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第三章 僕と竜くんのえっちな人達

僕と左右田先輩の呼び出し

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 大学に進学した左右田先輩からスマホに連絡があったのは、久保田くんの会社がお盆休みに入った時だった。

 もちろん、鈴木螺子も少し前に休みに入ってる。

 ただ、竜くんと宗像くんは夏休み最終日に出す若手企業コンペのネジの受け手の部分に苦戦していて、久保田ベアリングの開発部で機械を動かし続けてる。

 夜になった工場の片隅で、久保田くんの会社の人にすき家の牛丼を差し入れてもらって食べていた僕は、少し迷ったけど、

「竜くん、三矢先輩の家に行ってくるね。左右田先輩が呼んでて」

って、竜くんに話した。

「えー、みそらクン……」

 竜くんが手を止めて、少し悩んだみたいなんだけど、手元の設計図と機械を見て、そっちを優先したみたい。

 ここから三矢先輩の家はすぐ近くなんだ、だから、心配しないでって伝えると、

「みそらクン、ちょっと」

と、ちょいちょいって手招きされ、図面の前に呼ばれて行くと、竜くんが抱き締めてきてキスをされた。

「んっ……」

 竜くんの舌が口の中に入ってきて、僕は竜くんの舌を少しだけ噛んで、前歯茎の裏をざらって舐められて、ぞくぞくってする。  
 
「みそらクン、わかったー。うちでねー」

って、竜くんは僕を離すと全力で手を振ってくれて、律儀に後ろを向いていてくれた宗像くんとまた試作を始める。

 近頃は僕が読んできかせなくても字を追えるようになった竜くんは、宗像くんと2人だけでいることもできるようになった。

 久保田くんがいても大丈夫で、久保田くんと宗像くんと3人で話すこともあるんだ。

 仕事の話には僕はついていけなくて、なんだか寂しいこともあるけど、竜くんが疲れてきたりするタイミングは僕が1番分かってて、だからいなくてはダメだと、久保田くんにも言われている。

 そんな久保田くんは初盆とかで、社長として色々な人と会ってるみたい。

 あ、僕もおばあちゃんのお墓にお参りにいかないと……。

 そんなこんなを考えていたら、三矢先輩の家に着いちゃった。

 三矢先輩のうちはここからそんなに遠くない。

 左右田先輩には夏休み毎日ってくらい会ってるけど、三矢先輩とは卒業式以来。

「三矢先輩、元気かな?」

 卒業式の日、野球部のキャプテン……元キャプテンが、左右田先輩にまた言い寄って……って言うか、力づくで迫って、三矢先輩と殴り合いになっちゃったんだ。

 卒業式の解散の後で、左右田先輩をかばった僕も野球部のキャプテンに殴られちゃったら、竜くんが大暴れして……。

 結局、宗像くんが竜くんを止めて、野球部のキャプテンも止めた。

 宗像くんは古武術ってのをやってたみたいで、久保田くんは驚いてた。

 三矢先輩は野球部のキャプテンにめちゃめちゃ殴られてて、左右田先輩はすっごい泣いてて……。

 先生達が職員室から出てくる前になんとか逃げたんだけど……。

「こんばんはー、三矢先輩」

 弁護士のお父さんと二人暮らしの三矢先輩が黒いエプロンをして出てきて、

「左右田が待ってるから二階へ」

って、入れてくれた。

 前に泊まらせてもらった部屋に蒲団が敷いてあって、左右田先輩が膝を抱えて座ってる。

「左右田先輩、どうしたんですか?」

 左右田先輩が顔を上げて、

「田中……」

 いつもと違う、困った顔をしてる。

 猫みたいな目は情けなさそうで、少し伸びた襟足と、焦げ茶色に染めた髪が、左右田先輩に似合ってるのに、なんだか不安そうで、ぽろっ……て涙をこぼす。

「え、え、左右田先輩」

「田中……俺、どうしよう……」

「また、野球部のキャプテンとかですか?」

 左右田先輩は首を横に振って、また、丸くなってしまった。

「三矢が、セックスするって言うんだ」

「はい?」

 僕は汗で張り付いた髪を掴んでパタパタやりながら、左右田先輩の前に座る。

「三矢が、一緒に暮らし付き合ってるんなら、きちんとセックスしようって言ってきた。俺……三矢でメスイキ自信がない……どうしよう」

 ルームシェアして沿線上で暮らしている2人は、そんな風になっていたんだ。

「おい、左右田」

「ぎゃっ……三矢」

 三矢先輩が入ってくると左右田先輩の頭を掴んで、首を上げさせると、ぱくって感じにキスをしてきた。

 口を離してから涙を指で拭くと、にこって笑ったんだ。

「だから、田中を呼んだんだろ。お前が脳内兄貴とセックスしてるのを見てるのからな」

「え?何を……」

 つまり、僕は左右田先輩と三矢先輩のえっちを見るために呼ばれたんだって理解した。 
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