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15 明らかに足りないもの
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ターク先生は準備運動だと言っていた。
学舎から魔の森の中を駆けていく。道は踏み固められ分かっていたが、倒れた木を跨ぎ、岩を手を使って登って降りる。それから木に飛び上がり川を渡る。
「ま、待って……」
川を渡るとなだらかな坂になっていて、僕は息が荒くて苦しくって、森の道で吐いた。
「げほっ……げっ……ぇ……」
自然障害物による野外運動だっていうが、坂を越えて下れば学舎だ。魔獣であれば簡単に走り抜けられる道が遠くて、明らかに足りない体力に涙が出てくる。下を向いてぼろぼろと泣いていると、学舎側から足音がして靴が見えた。ドナムンドかと思っていたら、ドナムンドの革靴ではなくて、もっと小さな靴だ。ふわりと薄荷の匂いがする。
「お前、吐いたのか」
「う、うん」
「荒布だ。顔を拭いて鼻をかめ」
もらって涙を拭いてためらいつつ鼻をかむと、顔を上げる。金色が目に入る。僕を嫌いなはずのジェスが目の前にいた。
「水を飲めるるか?」
「うん」
革袋の水には薄荷の葉が混ざっていて口の中が、さっぱりする。
「お前、貴族だろう。最初っから頑張りすぎだ。歩けないなら転移陣を使うか?」
ジェスは僕の中指の指輪を指差してくる。僕は首を横に振った。
「じゃあ歩くか」
僕が頷くとジェスはゆっくりと歩いて登っていく。僕の歩みに合わせてゆっくり歩きながら、
「お前、レイダース村の奴じゃないだろ」
と聞いてきたから、僕は頷いた。村の子ならこんな道はたぶん日常なんだろうなと思ったからだ。
「じゃあ敵じゃない。お前、サリオンだっけ。薄荷の匂いするよな」
僕はポケットから薄荷の匂い袋を出して見せた。
「魔除のお守りだよ。ジェスも薄荷の匂いがする」
ジェスは笹の葉の編んだ三角の容器を出して、僕の鼻に突き出した。薄荷の香りがする。
「婆様に持たされてる。婆様は薬師だから。俺、咳がよく出るから持っていてたまに匂いを嗅ぐんだ」
同じ薄荷を持っていても、使い道が少し違うのだなと僕は息を吐いてから、ジェスの薄荷を吸い込んだ。僕の薄荷より濃いのは、ポプリではないからだろう。
「生薄荷、すーっとする。吐き気も治ったよ、ありがとう」
自然に言葉が出た。いつもは考えて話すのに。不思議と肩の力が抜けていた。何だろう、ジェスといると自然に呼吸が出来る。息苦しくない気がした。
「レイダース村じゃなくて、お前王都育ちか。どうして嘘つくんだ。大方、ガルド神の平等の精神云々って奴か?貴族ってどこも胡散臭え」
「貴族ってそんなものなんだ。僕は貴族じゃないから分からないよ」
「お前、貴族じゃないのか。じゃあ、商家か?」
どちらにも首を横に振る。僕は王族でもない。王息ってだけで、どの階級にも属さない。平民でもないんだ。
「ぜーんぶハズレだよ、ジェス。僕はサリオン、それじゃダメかな?」
ジェスは金の瞳を細めて、
「じゃあ、俺もただのジェスだ」
と笑った。すごく可愛くて、なんだろう、胸がぎゅっと痛くなる。
「みんなにはサリオンがゲロ吐いたの内緒にしてやるから、怯えるなって」
僕が胸を押さえたのを不安と感じたみたいだ。ジェスはまだ足元がふらつく僕に手を差し出した。
「手、繋いでやる。転びそうだからな」
僕はジェスの手を握る。乾いていて小さな手は少し硬い。
「剣タコがある」
「よく分かるな。サリオンも剣の稽古してるのか?」
「たまーに教えてもらえるんだ。教えてくれる人、魔法剣術の使い手なんだよ」
ジェスが大きな目を見開いた。
「俺も!俺も、俺も!魔法剣術の使い手から教えてもらってる。めちゃくちゃ厳しくて、でも、優しいから大好きなんだ」
ハンロックはこんな小さなジェスにも教えていたのか。ではジェスは貴族なんだろうか。
「厳しいんだ。僕にはあまり厳しくないや。きっとジェスの方が見どころがあるからだよ。将来は騎士を目指すの?」
ジェスは首を横に振ってから、
「将来はもう決まってる。道が敷かれているんだ。だからいっつも親父と喧嘩ばっかりしてる」
と悲しそうな表情をした。僕ももう将来は決まっている。アーロンと伴侶になり、大公家にはいるのだろうから。
しばらく無言で坂を上がり、坂の頂上から魔法学舎を見下ろすことが出来た。魔の森のほんの少しを通っただけなのだと思った。魔法学舎から森を挟んで湖が見えてレイダース村がある。
「俺さあ、レイダース村で好きな子を見つけたんだ。告白して快諾されたのに、その子はいなくて……何度も村に行ったのにさあ。悔しくて悔しくて。運命だと思ったのに」
ジェスは僕の手を強く握りしめる。好きな子がいると聞いて胃の中がもやもやするのは何だろう。ジェスが下を向いたから、きっと泣きそうなんだろうなって思った。ジェスは薄荷の包みを出して匂いを嗅いでから息を吐いた。
「でも、もういい。サリオンが友達になってくれるなら。レイダース村の奴らは恨まない」
「友達になる。でも、好きな子のことは諦めるの?」
「諦めないけど、恨まない。あの時の俺たちはきっと好き合っていた。その気持ちは確かだ。だから、運命ならきっとまた巡り合う……って婆様受け売りだけどさ」
ジェスが笑いながら僕を見上げてきて、僕は胃が苦しくなくなって頷く。僕らは学舎に向けて歩き出した。
※※※※※※※※※※※※
「ジェス、もうじき坂だよー」
ミーメの先を走っていた俺は足を止めた。誰よりも早い自負がある。でも、足を止めた。
「ミーメ、ザック先に行け」
「えっ、五回連続一番だとターク先生からお菓子もらえるんだよー!ジェス、今日で四回目ー」
「二人に譲るから先に行け」
「変なのー、ザック、競争だよー」
「おう、負けねーよ」
ミーメとザックが坂を一気に駆け上がり、スターとドナムンドが遅れて走ってくる。スターはドナムンドに気を使っているんだ。ドナムンドは没落したといっても元貴族、今回の同期の卒業試験に関わる人物だ。スターはドナムンドが好きなんだろう。だけど、俺には関係ない。
レイダース村から来たって奴サリオンだっけから、話を聞きたくて待ち伏せしていた。俺は好きになった子に告白して快諾を受けた。一緒になりたいと言ってもらえた。だから迎えに行ったのに、村にはいない。何度も訪ねたが、村にも近くの森にもいなかった。
サリオンと呼ばれた奴は坂の下でげえげえ吐いていて、ぐすぐす泣いている。足を引きずり力尽きたようによろよろしているこいつは、平民じゃない。たぶん、貴族だ。だから先生は手袋を渡したんだ。手をつかなければ岩も登れないなんて、弱々しすぎるだろう。
レイダース村出身なんて嘘っぱちで、でもあいつは必死で歩こうとしている。俺はそんな奴が嫌いじゃない。近寄るとふわりと薄荷の香りがする。心臓が煽るのは、薄荷の香りのせいだ。
水を飲み話していて楽しくなって来た。サリオンも魔法剣術を習っているんだ。いつかもっと上手くなって、サリオンと手合わせをしたい。
「でも、もういい。サリオンが友達になってくれるなら。レイダース村の奴らは恨まない」
サリオンと友達になりたいと俺は思った。サリオンは茶色の優しい瞳で笑ってくれる。あの子のことは心の中で、そっと蓋をした。いつか会えたらいいなと思いながら。
学舎から魔の森の中を駆けていく。道は踏み固められ分かっていたが、倒れた木を跨ぎ、岩を手を使って登って降りる。それから木に飛び上がり川を渡る。
「ま、待って……」
川を渡るとなだらかな坂になっていて、僕は息が荒くて苦しくって、森の道で吐いた。
「げほっ……げっ……ぇ……」
自然障害物による野外運動だっていうが、坂を越えて下れば学舎だ。魔獣であれば簡単に走り抜けられる道が遠くて、明らかに足りない体力に涙が出てくる。下を向いてぼろぼろと泣いていると、学舎側から足音がして靴が見えた。ドナムンドかと思っていたら、ドナムンドの革靴ではなくて、もっと小さな靴だ。ふわりと薄荷の匂いがする。
「お前、吐いたのか」
「う、うん」
「荒布だ。顔を拭いて鼻をかめ」
もらって涙を拭いてためらいつつ鼻をかむと、顔を上げる。金色が目に入る。僕を嫌いなはずのジェスが目の前にいた。
「水を飲めるるか?」
「うん」
革袋の水には薄荷の葉が混ざっていて口の中が、さっぱりする。
「お前、貴族だろう。最初っから頑張りすぎだ。歩けないなら転移陣を使うか?」
ジェスは僕の中指の指輪を指差してくる。僕は首を横に振った。
「じゃあ歩くか」
僕が頷くとジェスはゆっくりと歩いて登っていく。僕の歩みに合わせてゆっくり歩きながら、
「お前、レイダース村の奴じゃないだろ」
と聞いてきたから、僕は頷いた。村の子ならこんな道はたぶん日常なんだろうなと思ったからだ。
「じゃあ敵じゃない。お前、サリオンだっけ。薄荷の匂いするよな」
僕はポケットから薄荷の匂い袋を出して見せた。
「魔除のお守りだよ。ジェスも薄荷の匂いがする」
ジェスは笹の葉の編んだ三角の容器を出して、僕の鼻に突き出した。薄荷の香りがする。
「婆様に持たされてる。婆様は薬師だから。俺、咳がよく出るから持っていてたまに匂いを嗅ぐんだ」
同じ薄荷を持っていても、使い道が少し違うのだなと僕は息を吐いてから、ジェスの薄荷を吸い込んだ。僕の薄荷より濃いのは、ポプリではないからだろう。
「生薄荷、すーっとする。吐き気も治ったよ、ありがとう」
自然に言葉が出た。いつもは考えて話すのに。不思議と肩の力が抜けていた。何だろう、ジェスといると自然に呼吸が出来る。息苦しくない気がした。
「レイダース村じゃなくて、お前王都育ちか。どうして嘘つくんだ。大方、ガルド神の平等の精神云々って奴か?貴族ってどこも胡散臭え」
「貴族ってそんなものなんだ。僕は貴族じゃないから分からないよ」
「お前、貴族じゃないのか。じゃあ、商家か?」
どちらにも首を横に振る。僕は王族でもない。王息ってだけで、どの階級にも属さない。平民でもないんだ。
「ぜーんぶハズレだよ、ジェス。僕はサリオン、それじゃダメかな?」
ジェスは金の瞳を細めて、
「じゃあ、俺もただのジェスだ」
と笑った。すごく可愛くて、なんだろう、胸がぎゅっと痛くなる。
「みんなにはサリオンがゲロ吐いたの内緒にしてやるから、怯えるなって」
僕が胸を押さえたのを不安と感じたみたいだ。ジェスはまだ足元がふらつく僕に手を差し出した。
「手、繋いでやる。転びそうだからな」
僕はジェスの手を握る。乾いていて小さな手は少し硬い。
「剣タコがある」
「よく分かるな。サリオンも剣の稽古してるのか?」
「たまーに教えてもらえるんだ。教えてくれる人、魔法剣術の使い手なんだよ」
ジェスが大きな目を見開いた。
「俺も!俺も、俺も!魔法剣術の使い手から教えてもらってる。めちゃくちゃ厳しくて、でも、優しいから大好きなんだ」
ハンロックはこんな小さなジェスにも教えていたのか。ではジェスは貴族なんだろうか。
「厳しいんだ。僕にはあまり厳しくないや。きっとジェスの方が見どころがあるからだよ。将来は騎士を目指すの?」
ジェスは首を横に振ってから、
「将来はもう決まってる。道が敷かれているんだ。だからいっつも親父と喧嘩ばっかりしてる」
と悲しそうな表情をした。僕ももう将来は決まっている。アーロンと伴侶になり、大公家にはいるのだろうから。
しばらく無言で坂を上がり、坂の頂上から魔法学舎を見下ろすことが出来た。魔の森のほんの少しを通っただけなのだと思った。魔法学舎から森を挟んで湖が見えてレイダース村がある。
「俺さあ、レイダース村で好きな子を見つけたんだ。告白して快諾されたのに、その子はいなくて……何度も村に行ったのにさあ。悔しくて悔しくて。運命だと思ったのに」
ジェスは僕の手を強く握りしめる。好きな子がいると聞いて胃の中がもやもやするのは何だろう。ジェスが下を向いたから、きっと泣きそうなんだろうなって思った。ジェスは薄荷の包みを出して匂いを嗅いでから息を吐いた。
「でも、もういい。サリオンが友達になってくれるなら。レイダース村の奴らは恨まない」
「友達になる。でも、好きな子のことは諦めるの?」
「諦めないけど、恨まない。あの時の俺たちはきっと好き合っていた。その気持ちは確かだ。だから、運命ならきっとまた巡り合う……って婆様受け売りだけどさ」
ジェスが笑いながら僕を見上げてきて、僕は胃が苦しくなくなって頷く。僕らは学舎に向けて歩き出した。
※※※※※※※※※※※※
「ジェス、もうじき坂だよー」
ミーメの先を走っていた俺は足を止めた。誰よりも早い自負がある。でも、足を止めた。
「ミーメ、ザック先に行け」
「えっ、五回連続一番だとターク先生からお菓子もらえるんだよー!ジェス、今日で四回目ー」
「二人に譲るから先に行け」
「変なのー、ザック、競争だよー」
「おう、負けねーよ」
ミーメとザックが坂を一気に駆け上がり、スターとドナムンドが遅れて走ってくる。スターはドナムンドに気を使っているんだ。ドナムンドは没落したといっても元貴族、今回の同期の卒業試験に関わる人物だ。スターはドナムンドが好きなんだろう。だけど、俺には関係ない。
レイダース村から来たって奴サリオンだっけから、話を聞きたくて待ち伏せしていた。俺は好きになった子に告白して快諾を受けた。一緒になりたいと言ってもらえた。だから迎えに行ったのに、村にはいない。何度も訪ねたが、村にも近くの森にもいなかった。
サリオンと呼ばれた奴は坂の下でげえげえ吐いていて、ぐすぐす泣いている。足を引きずり力尽きたようによろよろしているこいつは、平民じゃない。たぶん、貴族だ。だから先生は手袋を渡したんだ。手をつかなければ岩も登れないなんて、弱々しすぎるだろう。
レイダース村出身なんて嘘っぱちで、でもあいつは必死で歩こうとしている。俺はそんな奴が嫌いじゃない。近寄るとふわりと薄荷の香りがする。心臓が煽るのは、薄荷の香りのせいだ。
水を飲み話していて楽しくなって来た。サリオンも魔法剣術を習っているんだ。いつかもっと上手くなって、サリオンと手合わせをしたい。
「でも、もういい。サリオンが友達になってくれるなら。レイダース村の奴らは恨まない」
サリオンと友達になりたいと俺は思った。サリオンは茶色の優しい瞳で笑ってくれる。あの子のことは心の中で、そっと蓋をした。いつか会えたらいいなと思いながら。
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