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1 おわりのはじまり
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醜い顔は罪なのだろうか?醜い姿は罰なのだろうか?落ち窪んだ骨張った顔は『骸骨』『死神』と言われ続けた。痩せて細い身体は『ガリ』『骨』と呼ばれた。幼稚園からずっとあだ名は『ホラーマン』だ。
犬をけしかけられたこともある直樹は、いつものいじめから必死で逃げていた。今日のいじめは執拗で、授業後の帰宅を邪魔されている。
地元の高校に入った四月。早々に、いじめターゲットだ。
高校のいじめは、先生が助けてくれないって、どこかのサイトで読んだが、直樹の場合、その通り大正解だった。
トイレで顔面を散々殴られて、バケツ水を浴びせられた後も、校舎の非常階段から上へと追い回されていく。
「逃げてんじゃねーよ」
「気持ち悪いんだよ、てめえは」
「もっと上に行け、死ねよ。ばーか」
ひねびた笑いが生徒から上がり、ひとけの少ない特別教室塔をひたすら逃げる。
回りから理不尽に蔑まされ罵られ、幼少の頃から無視はもちろん、下等生物の扱いや、ゴミ屑と苛められていたが、高校生生活はさらに悲惨だった。
どうにも自分は人を苛立たせるのらしい。
気持ち悪いのは、顔なのか、性格なのか、よく分からない。鏡なんて何年も、見たことはない。両親も距離を置く自分に嫌気がさしていたが、自殺なんて真っ平だ。
だから、地味に目立たぬよう、真面目に生きてきたつもりだった。
「もう、やめてくださいっ。やめてっ……」
非常階段の最上階の踊り場に置いてある、型がふるい消火器を持った生徒が、ホースを直樹に向けてレバーを握る。
白い粉末が目の前を覆い何も見えなくなり、直樹は学生鞄を振り回した。
追いかけてきた生徒から逃げるように後ろに下がり、腰高の手すりにぶつかるとたたらを踏む。
「あっ!」
四階の非常階段から、体が宙に舞う。
ああ、風が冷たい。
見ると、直樹を追いかけ回していた生徒三名が、手すりから身を乗りだし笑っていた。
「お前なんか、地球にいらねーんだよ」
そんなこえが聞こえた。
きっと、自殺したとか、勝手に落ちたとか、適当に話を合わせて、偽の涙を流すのだろう。
両親はほっとしたような顔で、葬式をするのだろか。
生まれてきて親不孝な、一人息子でごめんなさい。
直樹は、そう、思った。
犬をけしかけられたこともある直樹は、いつものいじめから必死で逃げていた。今日のいじめは執拗で、授業後の帰宅を邪魔されている。
地元の高校に入った四月。早々に、いじめターゲットだ。
高校のいじめは、先生が助けてくれないって、どこかのサイトで読んだが、直樹の場合、その通り大正解だった。
トイレで顔面を散々殴られて、バケツ水を浴びせられた後も、校舎の非常階段から上へと追い回されていく。
「逃げてんじゃねーよ」
「気持ち悪いんだよ、てめえは」
「もっと上に行け、死ねよ。ばーか」
ひねびた笑いが生徒から上がり、ひとけの少ない特別教室塔をひたすら逃げる。
回りから理不尽に蔑まされ罵られ、幼少の頃から無視はもちろん、下等生物の扱いや、ゴミ屑と苛められていたが、高校生生活はさらに悲惨だった。
どうにも自分は人を苛立たせるのらしい。
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だから、地味に目立たぬよう、真面目に生きてきたつもりだった。
「もう、やめてくださいっ。やめてっ……」
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白い粉末が目の前を覆い何も見えなくなり、直樹は学生鞄を振り回した。
追いかけてきた生徒から逃げるように後ろに下がり、腰高の手すりにぶつかるとたたらを踏む。
「あっ!」
四階の非常階段から、体が宙に舞う。
ああ、風が冷たい。
見ると、直樹を追いかけ回していた生徒三名が、手すりから身を乗りだし笑っていた。
「お前なんか、地球にいらねーんだよ」
そんなこえが聞こえた。
きっと、自殺したとか、勝手に落ちたとか、適当に話を合わせて、偽の涙を流すのだろう。
両親はほっとしたような顔で、葬式をするのだろか。
生まれてきて親不孝な、一人息子でごめんなさい。
直樹は、そう、思った。
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