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第三章 僕と竜くんのえっちな人達
僕と竜くんと僕の金魚
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「よう、竜。迎えに来たぜ。また、楽しくやろうや。新作のプログラムなんだけどさ」
バーテンの男の人は竜くんを見つけると、なぜか急にげらげら笑いだした。
「あんたら、みそらクンになにしたか、分かってんの?」
脱法ハーブ……今は危険ドラッグ指定らしいんだけど、僕はあのあと心配していた竜くんのお願いで、もう1度、竜くんが通ってる病院……1番初めに肛門裂傷で入院した……に連れて行ってもらって色々検査された。
結果はもちろん異常なし。
久保田くんの処置が良かったみたいで、僕はなにも問題なかったけど、バーテンさんたちは粗悪なハーブを掴まされたのではと話してくれた。
「あ?使い捨てのごみの子ね、あの汚いやつがなに?ああ、そこにいた。まーだー、いたのー?もしかして、意外に具合がいい?俺にも使わせて、そのオナホ」
笑われて……なんだろう……急に肋骨の真ん中が痛くて……胸のとこに手を当てた。
ダメだ……泣きそう。
こんなことで……。
何年も泣いてなかったのに、一度泣いちゃうと…ダメだ。
「あのさあ、俺、記憶戻ってきてるんだ。あんまり俺に関わると、全て暴露するよ。だからさー、俺の家族と会社に手を出すな」
「えっ、竜、何を……」
バーテンさんたちはすごく顔色を変えて、手に持ってた棒みたいなのを落とした。
社長は工場から出てきた人を止めて工場に戻す。
「お前ら俺の記憶力、知ってるだろ。俺が作った携帯ゲームプログラムの版権は全部お前にやるよ。だから、こっちくんな。都心で遊んでろ」
竜くんはとんとんと、人差し指で自分のこめかみをつつく。
竜くんが竜くんじゃないみたいで、バーテンさんと太った人は無言で慌てて車に乗っていってしまって、竜くんはふーってため息を着いたあと、携帯電話で電話を始めた。
「あ、えーと……あ!三矢だっけ。うん、名前覚えたよー。でさ、
シナリオ分かりにくいー。あいつら来たからさー、うん、頼むー。じゃーねー」
「鈴木、お前……」
太った人から社長を守ってた左右田先輩の言葉に、竜くんは無視して
「あー、疲れたー。記憶なんて戻るわけないじゃーん。三矢のノートのセリフ見ただけー。ちょーめんどくさいー」
って、泣いてる僕を後ろから抱き締めて、社長が左右田先輩の横に来た。
竜くん帰ってこないかもって、心配していたたから、ほっとしてるみたいで。
「竜……帰ったのか」
「うん。なんかさー、ここでみそらクンと働くのもいいかなーって。あんた……じゃなくて、社長はすっごい長生きして、『お姉さんって人の子ども』を社長にしてねー」
竜くんのお姉さんは会社の人と結婚して、二月に子どもが生まれたんだ。
だから、いつも社長の横いる社長の奥さんが、竜くんのお母さんは事務棟にいない。
「あー、ごめんねー。みそらクン泣いてるから、じゃあねー」
って、竜くんは車の鍵を左右田先輩に投げると、泣き止めない僕を連れて、会社から歩いて数分の竜くんのうちに着いた。
僕は回りが見えてなくて、なんで悲しいのか、なんで……泣けちゃうのか、もう、わからなくて……。
僕は泣けて泣けて玄関から動けなくて、竜くんがひょいって抱き抱えると靴を蹴って脱いで、僕のも捨てるみたいに脱がせてベッドに降ろされた。
そのままキスをされて、竜くんは僕の涙をごしごしって拭く。
「ねーみそらクンの金魚、見ていーい?」
汚いって言われた……染みみたいな僕の火傷の痣……。
「い……」
「いーよ、だねー。よかったー、俺の金魚だもーん」
嫌って言おうとしたのに、竜くんに言葉を取られた。
脱がせようとしてきた竜くんを両手で押し退ける。
「いやだ!見せたくない!」
「みそらクン?なんでー、かわいいのにー」
「竜くんだけじゃん、そう言ってるの」
竜くんは変わってて、少しみんなと感性が違うから。
バーテンの人も、久保田くんも、宗像くんも、みんなみんな、火傷を見て、嫌な顔、変な顔をした。
だから、嫌なんだ。
僕は、気持ちが爆発して、枕を掴んでベッドに叩きつける。
「もう……いやだ!もういやだよ!どうして、みんなにやな顔されなきゃならないの!どうして、ねえ!なんでなの!僕が火傷したのだって、みんなに関係ないでしょ!そんなに、汚い?見苦しい?おかしい?変なの?ねえ……」
涙が溢れて、ぼんやりした顔の竜くんに枕を投げつけた。
「なんで、僕はおばあちゃんに叩かれなきゃいけなかったの?小学校も中学校も火傷のせいで苛められて!プールも海も行けないし!なんで、なんでっ!」
止められない。
涙も溢れて泣けて泣けて泣けて……。
「みそらクン、プール、貸しきりにできるよ。社長がホテルの会員権もってるもん。海もプライベートビーチに出来るよ。あと、ゴルフも出来るんだって」
竜くんが投げられた枕を持って、不思議そうに話す。
僕は泣きながらもう一つの枕で竜くんの胸を叩いた。
「なんでそんなこと言うの!僕は傷ついてっ……」
気づいた……
僕は傷ついてたんだ。
火傷の痕が痛くて泣いてるだけで、なんでおばあちゃんに竹定規で叩かれなきゃなんないのか。
保育園の時、プールに入ったらみんなに気持ち悪いって言われて、僕は大好きだったプール入れなくなった。
小学校ではいじめられた。
中学校の時は1年生入学時火傷の痕が見えるからって常に長袖を着るように先生に言われて……。
3年生の担任のおじいちゃん先生は、いつも通りでいいって言ってくれたけど、僕の心の中はもう……。
「なんで……火傷したの……」
僕は枕を握りしめて抱き込んで丸くなった。
悔しくて……
悔しくて……
ハーブの煙を吸い込んで吐いたあと、竜くんが定期検診していた先生が、火傷の痕も診てくれた。
火傷で皮膚が伸びなくて、身長が止まってしまったことや、首から下の火傷は多分熱湯によるもので、病院で定期的治療をして治してないこととか教えてくれた。
就職する時に見た戸籍ってのには、お父さんの名前はなくて、お母さんが死んだ日に僕は生まれてて。
僕は……どうして、火傷したの?
おばあちゃんは死んじゃって、なにもかも分からない。
「うー……ううっ……うっーー!」
小さく丸くなった僕の体を包むように、竜くんの体温がふわって来る。
バーテンの男の人は竜くんを見つけると、なぜか急にげらげら笑いだした。
「あんたら、みそらクンになにしたか、分かってんの?」
脱法ハーブ……今は危険ドラッグ指定らしいんだけど、僕はあのあと心配していた竜くんのお願いで、もう1度、竜くんが通ってる病院……1番初めに肛門裂傷で入院した……に連れて行ってもらって色々検査された。
結果はもちろん異常なし。
久保田くんの処置が良かったみたいで、僕はなにも問題なかったけど、バーテンさんたちは粗悪なハーブを掴まされたのではと話してくれた。
「あ?使い捨てのごみの子ね、あの汚いやつがなに?ああ、そこにいた。まーだー、いたのー?もしかして、意外に具合がいい?俺にも使わせて、そのオナホ」
笑われて……なんだろう……急に肋骨の真ん中が痛くて……胸のとこに手を当てた。
ダメだ……泣きそう。
こんなことで……。
何年も泣いてなかったのに、一度泣いちゃうと…ダメだ。
「あのさあ、俺、記憶戻ってきてるんだ。あんまり俺に関わると、全て暴露するよ。だからさー、俺の家族と会社に手を出すな」
「えっ、竜、何を……」
バーテンさんたちはすごく顔色を変えて、手に持ってた棒みたいなのを落とした。
社長は工場から出てきた人を止めて工場に戻す。
「お前ら俺の記憶力、知ってるだろ。俺が作った携帯ゲームプログラムの版権は全部お前にやるよ。だから、こっちくんな。都心で遊んでろ」
竜くんはとんとんと、人差し指で自分のこめかみをつつく。
竜くんが竜くんじゃないみたいで、バーテンさんと太った人は無言で慌てて車に乗っていってしまって、竜くんはふーってため息を着いたあと、携帯電話で電話を始めた。
「あ、えーと……あ!三矢だっけ。うん、名前覚えたよー。でさ、
シナリオ分かりにくいー。あいつら来たからさー、うん、頼むー。じゃーねー」
「鈴木、お前……」
太った人から社長を守ってた左右田先輩の言葉に、竜くんは無視して
「あー、疲れたー。記憶なんて戻るわけないじゃーん。三矢のノートのセリフ見ただけー。ちょーめんどくさいー」
って、泣いてる僕を後ろから抱き締めて、社長が左右田先輩の横に来た。
竜くん帰ってこないかもって、心配していたたから、ほっとしてるみたいで。
「竜……帰ったのか」
「うん。なんかさー、ここでみそらクンと働くのもいいかなーって。あんた……じゃなくて、社長はすっごい長生きして、『お姉さんって人の子ども』を社長にしてねー」
竜くんのお姉さんは会社の人と結婚して、二月に子どもが生まれたんだ。
だから、いつも社長の横いる社長の奥さんが、竜くんのお母さんは事務棟にいない。
「あー、ごめんねー。みそらクン泣いてるから、じゃあねー」
って、竜くんは車の鍵を左右田先輩に投げると、泣き止めない僕を連れて、会社から歩いて数分の竜くんのうちに着いた。
僕は回りが見えてなくて、なんで悲しいのか、なんで……泣けちゃうのか、もう、わからなくて……。
僕は泣けて泣けて玄関から動けなくて、竜くんがひょいって抱き抱えると靴を蹴って脱いで、僕のも捨てるみたいに脱がせてベッドに降ろされた。
そのままキスをされて、竜くんは僕の涙をごしごしって拭く。
「ねーみそらクンの金魚、見ていーい?」
汚いって言われた……染みみたいな僕の火傷の痣……。
「い……」
「いーよ、だねー。よかったー、俺の金魚だもーん」
嫌って言おうとしたのに、竜くんに言葉を取られた。
脱がせようとしてきた竜くんを両手で押し退ける。
「いやだ!見せたくない!」
「みそらクン?なんでー、かわいいのにー」
「竜くんだけじゃん、そう言ってるの」
竜くんは変わってて、少しみんなと感性が違うから。
バーテンの人も、久保田くんも、宗像くんも、みんなみんな、火傷を見て、嫌な顔、変な顔をした。
だから、嫌なんだ。
僕は、気持ちが爆発して、枕を掴んでベッドに叩きつける。
「もう……いやだ!もういやだよ!どうして、みんなにやな顔されなきゃならないの!どうして、ねえ!なんでなの!僕が火傷したのだって、みんなに関係ないでしょ!そんなに、汚い?見苦しい?おかしい?変なの?ねえ……」
涙が溢れて、ぼんやりした顔の竜くんに枕を投げつけた。
「なんで、僕はおばあちゃんに叩かれなきゃいけなかったの?小学校も中学校も火傷のせいで苛められて!プールも海も行けないし!なんで、なんでっ!」
止められない。
涙も溢れて泣けて泣けて泣けて……。
「みそらクン、プール、貸しきりにできるよ。社長がホテルの会員権もってるもん。海もプライベートビーチに出来るよ。あと、ゴルフも出来るんだって」
竜くんが投げられた枕を持って、不思議そうに話す。
僕は泣きながらもう一つの枕で竜くんの胸を叩いた。
「なんでそんなこと言うの!僕は傷ついてっ……」
気づいた……
僕は傷ついてたんだ。
火傷の痕が痛くて泣いてるだけで、なんでおばあちゃんに竹定規で叩かれなきゃなんないのか。
保育園の時、プールに入ったらみんなに気持ち悪いって言われて、僕は大好きだったプール入れなくなった。
小学校ではいじめられた。
中学校の時は1年生入学時火傷の痕が見えるからって常に長袖を着るように先生に言われて……。
3年生の担任のおじいちゃん先生は、いつも通りでいいって言ってくれたけど、僕の心の中はもう……。
「なんで……火傷したの……」
僕は枕を握りしめて抱き込んで丸くなった。
悔しくて……
悔しくて……
ハーブの煙を吸い込んで吐いたあと、竜くんが定期検診していた先生が、火傷の痕も診てくれた。
火傷で皮膚が伸びなくて、身長が止まってしまったことや、首から下の火傷は多分熱湯によるもので、病院で定期的治療をして治してないこととか教えてくれた。
就職する時に見た戸籍ってのには、お父さんの名前はなくて、お母さんが死んだ日に僕は生まれてて。
僕は……どうして、火傷したの?
おばあちゃんは死んじゃって、なにもかも分からない。
「うー……ううっ……うっーー!」
小さく丸くなった僕の体を包むように、竜くんの体温がふわって来る。
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