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37 ジェスとの月が綺麗は気持ちいい※
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ずっと気持ち悪い。僕の日常は気持ち悪いばかりだ。
「大丈夫か?」
ジェスが背中を撫でてくれると楽になる。横にいてくれるだけでもいい。ターク先生の薄荷茶があれはさらに安心できる。
「ジェス、ジェス。横にいて」
僕は近頃甘えたがりだ。日中は気持ち悪い、眠い、その繰り返し。それもだんだん酷くなる。
離宮でジェスと学んでは寝落ちする僕に、ターク先生は『さんきゅう』を僕に申し出た。
「産休は排出するまでの王子の仕事のお休みです。お勉強や剣術、拝謁を含みます。腹実がある時はゆったり過ごしましょう。マナ酔いがある時は特にです。赤ちゃんはサリオンの中で育っているのですから、サリオンが辛いと赤ちゃんも辛くなりますよ」
ターク先生は赤子のことを『赤ちゃん』と呼ぶ。僕はその呼び方が好きで、ジェスは『赤ん坊』なんてくだけた呼び方で呼ぶ。それもまた赤子が大事にされているような気がしてくる。
ターク先生は王宮から新しい書物を借りてきて読んでいる。ジェスが席を外したのを確認すると、僕はターク先生の座っている出窓に近寄った。
「ターク先生、あの、僕……」
言い淀んだ僕の頭を撫でてターク先生は、子供みたいな可愛い顔で笑う。
「サリオン、どうしましたか?」
日のある時は気持ち悪い眠たいが続く僕だが、夜になると困ったことになっていた。変幻はイベールさんのおかげで制御出来ている。腹実がある間は獣化しない方がいいとメーテルにも言われていたから、夜もヒトの姿を保っているのだが、夜に下肢が妙に疼いて困っていた。『月が綺麗』をして欲しくてたまらない。
ジェスの身体から香る薄荷の香りを嗅いでいると、発情したみたいにお尻の孔がじんじんして濡れてくるような感覚がある。お腹の奥ももどかしくて、どうにか堪えていた。でもだんだんその欲求は強くなっている。
「ターク先生……僕は腹実なのに、ジェスに月が綺麗をしてもらいたいのです」
ターク先生は僕の言葉が一瞬理解できなかったようで、小首を傾げた後、
「ああ、交合のことですね」
と言い変えた。僕は真っ赤になって頷く。
「未成人とはいえ腹実を宿す早熟さを持ち合わせていることを踏まえて、もしかすると腹実がオドを求めているのやも知れませんね」
「赤ちゃんがオドを?」
思わず下腹部に触れてしまった。
「オドは気力です。オドとマナの融合が肉体を作り出します。宿り木はマナは大地よりいただき、オドは祈りとして実を包むのですが腹実は少し違うのかもですね。まあ、かく言う僕はオドが常に欠乏していて、三日開けずに伴侶のオドを必要としています。精液にはオドが満たされていますから、経口でも体内摂取でもいいですよ」
ターク先生は僕の頭を撫でて、
「僕も未経験ですが、あなたとジェスの赤ちゃんを見たい気持ちはひと一倍ですよ。だってサリオンも僕の家族になるのですから」
なんて話をしてくれる。僕が家族に……ジェスはターク先生を『婆様』と呼んでいるが、僕には『先生』であって欲しい。
「嬉しいです」
僕はターク先生の小さな手を握った。
夜になると吐き気や怠さがなくなり、ただジェスの身体から香る薄荷の香りに酩酊すら感じて、僕は湯上りのジェスの胸元に額をつけた。僕より小さなジェス。でもジェスはドレスシャツ越しにも薄いしなやかな筋肉がしっかりついていて、痩せ気味の僕より逞しい。
「ジェス、僕、月が綺麗をして欲しい」
僕はジェスの唇に唇を付けてお願いをした。ジェスは一瞬困った顔をして金の瞳を歪める。
「赤ん坊は大丈夫なのかよ」
「うん。赤ちゃんが欲しがっているみたい」
ドレスシャツの下は下着をつけていない。月明かりが部屋を照らす。僕らは脱がしあって、お風呂とは違う絹づれの中でお互いを見合った。
「ジェス……僕の性器より大きい」
身体に比例すると閨の本に書いてあったのだが、ジェスの性器は僕のものよりずっと大きくて驚いてしまう。僕が触れると更に大きく長くなって、僕はお腹の中が疼いてきた。赤ちゃんがオドを欲しがっているのかな。
「サリオン、俺のは簡単に入りそうもない。しっかり解さないとだめだ」
ジェスは僕を敷布に横たえると、軟膏の蓋を取って指につけ、僕のお尻の孔に塗って指を入れた。違和感はあるが、ジェスの指は細い。だから不安はないのだが、指が増やされた時、僕は思わず膝を閉じてしまった。
「あっ、んあっ!」
思わず声が出た。ジェスの小さな身体を押しのける。ジェスの指がびくっとする部分を触れてきたからだ。
「サリオン?」
「ん……なんだかびっくりして」
「それ、気持ちよかったってことか?」
閉じた両膝を寝台に横倒しにして、丸見えの僕のお尻の孔に再び指が入って来る。
「あっ……」
指が増えて……指の動きが……ばらばらになって押された。
「んうーーっ!」
息が止まる。なにこれ、なんだろう、お尻の孔がビクビクして、下腹がきゅーっと締まった。
「大丈夫か?」
ジェスが背中を撫でてくれると楽になる。横にいてくれるだけでもいい。ターク先生の薄荷茶があれはさらに安心できる。
「ジェス、ジェス。横にいて」
僕は近頃甘えたがりだ。日中は気持ち悪い、眠い、その繰り返し。それもだんだん酷くなる。
離宮でジェスと学んでは寝落ちする僕に、ターク先生は『さんきゅう』を僕に申し出た。
「産休は排出するまでの王子の仕事のお休みです。お勉強や剣術、拝謁を含みます。腹実がある時はゆったり過ごしましょう。マナ酔いがある時は特にです。赤ちゃんはサリオンの中で育っているのですから、サリオンが辛いと赤ちゃんも辛くなりますよ」
ターク先生は赤子のことを『赤ちゃん』と呼ぶ。僕はその呼び方が好きで、ジェスは『赤ん坊』なんてくだけた呼び方で呼ぶ。それもまた赤子が大事にされているような気がしてくる。
ターク先生は王宮から新しい書物を借りてきて読んでいる。ジェスが席を外したのを確認すると、僕はターク先生の座っている出窓に近寄った。
「ターク先生、あの、僕……」
言い淀んだ僕の頭を撫でてターク先生は、子供みたいな可愛い顔で笑う。
「サリオン、どうしましたか?」
日のある時は気持ち悪い眠たいが続く僕だが、夜になると困ったことになっていた。変幻はイベールさんのおかげで制御出来ている。腹実がある間は獣化しない方がいいとメーテルにも言われていたから、夜もヒトの姿を保っているのだが、夜に下肢が妙に疼いて困っていた。『月が綺麗』をして欲しくてたまらない。
ジェスの身体から香る薄荷の香りを嗅いでいると、発情したみたいにお尻の孔がじんじんして濡れてくるような感覚がある。お腹の奥ももどかしくて、どうにか堪えていた。でもだんだんその欲求は強くなっている。
「ターク先生……僕は腹実なのに、ジェスに月が綺麗をしてもらいたいのです」
ターク先生は僕の言葉が一瞬理解できなかったようで、小首を傾げた後、
「ああ、交合のことですね」
と言い変えた。僕は真っ赤になって頷く。
「未成人とはいえ腹実を宿す早熟さを持ち合わせていることを踏まえて、もしかすると腹実がオドを求めているのやも知れませんね」
「赤ちゃんがオドを?」
思わず下腹部に触れてしまった。
「オドは気力です。オドとマナの融合が肉体を作り出します。宿り木はマナは大地よりいただき、オドは祈りとして実を包むのですが腹実は少し違うのかもですね。まあ、かく言う僕はオドが常に欠乏していて、三日開けずに伴侶のオドを必要としています。精液にはオドが満たされていますから、経口でも体内摂取でもいいですよ」
ターク先生は僕の頭を撫でて、
「僕も未経験ですが、あなたとジェスの赤ちゃんを見たい気持ちはひと一倍ですよ。だってサリオンも僕の家族になるのですから」
なんて話をしてくれる。僕が家族に……ジェスはターク先生を『婆様』と呼んでいるが、僕には『先生』であって欲しい。
「嬉しいです」
僕はターク先生の小さな手を握った。
夜になると吐き気や怠さがなくなり、ただジェスの身体から香る薄荷の香りに酩酊すら感じて、僕は湯上りのジェスの胸元に額をつけた。僕より小さなジェス。でもジェスはドレスシャツ越しにも薄いしなやかな筋肉がしっかりついていて、痩せ気味の僕より逞しい。
「ジェス、僕、月が綺麗をして欲しい」
僕はジェスの唇に唇を付けてお願いをした。ジェスは一瞬困った顔をして金の瞳を歪める。
「赤ん坊は大丈夫なのかよ」
「うん。赤ちゃんが欲しがっているみたい」
ドレスシャツの下は下着をつけていない。月明かりが部屋を照らす。僕らは脱がしあって、お風呂とは違う絹づれの中でお互いを見合った。
「ジェス……僕の性器より大きい」
身体に比例すると閨の本に書いてあったのだが、ジェスの性器は僕のものよりずっと大きくて驚いてしまう。僕が触れると更に大きく長くなって、僕はお腹の中が疼いてきた。赤ちゃんがオドを欲しがっているのかな。
「サリオン、俺のは簡単に入りそうもない。しっかり解さないとだめだ」
ジェスは僕を敷布に横たえると、軟膏の蓋を取って指につけ、僕のお尻の孔に塗って指を入れた。違和感はあるが、ジェスの指は細い。だから不安はないのだが、指が増やされた時、僕は思わず膝を閉じてしまった。
「あっ、んあっ!」
思わず声が出た。ジェスの小さな身体を押しのける。ジェスの指がびくっとする部分を触れてきたからだ。
「サリオン?」
「ん……なんだかびっくりして」
「それ、気持ちよかったってことか?」
閉じた両膝を寝台に横倒しにして、丸見えの僕のお尻の孔に再び指が入って来る。
「あっ……」
指が増えて……指の動きが……ばらばらになって押された。
「んうーーっ!」
息が止まる。なにこれ、なんだろう、お尻の孔がビクビクして、下腹がきゅーっと締まった。
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