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愛しい口付け
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女神はゆっくりと瞼を閉じた 瞑想をしてるようにも思えた
二人は女神の言葉を待つ
とても長い沈黙と呼べるかわからない
今いる場所は時の流れはないかもしれないから
『私達は、人間という存在に干渉しようとも
思わなかった
見守ることが最善だと…
それが私達の過ちかも知れないわね』
そして女神は、私達に微笑んだ
何かを決心したようだ
『あなた達の言葉、思いを聞いて
私も考えを改めようと思います
人間の寿命は儚い…けどその儚さが
美しいのかもしれないわね』
そしてその場から去ろうとする女神に
彼女が引き止める
一言声をかけなくてはいけない、そんな衝動に駆られた
『待って…女神…様はこれからどうする
のですか?』
『他の女神達に教えてあげようと思うの
人の愚かさ、でも美しさもあるってこと
あなた達のような素晴らしい人もいる
だから、遊び半分で人間を呪っては
いけないってこともね』
その言葉に嘘はなかった
女神という存在だけではなく、それ以上に彼女を引き立てる何かがあるのだろう
『きっと、女神様なら大丈夫です
私、信じてます』
女神は小さく頷いた瞬間、空間が歪んだ
その感覚に私と彼は違和感を覚えたが
繋いだ手を離すことはなかった
違和感がなくなり、目を開けると見慣れた部屋で、先程彼と話をしていた一室だった
時計を見るがそれほど時間は経ってはいなかった 神様にとっては自由自在なのだろう
ほっと息をつき、目の前にある鏡を見ると
容姿が変わった自分が映っていた
まだヴェール越しであるが、これを取ってしまえばきっと、誰もが認める姫君に見えるだろう
自分で願っていたことだが、容姿変わっただけで認められたくないので、彼女はある提案をした
『王子、私あることをしたいのです
受け入れてくれますか?』
『貴女のためなら、どんな事でも
受け入れましょう
けれど、その前に
貴女に触れてもいいですか?』
彼の触れる、という意味はきっと
ヴェール越しではなく、肌に直接触れてもいい
ということなのだろう
私はゆっくり頷くと、彼はヴェールを上げ、私の頬に触れる
まるで二人だけで結婚式を挙げてるようだ
『女神様は酷いことをしてくれましたね
こんな美しい姫を元の姿に戻すなんて
他の人にも姫の美しさが知れ渡ってしまう』
『王子は私の呪いに…気づいてたのですか?
容姿についても…』
彼はゆっくりと横に振った
そして自信なさげに口にした
『いいえ、けど私の目にはいつも貴女は
今のような容姿に映っていたのです
信じられないかも知れないですけど』
『いいえ、信じます
他でもない貴方が言うのですから』
頬越しに彼の手に触れる
いつか触れて見たいと思っていたぬくもり
それがヴェール越しではなく、直に触れていて
愛しさが込み上げてくる
私の行動に彼は緊張した様子で、ゆっくりと言葉を紡いだ
『姫、もっと欲張ってもいいですか?
口づけを…しても?』
顔を赤らめながら、小さく頷く
彼はゆっくりと、顔を近づけてくる
唇が触れた瞬間、時が止まったように感じた
愛しい人の口付けはこんなにも胸が高鳴るものだと
ただ唇が触れてるだけなのに、彼の優しさが唇越しに感じるみたいに
唇が離れると彼は顔を赤らめながら、瞳を見つめ合った
『やっぱり姫はとても美しいです』
二人は女神の言葉を待つ
とても長い沈黙と呼べるかわからない
今いる場所は時の流れはないかもしれないから
『私達は、人間という存在に干渉しようとも
思わなかった
見守ることが最善だと…
それが私達の過ちかも知れないわね』
そして女神は、私達に微笑んだ
何かを決心したようだ
『あなた達の言葉、思いを聞いて
私も考えを改めようと思います
人間の寿命は儚い…けどその儚さが
美しいのかもしれないわね』
そしてその場から去ろうとする女神に
彼女が引き止める
一言声をかけなくてはいけない、そんな衝動に駆られた
『待って…女神…様はこれからどうする
のですか?』
『他の女神達に教えてあげようと思うの
人の愚かさ、でも美しさもあるってこと
あなた達のような素晴らしい人もいる
だから、遊び半分で人間を呪っては
いけないってこともね』
その言葉に嘘はなかった
女神という存在だけではなく、それ以上に彼女を引き立てる何かがあるのだろう
『きっと、女神様なら大丈夫です
私、信じてます』
女神は小さく頷いた瞬間、空間が歪んだ
その感覚に私と彼は違和感を覚えたが
繋いだ手を離すことはなかった
違和感がなくなり、目を開けると見慣れた部屋で、先程彼と話をしていた一室だった
時計を見るがそれほど時間は経ってはいなかった 神様にとっては自由自在なのだろう
ほっと息をつき、目の前にある鏡を見ると
容姿が変わった自分が映っていた
まだヴェール越しであるが、これを取ってしまえばきっと、誰もが認める姫君に見えるだろう
自分で願っていたことだが、容姿変わっただけで認められたくないので、彼女はある提案をした
『王子、私あることをしたいのです
受け入れてくれますか?』
『貴女のためなら、どんな事でも
受け入れましょう
けれど、その前に
貴女に触れてもいいですか?』
彼の触れる、という意味はきっと
ヴェール越しではなく、肌に直接触れてもいい
ということなのだろう
私はゆっくり頷くと、彼はヴェールを上げ、私の頬に触れる
まるで二人だけで結婚式を挙げてるようだ
『女神様は酷いことをしてくれましたね
こんな美しい姫を元の姿に戻すなんて
他の人にも姫の美しさが知れ渡ってしまう』
『王子は私の呪いに…気づいてたのですか?
容姿についても…』
彼はゆっくりと横に振った
そして自信なさげに口にした
『いいえ、けど私の目にはいつも貴女は
今のような容姿に映っていたのです
信じられないかも知れないですけど』
『いいえ、信じます
他でもない貴方が言うのですから』
頬越しに彼の手に触れる
いつか触れて見たいと思っていたぬくもり
それがヴェール越しではなく、直に触れていて
愛しさが込み上げてくる
私の行動に彼は緊張した様子で、ゆっくりと言葉を紡いだ
『姫、もっと欲張ってもいいですか?
口づけを…しても?』
顔を赤らめながら、小さく頷く
彼はゆっくりと、顔を近づけてくる
唇が触れた瞬間、時が止まったように感じた
愛しい人の口付けはこんなにも胸が高鳴るものだと
ただ唇が触れてるだけなのに、彼の優しさが唇越しに感じるみたいに
唇が離れると彼は顔を赤らめながら、瞳を見つめ合った
『やっぱり姫はとても美しいです』
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