台の先には大きな群衆が出来ている。皆、司の言葉を真摯に受け止めているようだった。
「悪夢着草木吉夢成宝王」
挨拶の結びに、司が悪夢を吉夢に変ずる夢違えを唱えた。
「皆様の一年が実り多きものでありますように祈りをこめまして、新年の挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました」
司があかりたちのいる舞台そでに引き上げる。彼はすれ違いざま、あかりたちに向かって微笑んで会釈した。
「よろしくお願いしますね」
「はい。御上様もお疲れ様でした」
昴が代表して答えると、司はひとつ頷いてそでのさらに奥へと消えていった。おそらく中央御殿の方からあかりたちのことを見物するつもりなのだろう。
三時間しか睡眠時間をとっていないがものともせず、あかりたちは早朝から慌ただしく働いて、主に舞と祝詞の最終確認を玄舞家の稽古場で行っていた。
その時間もあっという間に過ぎ、いよいよ本番となる。
中央御殿まで移動して、張り出し舞台のそでから司の挨拶を聞いていた。そでからちらりとうかがえる舞台の先には大きな群衆が出来ている。皆、司の言葉を真摯に受け止めているようだった。
「悪夢着草木吉夢成宝王」
挨拶の結びに、司が悪夢を吉夢に変ずる夢違えを唱えた。
「皆様の一年が実り多きものでありますように祈りをこめまして、新年の挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました」
司があかりたちのいる舞台そでに引き上げる。彼はすれ違いざま、あかりたちに向かって微笑んで会釈した。
「よろしくお願いしますね」
「はい。御上様もお疲れ様でした」
昴が代表して答えると、司はひとつ頷いてそでのさらに奥へと消えていった。おそらく中央御殿の方からあかりたちのことを見物するつもりなのだろう。
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