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第五話 朱咲の再来
第五話 一三
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玄舞大路を下り、皆の歓迎に応えながらあかりはぼんやりと歩みを進めた。腕いっぱいに土産を抱える頃には中央御殿にたどり着いていた。どの方向に進もうかしばし考え、あかりは右手に広がる白古大路に体を向けた。
北の地と同様の反応を示されながらあかりは大路の突き当り、白古門目指して歩いていった。
「あかりちゃんじゃない!」
「ああ、良かった」
あかりに駆け寄ってきたのは中年夫婦だった。その顔を認識するなりあかりは彼らの名を呼んだ。
「お菊さん。田助さん」
お菊は目に涙を浮かべており、田助は洟をすすっていた。
「覚えててくれたのかい」
「当然だよ」
幼少時、秋之介ともどもよくお世話になった夫婦だった。忘れるなんてことはあり得ない。
軽く挨拶を交わしていると、次から次へと西の民が集まってくる。嬉しい反面、気疲れするのも事実だった。失礼にならないよう町民を躱しながら、あかりは人混みを抜けた。
少し疲れたので大路を逸れて、北斗通から白古家の屋敷の裏手を通る西白道に入る。神有月も下旬に入った今は、紅葉が美しい。赤、橙、黄、茶。林道に並び立つ木々はすっかり秋色の衣をまとっていた。
「綺麗……」
目に映すのは美しい紅葉だったが、あかりの脳裏を過ったのはやはり民の笑顔だった。
(この景色も好き。みんなの笑った顔はもっと好きだな)
自然と視線が上がる。目に入る鮮やかな色があかりの心を僅かに上向かせた。
北の地と同様の反応を示されながらあかりは大路の突き当り、白古門目指して歩いていった。
「あかりちゃんじゃない!」
「ああ、良かった」
あかりに駆け寄ってきたのは中年夫婦だった。その顔を認識するなりあかりは彼らの名を呼んだ。
「お菊さん。田助さん」
お菊は目に涙を浮かべており、田助は洟をすすっていた。
「覚えててくれたのかい」
「当然だよ」
幼少時、秋之介ともどもよくお世話になった夫婦だった。忘れるなんてことはあり得ない。
軽く挨拶を交わしていると、次から次へと西の民が集まってくる。嬉しい反面、気疲れするのも事実だった。失礼にならないよう町民を躱しながら、あかりは人混みを抜けた。
少し疲れたので大路を逸れて、北斗通から白古家の屋敷の裏手を通る西白道に入る。神有月も下旬に入った今は、紅葉が美しい。赤、橙、黄、茶。林道に並び立つ木々はすっかり秋色の衣をまとっていた。
「綺麗……」
目に映すのは美しい紅葉だったが、あかりの脳裏を過ったのはやはり民の笑顔だった。
(この景色も好き。みんなの笑った顔はもっと好きだな)
自然と視線が上がる。目に入る鮮やかな色があかりの心を僅かに上向かせた。
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