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43 王都デメテルの夜※
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「王都は最新ユミル式です。僕のいた世界で言うオール電化、こちらでのオール魔力ですよ。魔力は王座の下にあるマナ充填クリスタルから王都全土に送られて、市井は微弱なマナで起動させます。明かりや煮炊きや冷暖房、温水散湯、水道の開閉など、タッチパネル式を採用しました。王都にいる限り、サリオンやジェスのマナは常に吸われ続けいますが、まあ、問題ありませんね。王の役割なんていうのは、民のためにあるのですからね」
もちろん一定の高位マナを持つ者は吸われ続ける仕組みらしく、これから王城で暮らして行く宣言をしていたターク先生やガリウス王のマナもクリスタルに充填されているらしい。僕は初めて見る調理器具に驚き、メーテルは口元が綻んでいた。
「セリアン国が落ち着けば、僕のもう一人の伴侶セフェムも来ますよ」
「爺様、獣面だから驚くぜ」
ジェスが肩を竦めて笑う。
食事が終わるとテレサとアルベルトに片付けを任せて、ターク先生の案内の下王城に入った。アプローチは入るなり明かりが灯り、
「魔法石のオドセンサーですよ。広間もみんな明かりは魔法陣を埋め込んだ魔法石をふんだんに使いました。一階にテレサやアルベルトの使用人の部屋、二階は僕らゲストの部屋です。三階はメーテルとサリオン王、配偶者の部屋ですよ」
二階と三階では雰囲気が違い、巨大な扉と巨大な部屋がある。寝台もまた大きくて驚いた。
「ガリウスが入る扉ですからねえ。あと僕らは広い部屋を好みます」
三階の部屋は離宮を思い出す作りになっていたけれど、ジェスと離れ離れの部屋なんだなと眉を潜める。するとターク先生が僕の袖を引っ張り、僕の耳に唇を寄せた。
「いつもは一緒にいなさい。でも、発情期は一人の方がいいでしょう?獣人族は毎年発情期が来ます。互いに求めあっていたら、子沢山になりますよ」
なんて言われて真っ赤になってしまいつつ、
「僕、ジェスの子なら何人でも」
と話すと、ターク先生が吹き出して壁をずらしてしまったのだ。
「ジェスの部屋を無しにして、小政務室にしました。密談の部屋ですよ。こちらにどこでもドアを設置します。部屋は僕の伴侶と僕の血を受け継ぐ者、その伴侶のみしか入れません」
「二階のターク先生の部屋ではなくていいのですか?」
「生活空間を干渉されたくありません。僕は伴侶といちゃいちゃするのが好みです」
いちゃいちゃ?よく分からないけれど、ターク先生はガリウス王改めガリウスさんにずっと抱っこされている。気力や生命力の源のオドは近くにいるだけでも補充されるが、ターク先生は常に欠乏状態らしく、伴侶といることや動きを少なくすることで倒れるのを阻止しているらしい。
「いずれはガルドバルド大陸の住人をこちらに少しばかり移動させてからマナの調整を図ります。魔の森にある門扉を移動させなくてはなりません」
ターク先生の目的はガルドバルド大陸とユグドガルド大陸の拮抗。マナによる捩れの解消の為、ユグドガルド大陸の進化の底上げだ。
「さあ、今日は寝ますか。あ、メーテル、この王都はデメテルと名付けましょう。最後まで戦った貴女のお婆様の名前です」
寝台を整えていたメーテルが手を止めて、
「不吉ではありませんか?滅ぼされた女王の名前など」
と静かに告げる。
「ふむう……そうとも捉えられますね。サリオン、どうですか?」
僕はジェスと顔を見合わせてから、
「メーテルは僕の母みたいな人だから、メーテルのお婆様の名前なら大切にしたいと思う」
と僕の気持ちを話した。するとメーテルは顔を上げて泣きそうな表情を見せる。
「……ありがとうございます」
「メーテルのお婆様の名前を取ってしまったが、大切なものだろう?」
迷惑だったのかと不安になった。
「いいえ!忘れてしまいそうでしたのに……」
亡命はメーテルが生まれる前だったらしい。名前のみで知らない女王の名前、特別な名前だと思う。
メーテルとターク先生とガリウスさんが出て行った後、
「サリオン、月が綺麗だぞ」
二人きりになった時ジェスが窓から見える月を指差した。僕はそんなジェスの唇にキスをする。
「おい、疲れてるだろ?」
「月が綺麗って、ジェスが誘ったんじゃない?」
ジェスの額や少しだけ尖った耳にキスをすると、ジェスはくすぐったそうにした。
「だからあ、そーゆー意味じゃないって言ってるだろ?」
でも、僕の頭の中では『月が綺麗』はジェスとの気持ち交合の意味合いしか持っていない。下腹の中はきゅうと飢えたように引き絞るし、お尻の孔は熱っぽい。
腹実は直腸と言われる肉筒から分離し、臍の緒で繋がった状態だと、グラン医師が描いた鉛筆画で見て取れた。つまりジェスのものを全て受け入れても問題がない。前はジェスのものを半分も入れていないのだから、僕は申し訳なくて堪らない。その反面、半分であんなに気持ちよかったのだから、全部だとどうなるんだろうという好奇心もあった。
「僕はしたいんだ、ジェス。配偶者としてわがままを聞いて」
僕はジェスの両手を取ると寝台まで連れて行き、寝台に座るとジェスの下から唇にキスをする。するとジェスは僕の顔を掴んで、唇を開かせて舌を入れてきた。本気のキスだ。小さいのに肉厚な舌が絡む口付けは僕の頭の芯まで痺れさせる。
もちろん一定の高位マナを持つ者は吸われ続ける仕組みらしく、これから王城で暮らして行く宣言をしていたターク先生やガリウス王のマナもクリスタルに充填されているらしい。僕は初めて見る調理器具に驚き、メーテルは口元が綻んでいた。
「セリアン国が落ち着けば、僕のもう一人の伴侶セフェムも来ますよ」
「爺様、獣面だから驚くぜ」
ジェスが肩を竦めて笑う。
食事が終わるとテレサとアルベルトに片付けを任せて、ターク先生の案内の下王城に入った。アプローチは入るなり明かりが灯り、
「魔法石のオドセンサーですよ。広間もみんな明かりは魔法陣を埋め込んだ魔法石をふんだんに使いました。一階にテレサやアルベルトの使用人の部屋、二階は僕らゲストの部屋です。三階はメーテルとサリオン王、配偶者の部屋ですよ」
二階と三階では雰囲気が違い、巨大な扉と巨大な部屋がある。寝台もまた大きくて驚いた。
「ガリウスが入る扉ですからねえ。あと僕らは広い部屋を好みます」
三階の部屋は離宮を思い出す作りになっていたけれど、ジェスと離れ離れの部屋なんだなと眉を潜める。するとターク先生が僕の袖を引っ張り、僕の耳に唇を寄せた。
「いつもは一緒にいなさい。でも、発情期は一人の方がいいでしょう?獣人族は毎年発情期が来ます。互いに求めあっていたら、子沢山になりますよ」
なんて言われて真っ赤になってしまいつつ、
「僕、ジェスの子なら何人でも」
と話すと、ターク先生が吹き出して壁をずらしてしまったのだ。
「ジェスの部屋を無しにして、小政務室にしました。密談の部屋ですよ。こちらにどこでもドアを設置します。部屋は僕の伴侶と僕の血を受け継ぐ者、その伴侶のみしか入れません」
「二階のターク先生の部屋ではなくていいのですか?」
「生活空間を干渉されたくありません。僕は伴侶といちゃいちゃするのが好みです」
いちゃいちゃ?よく分からないけれど、ターク先生はガリウス王改めガリウスさんにずっと抱っこされている。気力や生命力の源のオドは近くにいるだけでも補充されるが、ターク先生は常に欠乏状態らしく、伴侶といることや動きを少なくすることで倒れるのを阻止しているらしい。
「いずれはガルドバルド大陸の住人をこちらに少しばかり移動させてからマナの調整を図ります。魔の森にある門扉を移動させなくてはなりません」
ターク先生の目的はガルドバルド大陸とユグドガルド大陸の拮抗。マナによる捩れの解消の為、ユグドガルド大陸の進化の底上げだ。
「さあ、今日は寝ますか。あ、メーテル、この王都はデメテルと名付けましょう。最後まで戦った貴女のお婆様の名前です」
寝台を整えていたメーテルが手を止めて、
「不吉ではありませんか?滅ぼされた女王の名前など」
と静かに告げる。
「ふむう……そうとも捉えられますね。サリオン、どうですか?」
僕はジェスと顔を見合わせてから、
「メーテルは僕の母みたいな人だから、メーテルのお婆様の名前なら大切にしたいと思う」
と僕の気持ちを話した。するとメーテルは顔を上げて泣きそうな表情を見せる。
「……ありがとうございます」
「メーテルのお婆様の名前を取ってしまったが、大切なものだろう?」
迷惑だったのかと不安になった。
「いいえ!忘れてしまいそうでしたのに……」
亡命はメーテルが生まれる前だったらしい。名前のみで知らない女王の名前、特別な名前だと思う。
メーテルとターク先生とガリウスさんが出て行った後、
「サリオン、月が綺麗だぞ」
二人きりになった時ジェスが窓から見える月を指差した。僕はそんなジェスの唇にキスをする。
「おい、疲れてるだろ?」
「月が綺麗って、ジェスが誘ったんじゃない?」
ジェスの額や少しだけ尖った耳にキスをすると、ジェスはくすぐったそうにした。
「だからあ、そーゆー意味じゃないって言ってるだろ?」
でも、僕の頭の中では『月が綺麗』はジェスとの気持ち交合の意味合いしか持っていない。下腹の中はきゅうと飢えたように引き絞るし、お尻の孔は熱っぽい。
腹実は直腸と言われる肉筒から分離し、臍の緒で繋がった状態だと、グラン医師が描いた鉛筆画で見て取れた。つまりジェスのものを全て受け入れても問題がない。前はジェスのものを半分も入れていないのだから、僕は申し訳なくて堪らない。その反面、半分であんなに気持ちよかったのだから、全部だとどうなるんだろうという好奇心もあった。
「僕はしたいんだ、ジェス。配偶者としてわがままを聞いて」
僕はジェスの両手を取ると寝台まで連れて行き、寝台に座るとジェスの下から唇にキスをする。するとジェスは僕の顔を掴んで、唇を開かせて舌を入れてきた。本気のキスだ。小さいのに肉厚な舌が絡む口付けは僕の頭の芯まで痺れさせる。
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