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第2章 忍の章
17話 エリナVS茂 再戦♥
しおりを挟む後先考えずに、マラソンを全力疾走する勢いでエリナは襲い掛かった。
しかしエリナにとって茂は、もともと手強い相手だった。それが榎本君の力まで手に入れたのだ。はっきり言って勝負にすらならなかった。
「あっ、あんっあんっ、いっ、いいっ、あ、き、きもちいっ♥ きもちいいよっおじさんっ♥」
仕掛けたキスをそのまま返す形でMARSを流しこまれて、エリナは皮膚感覚を極限まで高められた。
自分の汗が滲むだけで愛撫と感じてしまうほどにだ。
キスをしながら浮かんでくる小さな玉のような汗に全身愛撫されながら、エリナは屈してしまった。
キス。皮膚刺激が弱い癖して相手によって一番千差万別な愛撫。
味から食感、そして癖、何から何まで相手によって違う、相手を一番よく知れる愛撫とも言えた。榎本の細胞を奪ったと確信させられる、ファーストキスの思い出付きのキスで堕とされてしまった。
「あぁんっ♥ い、いいっ、ん、あ♥ き、きすだけで、いいのぉお♥」
「せっかく榎本君の力を回収したのに、力を試すにも値しないなぁああ♥ 古賀自慢の娘が秒殺ならもう敵なしだねぇええええ♥♥♥」
挑発も今となってはスパイスでしか無かった。
一番媚びてはならない相手に媚びている、そのマゾヒズムがさらなる興奮の呼び水となっていた。
そんな興奮状態にある汗ばんだ乳房を、ぐにゅりっと揉まれる。
「んひゃあ♥ あ、あっ、も、うっらめぇ……ご、ごめんなつきぃ……も、もう、もう、もうこれ以上時間を稼げない、ぃ……ん……」
乳房を揉まれながらボロボロと極限を呟くなか、ビンビンに尖った乳首を摘ままれ――。
「んひゃぁあああああああああああああああああンっ!!」
エリナはそのまま意識を飛ばしていた。
「時間を稼ぐ……? MARSの耐性が出来上がるまでの時間稼ぎぃい? それぐらいなら待ってあげてもいいよ加瀬ナツキちゃん♥ 起きてるんでしょ?」
茂がぐったりしたエリナを床へと寝かしながらにナツキを見やってくる。
――やはりバレていたか。
精液に塗れた身体を起こしてナツキは身構える。
MARSの免疫を獲得するまであと少しの辛抱だった。
その時間を稼ぐ為に心を鬼にしてエリナも見捨てる覚悟だった。
(……しかし、やはり気付かれていた)
「――色々聞きたいことがあるんだけど」
「回りくどいことしなくても待ってあげるよぉ。後30分と少しでしょ?」
ナツキは無駄話をしてMARSの抗体が出来るのを待つつもりだった。
榎本君と融合した茂がどれだけ力を増したのかは分からない、が恐らくさっきとは別物。その上MARSの変質能力まであったらエリナの二の舞になることは避けられなかった。
最悪の場合、この場は逃げるつもりでもあったが襲いくる様子はない。
どうやら本気で待つ気満々なようだ。
――榎本君はMARSがなければ後れは取らない相手だ。
古賀茂も以下同文。
2人足してもMARSがなければ相手にもならない。
「どういうつもり? MARSの免疫を獲得したら、お前には万に一つも勝ち目がないよね?」
「聞いていなかったのぉお!? 腕試しがしたいんだよ♥ エリナが相手じゃ全力出せなかったからねぇええ! 精豪のナツキちゃんなら相手が務まるでしょ♥ ねぇ加瀬ナツキちゃん♥ ナツキちゃんなら力を試したいボクの気持ちも分かるでしょ!? ぎゃぁあっはっはっはっ!!!」
「精豪……だと。――――確かに、……そうかも」
力を試したい気持ちも分からないでも無い。だとしてもだ。
MARSの抗体の完成をわざわざ待つだろうか。さらに奥の手でもあるのか?
それとも単に力を試したいだけなのか。
どちらにしてもこちらにメリットしかない。
「わかった。お前の言いたいことは少し分かるからね。……一つ聞いてもいい?」
「何が聞きたいのぉお?」
「榎本君を淫魔にしたのはお前なんだよね。淫魔を作れるってことだよね?」
「まぁ、少し違うけどいちおーそうなるねぇ♥ でもー、榎本君は淫魔の力だけを手に入れたんだよね~、淫魔にはなりきれていない。そぉおだなぁあ、人間と淫魔の間、半魔人って言ったらわかりやすいかな~」
半魔……。こいつや、金田樽男はどうなんだろう。
元々淫魔では無かった筈だ。
もし元々淫魔だったなら、忍びによって見つけられて処断されているだろうし。
「金田樽男を淫魔にしたのはお前、なの?」
「そうだよぉおおお♥ 彼は暴走してボクの手を離れちゃったけどねぇえ♥ 完全な淫魔と化して主人を忘れちゃったみたい」
「完全な、淫魔……?」
「そう。才能のある人間は、淫魔に昇華するきっかけがあれば完全な淫魔になれるの。因みにボクも才能があったからパーフェクトな淫魔になれたのぉおお♥」
「そうか」
分裂を繰り返す樽男に、自身の欠片を食した者を身体の一部にする茂。
榎本君とは明らかに質の異なる力。
しかし榎本君は助けられそうに無いな。
ただ……。
――負けたらなんだって聞いてやる代わりに、私が勝ったらオネエと榎本君を解放しろ。
元々あった傀儡への暗示。
榎本君の救出が絡んでいたこともあって、その暗示からは解放された。
負けたときにどのような扱いをされるか分からない、なんて恐怖心がちらつくことは無い。この余裕はプラスに働くはずだ。
「……そろそろ、時間だね。――古賀忍軍。決着を付けさせてもらうよ」
「望むところだよぉおおおおおおおお食い尽くしてあげるうぅうううううっ!」
事実上の忍者の頂上決戦の火蓋が切って落とされるのであった。
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