【本編完結】朱咲舞う

南 鈴紀

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第五話 朱咲の再来

第五話 二六

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「青柳、白古、朱咲、玄舞、空陳、南寿、北斗、三体、玉女」
 予め沐浴斎戒を終えていた秋之介は手刀で九字を切ると、さらに大麻で心身を清めてから、招神を行った。
「一心奉請、東神青柳、南神朱咲、中央神黄麟、西神白古、北神玄舞。急々如律令」
 祝詞を三度唱えた後「依代を以て我が身に霊魂を降ろし給え」と奏上する。
 祭壇に近づいた秋之介は岐(くなど)を手に取ると五行行事を始めた。まず、五行物実の水の中に岐を入れて降霊の無事を祈りながら左に三回、右に三回、さらに左に三回まわす。「水生木大吉、祈願円満」
 秋之介は唱えながら、その水を東の榊に注いだ。
「木火土金水の神霊・厳の御霊を幸え給え」
 五行拝詞を唱えてから、少量の水を前後左右と媒介となるお守りの方向へ岐ではねかけるようにした。そして、榊に岐を差して振るわせながら、左三回、右三回、左三回にまわし、榊を手に取って灯火にかざす。
「木生火大吉、祈願円満」
 榊を振るわせながら、やはり前後左右とお守りにふりかざす。岐を炎の中に入れ左に三回、右に三回、左に三回まわした。
「火生土大吉、円満成就」
 岐を炎の中に入れて土に掛け、加えて炎を前後左右とお守りにとばす。次に岐を土の中に入れ左三回、右三回、左三回まわし、「土生金大吉、円満成就」と唱え、土の中に入れた岐を使ってその土を小刀に掛けた。
続いて岐で小刀を突いて左三回、右三回、左三回まわし、「金生水大吉、円満成就」と唱えもう一度岐を小刀に突いてから、その岐を水の中に入れた。
 そして最後に祈念する。
「冀くば祈主白古秋之介、心上護神、除災与楽、胸霧自消、心月澄明、祈願円満、円満成就。急々如律令」
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