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第五話 朱咲の再来
第五話 八
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打開策が見えないまま時間だけが過ぎていく。あかりに焦燥感が芽生え始め、冷静な思考を侵食していく。
「……多少の怪我は、仕方ないよね」
「あかり?」
あかりの呟きを拾った結月は訝しげな顔をした。秋之介はあかりの名を呼びかける。
「祝詞が使えないなら、一体ずつ斬っていけばいい」
これ以上、陽の国の地を踏み荒らされたくない。結月たちを傷つけさせたくない。……こんな奴らに劣るなんて、許されない。
(陰の国の奴らだけは、赦さない……!)
あかりは結界を飛び出して、敵軍の中央に斬りこんだ。四方八方から襲い掛かってくる式神たちを、宣言通り一体一体切斬り伏せていく。
結月たちは何か言いたそうにしていたが、今はあかりの援助を優先させたようだった。注意を引き付けて群れを分散させたり、守護の術を使役したりしている。
胸や霊剣、それを持つ手が燃えるように熱かった。
目の前に迫る式神を斬り上げると倒れるのも見届けずに振り返って、背後の式神を袈裟懸けにする。その勢いのまま右手に飛びつこうとする式神を横一線になぎ払った。
ひやりとする場面も幾度かあったが、あかりはほぼ無傷でとうとう捕縛対象であり頭の式神を追い詰めた。
そのころには任務の目的など忘れていた。しかし、目前の敵を打ち倒さなければということだけは明瞭に頭に残っていた。
あかりは躊躇いなく霊剣を振り下ろし、敵はたった一撃で沈黙した。それと同時にあかりの意識もふっと揺らめく。
(おわった……)
「……多少の怪我は、仕方ないよね」
「あかり?」
あかりの呟きを拾った結月は訝しげな顔をした。秋之介はあかりの名を呼びかける。
「祝詞が使えないなら、一体ずつ斬っていけばいい」
これ以上、陽の国の地を踏み荒らされたくない。結月たちを傷つけさせたくない。……こんな奴らに劣るなんて、許されない。
(陰の国の奴らだけは、赦さない……!)
あかりは結界を飛び出して、敵軍の中央に斬りこんだ。四方八方から襲い掛かってくる式神たちを、宣言通り一体一体切斬り伏せていく。
結月たちは何か言いたそうにしていたが、今はあかりの援助を優先させたようだった。注意を引き付けて群れを分散させたり、守護の術を使役したりしている。
胸や霊剣、それを持つ手が燃えるように熱かった。
目の前に迫る式神を斬り上げると倒れるのも見届けずに振り返って、背後の式神を袈裟懸けにする。その勢いのまま右手に飛びつこうとする式神を横一線になぎ払った。
ひやりとする場面も幾度かあったが、あかりはほぼ無傷でとうとう捕縛対象であり頭の式神を追い詰めた。
そのころには任務の目的など忘れていた。しかし、目前の敵を打ち倒さなければということだけは明瞭に頭に残っていた。
あかりは躊躇いなく霊剣を振り下ろし、敵はたった一撃で沈黙した。それと同時にあかりの意識もふっと揺らめく。
(おわった……)
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