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第1章 始まりの章
20話 終わり
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20話 終わり
あれから何度も何度も精を吐き出した樽男は、遊び尽くして膣口からどろっ、と精液を零すナツキをベッドの上に横たわらせた。
そして、荒くなった呼吸を整え終えるとぼやくように言った。
「ふ、ふぅ……、はぁ、ここまでやっても、ほんとうに大丈夫なのかねッ――!?」
言い終えるのを待たずに、樽男の首が作り物の星空へと飛んでいった。
その背後から現れる血まみれの少女。
自分の背丈と同じくらいの得物を振るった姿は、まるで赤い悪魔だった。
血を吸った刀をビュッ、と振るって、刀身を光らせ終えた全裸の少女に向かって、グチャリ、と落下したばかりの生首にされたばかりの樽男が叫んだ。
「まてっ、やめ、なさい……、大体どうせ……、ど、どうせ再生する、再生出来るっ! やめろっ! やめなさい!!」
「……あぁ。そういえばそうだったね」
空返事した少女は、首と離れ離れになっている胴体をさらに半分に切断した。
「グぎゃあアアアアアアッ!?」
「やっぱり痛いんだね。最初殺した日の痛がり方がとてもじゃないけど演技には見えなかった。でも、首と胴体離れていても痛いって不思議だね。どんな原理?」
ズバンッッ!
「ぎやぁああああ!? ろ、ろくな死に方出来ないぞ、私は、私は何度でも――」
「何度でも元通りになるから何度でも切り刻める。――ねっ!」
ズヂャアッ!
「ギャッ!?」
「どうやって再生するのこれ。このミンチが全部別々な樽男になるの? それともスライムみたいに元に戻るの?」
「い、いかれてるっ、た、助けて、助けてくれっ!」
「謝っても私のこと許してくれなかったよね?」
「は、はっとりっ、服部、服部にやらされたっ、た、たすけてくれっ、私にやれって、私にやっていいっていったんだ! 命令だ、命令されたんだ! 私は命令に逆らえない!! 逆らえない!!」
服部? どこの誰……。
大体やれって言われたとか、やって良いって言われたとか。
命令されたとか逆らえないとか。
思いついたことを次から次へと言葉にしているだけにしか思えない。
「そろそろ顔も刻んであげるよ」
脅して生首に寄っていく中でのことだった。
「ナツキちゃん。――見事よ」
生首のほうも分解しようとしたところで、椅子に座ったままの樽男が言いながらに立ち上がったのだ。
「――どういうこと?」
オネエの口調、オネエのイントネーション、そしてオネエの声だった。
オネエに扮した樽男? 樽男に扮したオネエ? 分からない。
「どういうこと……。いや、どういうつもり?」
刀を向けながらに問い掛ける。
「狙い通りよ。金田樽男の身体の権限を奪ったわ。そう。傀儡は成功したの。――ナツキちゃん。あなたのおかげよ」
「狙い通り? は? 意味が分からないんだけど。傀儡に出来ていた? 嘘でしょ? 1人にしか掛からないんじゃないの……」
「嘘に決まっているじゃない」
「え? 嘘? 騙された? 樽男に騙されたってこと? ちょっと待って――。やった意味は? 樽男の権限を奪っていたってことだよね? なんで好き放題やらせたままにしてるの? どういうこと?」
「金田先生もやりたがっていたし、ナツキもちゃんもまんざらじゃなさそうだったし。それにナツキちゃん今のままじゃ使い物にならないから、犯させただけよ?」
「使い物にならない? 犯させた、……だけ? だけですまないこと言ってない!? なんなのほんと。樽男の身体以上に頭の中グチャグチャなんだけど!」
「仕方ないわねぇ」
「仕方ないのはお前だ!!」
※
日本刀振り回して斬りつけてからの暫しの休息の後。
ナツキは事情を聞かされることとなった。
オネエによる傀儡の術は問題なく完成していた。
そして樽男が傀儡と化した直後、オネエは樽男に指示を飛ばしたという。
――ナツキを犯せ、と。
『あら。堕ち具合が中途半端ねぇ。半堕ちってとこかしら? 徹底的に堕としちゃうと思ってたけど?』
『服部かっ……しまった。――時間のこと……すっかり忘れていたね』
『まぁいいわ。金田先生。まだやり足りないんでしょ?』
『はぁ……。術から抜け出すタイミング逃した……』
『金田先生?』
『なんでこんなことに……ほんと、なんでだ……』
『……そんなに凹むことかしら。凹んでいるところ悪いんだけど、どっちにしても無理だったんじゃないかしら?』
『直前に分裂してしまえば――』
『無理よ。大体JKに夢中になっているようじゃね~』
『だから忘れていたと……』
『忘れるくらい夢中になってる時点であなたの負け。それにこっち見なさい』
どっちだ。
そう聞こうとした樽男は、背筋が一直線に伸ばされるような寒気を覚えて、レザーソファーを急ぎ見た。
するとそこには自分の姿があって、ゾッとさせられてしまう。
分裂なんてしていない。
そう、オネエが樽男に変化して座っていたのだ。
『いつから……だね。いつからそこにいたのだね』
『ナツキちゃんから連絡来て、それからずっとよ~? ナツキちゃんがお風呂から出て1分後くらいかしらね?』
なんて速さでここに辿り着いたんだ。それにさえ気付けなかったと言うのか。
今の今までずっと。それにこの寒気。
指の一本すら動かせないね……。
負けを認めざるを得ないな。
『は、ははっ。完全にやられたよ。どっちにしても私は傀儡にされた。秘書にこんな酷い目に遭わされるとはねぇ……はははっ……煮るなり焼くなり好きにしろ』
『そうね~。とりあえず、ナツキちゃんを足腰立てなくなるくらいに犯しちゃって』
『――な、に? 聞き間違え……かね?』
オネエからの耳を疑う指示に、樽男も戸惑う。
『ナツキちゃんまだセックス下手くそすぎて使い物にならないから、徹底的に犯せって言ってるのよ。やり足りないんでしょ? 少しは使えるようにしごいてっていってるの』
※
「こういうことよ」
「どういうこと!? よ、よくもそんなこと躊躇いもなく言えるね!? ほんと、ほんと死ぬところだったんだけど!?」
「死んでないからいいじゃない」
「ぐぐっ……」
歯が割れそうなくらいに歯噛みした。
……とは言えだ。
やはりオネエは強い。オネエからしたら使い物にならないのもまた事実だ。
それにずっと守られていた。
樽男に犯されているあいだもずっと守られていた。
……み、見られていた。さ、最悪っ、お、お漏らししたのまでっ、オネエの時より感じたのも見られてた……。さ、最悪!
「わわ、あぶないっあぶないっ! ナツキちゃんやめなさいっ!」
また、オネエに向かって刀を振り回していた。
今度は自分でも分かる照れ隠しだった。
事情を聞く前よりも全力で刀を振り回していた。
そして、このとき私は決断した。
※
――二日後。私はオネエの元に再び現れた。
決断したこと全てを告げるために。
「ほんとうにあたしなんかに仕えるの?」
「何度も言ってるでしょ」
オネエの元でくノ一として仕官したい。そう申し出ていた。
「コタロウさんは良いって言うかしらねぇ?」
風魔コタロウ。おじいちゃんが継いだ風魔の頭首の名前だ。
あれから二日経ったが、おじいちゃんも風魔のみんなもまだ戻ってきていない。
囚われの身のままで、おじいちゃんは文句さえ言えない状況だった。
「本来なら抜け忍扱いなんだろうけど助けてもらう身だから、おじいちゃんも何も言えない。このままだと忍びは、淫魔に飲み込まれる。そうでしょ?」
「そうね。このままいけば人間が一番ではいられなくなる」
樽男を傀儡として駒にしたものの、思ったほどの進展は無かった。
正確に言うと、あまりにも大きな動きで任務を遂行すると、まだ見えていない敵に気取られてしまう可能性があって踏み込んだ調査が出来ていないらしい。
「――ふぅ。じゃ、トレーニングしましょうか。あたしの性欲処理とあなたへの手ほどきを兼ねてね」
「ま、じ?」
ナツキの物語は、まだ始まったばかりなのだ。
あれから何度も何度も精を吐き出した樽男は、遊び尽くして膣口からどろっ、と精液を零すナツキをベッドの上に横たわらせた。
そして、荒くなった呼吸を整え終えるとぼやくように言った。
「ふ、ふぅ……、はぁ、ここまでやっても、ほんとうに大丈夫なのかねッ――!?」
言い終えるのを待たずに、樽男の首が作り物の星空へと飛んでいった。
その背後から現れる血まみれの少女。
自分の背丈と同じくらいの得物を振るった姿は、まるで赤い悪魔だった。
血を吸った刀をビュッ、と振るって、刀身を光らせ終えた全裸の少女に向かって、グチャリ、と落下したばかりの生首にされたばかりの樽男が叫んだ。
「まてっ、やめ、なさい……、大体どうせ……、ど、どうせ再生する、再生出来るっ! やめろっ! やめなさい!!」
「……あぁ。そういえばそうだったね」
空返事した少女は、首と離れ離れになっている胴体をさらに半分に切断した。
「グぎゃあアアアアアアッ!?」
「やっぱり痛いんだね。最初殺した日の痛がり方がとてもじゃないけど演技には見えなかった。でも、首と胴体離れていても痛いって不思議だね。どんな原理?」
ズバンッッ!
「ぎやぁああああ!? ろ、ろくな死に方出来ないぞ、私は、私は何度でも――」
「何度でも元通りになるから何度でも切り刻める。――ねっ!」
ズヂャアッ!
「ギャッ!?」
「どうやって再生するのこれ。このミンチが全部別々な樽男になるの? それともスライムみたいに元に戻るの?」
「い、いかれてるっ、た、助けて、助けてくれっ!」
「謝っても私のこと許してくれなかったよね?」
「は、はっとりっ、服部、服部にやらされたっ、た、たすけてくれっ、私にやれって、私にやっていいっていったんだ! 命令だ、命令されたんだ! 私は命令に逆らえない!! 逆らえない!!」
服部? どこの誰……。
大体やれって言われたとか、やって良いって言われたとか。
命令されたとか逆らえないとか。
思いついたことを次から次へと言葉にしているだけにしか思えない。
「そろそろ顔も刻んであげるよ」
脅して生首に寄っていく中でのことだった。
「ナツキちゃん。――見事よ」
生首のほうも分解しようとしたところで、椅子に座ったままの樽男が言いながらに立ち上がったのだ。
「――どういうこと?」
オネエの口調、オネエのイントネーション、そしてオネエの声だった。
オネエに扮した樽男? 樽男に扮したオネエ? 分からない。
「どういうこと……。いや、どういうつもり?」
刀を向けながらに問い掛ける。
「狙い通りよ。金田樽男の身体の権限を奪ったわ。そう。傀儡は成功したの。――ナツキちゃん。あなたのおかげよ」
「狙い通り? は? 意味が分からないんだけど。傀儡に出来ていた? 嘘でしょ? 1人にしか掛からないんじゃないの……」
「嘘に決まっているじゃない」
「え? 嘘? 騙された? 樽男に騙されたってこと? ちょっと待って――。やった意味は? 樽男の権限を奪っていたってことだよね? なんで好き放題やらせたままにしてるの? どういうこと?」
「金田先生もやりたがっていたし、ナツキもちゃんもまんざらじゃなさそうだったし。それにナツキちゃん今のままじゃ使い物にならないから、犯させただけよ?」
「使い物にならない? 犯させた、……だけ? だけですまないこと言ってない!? なんなのほんと。樽男の身体以上に頭の中グチャグチャなんだけど!」
「仕方ないわねぇ」
「仕方ないのはお前だ!!」
※
日本刀振り回して斬りつけてからの暫しの休息の後。
ナツキは事情を聞かされることとなった。
オネエによる傀儡の術は問題なく完成していた。
そして樽男が傀儡と化した直後、オネエは樽男に指示を飛ばしたという。
――ナツキを犯せ、と。
『あら。堕ち具合が中途半端ねぇ。半堕ちってとこかしら? 徹底的に堕としちゃうと思ってたけど?』
『服部かっ……しまった。――時間のこと……すっかり忘れていたね』
『まぁいいわ。金田先生。まだやり足りないんでしょ?』
『はぁ……。術から抜け出すタイミング逃した……』
『金田先生?』
『なんでこんなことに……ほんと、なんでだ……』
『……そんなに凹むことかしら。凹んでいるところ悪いんだけど、どっちにしても無理だったんじゃないかしら?』
『直前に分裂してしまえば――』
『無理よ。大体JKに夢中になっているようじゃね~』
『だから忘れていたと……』
『忘れるくらい夢中になってる時点であなたの負け。それにこっち見なさい』
どっちだ。
そう聞こうとした樽男は、背筋が一直線に伸ばされるような寒気を覚えて、レザーソファーを急ぎ見た。
するとそこには自分の姿があって、ゾッとさせられてしまう。
分裂なんてしていない。
そう、オネエが樽男に変化して座っていたのだ。
『いつから……だね。いつからそこにいたのだね』
『ナツキちゃんから連絡来て、それからずっとよ~? ナツキちゃんがお風呂から出て1分後くらいかしらね?』
なんて速さでここに辿り着いたんだ。それにさえ気付けなかったと言うのか。
今の今までずっと。それにこの寒気。
指の一本すら動かせないね……。
負けを認めざるを得ないな。
『は、ははっ。完全にやられたよ。どっちにしても私は傀儡にされた。秘書にこんな酷い目に遭わされるとはねぇ……はははっ……煮るなり焼くなり好きにしろ』
『そうね~。とりあえず、ナツキちゃんを足腰立てなくなるくらいに犯しちゃって』
『――な、に? 聞き間違え……かね?』
オネエからの耳を疑う指示に、樽男も戸惑う。
『ナツキちゃんまだセックス下手くそすぎて使い物にならないから、徹底的に犯せって言ってるのよ。やり足りないんでしょ? 少しは使えるようにしごいてっていってるの』
※
「こういうことよ」
「どういうこと!? よ、よくもそんなこと躊躇いもなく言えるね!? ほんと、ほんと死ぬところだったんだけど!?」
「死んでないからいいじゃない」
「ぐぐっ……」
歯が割れそうなくらいに歯噛みした。
……とは言えだ。
やはりオネエは強い。オネエからしたら使い物にならないのもまた事実だ。
それにずっと守られていた。
樽男に犯されているあいだもずっと守られていた。
……み、見られていた。さ、最悪っ、お、お漏らししたのまでっ、オネエの時より感じたのも見られてた……。さ、最悪!
「わわ、あぶないっあぶないっ! ナツキちゃんやめなさいっ!」
また、オネエに向かって刀を振り回していた。
今度は自分でも分かる照れ隠しだった。
事情を聞く前よりも全力で刀を振り回していた。
そして、このとき私は決断した。
※
――二日後。私はオネエの元に再び現れた。
決断したこと全てを告げるために。
「ほんとうにあたしなんかに仕えるの?」
「何度も言ってるでしょ」
オネエの元でくノ一として仕官したい。そう申し出ていた。
「コタロウさんは良いって言うかしらねぇ?」
風魔コタロウ。おじいちゃんが継いだ風魔の頭首の名前だ。
あれから二日経ったが、おじいちゃんも風魔のみんなもまだ戻ってきていない。
囚われの身のままで、おじいちゃんは文句さえ言えない状況だった。
「本来なら抜け忍扱いなんだろうけど助けてもらう身だから、おじいちゃんも何も言えない。このままだと忍びは、淫魔に飲み込まれる。そうでしょ?」
「そうね。このままいけば人間が一番ではいられなくなる」
樽男を傀儡として駒にしたものの、思ったほどの進展は無かった。
正確に言うと、あまりにも大きな動きで任務を遂行すると、まだ見えていない敵に気取られてしまう可能性があって踏み込んだ調査が出来ていないらしい。
「――ふぅ。じゃ、トレーニングしましょうか。あたしの性欲処理とあなたへの手ほどきを兼ねてね」
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