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終章〜日常〜
99 婚儀礼※
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ギガス国、ユミル国の副王が若い王となるため、同じく学舎を卒業したベクルが、タイタン王として即位することになります。バンさんも了承済みです。
ギガス国のジュスト様にはタイタン国の王族ギリアが、ユミル国のボルテ様にはタイタン国の王族ナファが伴侶として嫁します。そうなると本来なら国の結びつきのために、ベクルにはギガスかユミルから伴侶をもらうのですが、ベクルはそれを断固拒否しました。
二月末の卒業式・終了式の後ひと月学舎はおやすみになります。僕は体調を崩して寝込んでいました。久々の寝台釘付けで、セフェムとガリウスが寝台の横にいてくれます。気力の補助のためです。
セフェムより気力の高いガリウスは、ボルテ様の副王即位の段取りに連日ユミル国で、久々の休日でした。
「二人ともすみません」
僕は寝台に寝転んだまま謝ります。
「いい骨休みだ。タークの世界のぶらっくきぎょうのようであったぞ、俺は」
なんてガリウスが知らないのに知識だけで話します。
「ガリィ、なんだそれ」
セフェムとガリウスに挟まれて、セフェムは座って剣を磨いていて、ガリウスは本を読んでいます。
ゆったりとした昼下がり、僕は寝台で食事を取り、時間がゆっくりと過ぎていきます。うとうとしていると、セフェムに揺り起こされました。いつもなら人の気配で起きるのに、この二人と一緒ですとうっかりしてしまうのです。
「ベクル、どうした」
ガリウスの声に目が覚めました。
「お休みのところを申し訳ございません、父上、母上」
ベクルの声がします。寝転んだまま横目で見ると、ベクルはイベールを連れて臣下の礼を取っています。親子でこんなふうに礼を取るなんて……。
「兄上を……伴侶にしたく思います。他には誰もいりません。そうお願いしたく参りました」
……は?
「何を言っているのです!あなたたちは……きょう……だい」
僕は飛び起きました。
「でも、ベクルは僕の『番い』だもん」
僕は目を見張ります。影から出てきたイベールは僕が着たことのあるセリアンの婚儀礼の衣装を、ベクルがガリウスが着ていた婚儀礼の衣装を身につけています。少し緩いのはまだ上背も体躯も小さく細いからでしょう。
「番いって……」
イベールが僕を見て耳をぴんと立てました。
「おかーさんには分からないかも知れないけど、僕はベクルが生まれてきてすぐ分かっちゃったんだ。一緒にいて、林檎みたいないい匂いがしたんだよ。ベクルは僕の『番い』だから、離れちゃダメだって。ねえ、おとーさんなら分かるよね!だっておかーさんと『番い』でしょ!」
セフェムがマズルを押さえます。
「『番い』なんて王族でも一部の……ああ、俺も王族か」
『番い』が獣人族の本能なのは分かります。でも、二人とも兄弟のように育った僕の子供で……。
「おかーさんは絶対反対するよね。だから、ぎれーしきをします。ぎれーしきがちゃんと出来たら、『番い』として認められるんだよ!」
臣下の礼を取り続けるベクルの前で、僕らに背を向けたイベールが透けたベストとサルエルを脱いで裸体になりました。僕より背が高くなり、均等の取れた肢体には薄く筋肉がしなやかについています。そして尾骨には狼のふさふさの尾が少し緊張気味に揺れていました。
「イベールやめなさい!」
「やめない」
僕は寝台から出ようとしましたが、ガリウスに止められます。何度も何度も抜け出そうとしますが、ガリウスの手は緩まないのです。
イベールは尻尾をベクルの手に預けて、僕らに肛門性行がよく見えるようにし、サルエルを寛げたベクルの陰茎に香油を塗っています。まだ半勃ちの亀頭はガリウスの陰茎よりも細く張り出しも少ないのですが、やはり長いし太いのです。
「頑張ってね、ベクル」
亀頭に小さな唇をつけてぺろと舐めるイベールの幼い淫靡さに、ベクルの陰茎が勃起し、イベールは片膝立ちのベクルの陰茎に跨りました。
既に肛門は性交出来るように解してあるのでしょう。桃色の綺麗な窄みは薬で滑り、陰茎を飲み込んでいきます。あんか小さな窄まりに太い陰茎が入り込んでいく。それを僕は見ていました。
「う……ん、ん、ん……」
まだ生え揃わないベクルの陰毛がイベールの尻尾に当たり止まります。ベクルの陰茎がイベールの直腸に収まりました。
「おかーさんに認めてもらうんだから。ね、ベクル」
「はい、兄上」
ベクルが片手でイベールの腰を掴み、上下に揺らしながら抽送をします。獣人族の婚儀礼は、番いが精を出すまで終わりません。ベクルは緊張しているのか動きがぎこちなく、イベールはベクルに抱きつき、ベクルの上で腰をくねらせています。
「うっ、ああっ……兄上っ、出る……っ」
ベクルが深く腰を進めて硬直します。イベールの肛門周りが何度もひくつき、イベールがベクルの右肩と首筋の間を噛みました。
「うっ……」
「血も甘いね。おかーさん、知ってる?『番い』の体液は甘いんだよ」
……知りません、です。僕は子供たちの交合を……性行為を目の当たりにしていて混乱して身動きできません。
「これで許し……きゃんっ!」
「兄上、まだ許されていません」
ベクルが両膝を揃えて膝立ちし、イベールの肛門にさらに深く腰を押し込んだのです。
「さ、さ、さっきより、奥っ、やあっ、きゃ……んあーーーっ!」
イベールがベクルのベストにしがみついて弓なりに背を反らせて綺麗な眉を寄せました。
「中、中に、はまってる!やだ、やだ、お腹、ぼこってしてるーー!やああっ!気持ちいいよう、気持ちいいよう!おかーさんとおとーさんとちちうえが見てるのにー!ああああんっ!」
イベールの陰茎から精液が飛び散りますが、ベクルは我を忘れたように腰を打ちつけています。
「いっちゃう、中でもいっちゃうようっ!きゃあ……あああんっ!」
何度も快楽に痙攣しているイベールは、口角に唾液の泡を付けて崩れそうです。ベクルは手に入れた悦楽に我を失っているみたいで、ガリウスが僕を確保しながら立ち上がりました。そしてベクルを横から抱きしめます。
「もう、分かった。許す!ベクル、止めろ」
ベクルは真っ赤になって少し泣き顔のまま、静液をイベールの直腸に出してから頷きます。
「はあっ、はあっ、はあっ!きゅう……ん……」
「いっ……抜けません」
イベールは耳を下げて肩で息をつきながら、自分の身体に起こる付随痙攣に震えて、ベクルはイベールから陰茎が引き出せずに呻いています。
「痙攣が止まらないな、セフェム来てくれ」
イベールの肛門は初めての快楽に引き絞り気味になり、ベクルの陰茎が抜けないのです。
「セフェム、肛門括約筋痙攣です。イベールの肛門周りをマッサージして下さい」
「分かった。大丈夫だ、イベール」
冷静になった僕はセフェムにお願いして、イベールの肛門括約筋を押しながら柔らかくしてもらい、多分結腸口に入り込んでいる亀頭当たりを皮膚越しに触れます。
「あ、あ、あ!おかーさん、触らないっ……で!きゃあああんっ!」
イベールが感じて力を入れます。僕は床に降りてベクルに声を掛けます。
「ベクル、腰を引いて」
軽い絶頂で緊張と体内振動し、結腸口に入り込んでいた亀頭が抜けて、緊迫が解けた肛門から陰茎が出ると、ベクルの亀頭は青黒くなっています。かなり締め付けていたようです。まだイベールの直腸の中は伸縮を繰り返し、精液が床にボトボトと垂れ、ガリウスが二人を小脇に抱えると温泉に投げ入れました。
「身体を洗って出てくるように。タオルと羽織着は俺とタークのものを使え」
と言います。
「タークは寝台にいろ。俺は床を拭くから、セフェムはフェンナにお茶を用意させてくれ」
ガリウスはそのあと無言で床を拭いて、ソファに座るとセフェムと来たフェンナがお茶を出してくれます。イベールがベクルに抱っこされて寝室に戻って来ると、僕もソファに連れて行かれ、ガリウスの腕に座ります。隣にはセフェムがいます。
「儀礼式は番いに精を出すまでだろう?ベクル、何故あんな無茶をした」
セフェムが首を傾げながらベクルに聞いてきます。ベクルはイベールと目を見合わせてから、
「許された儀礼式ならば、です。セリアンの書物には、許されない婚姻のための儀礼式が載っていました。婚儀礼を初交合とし、参加している者全ての同意を得るまで交合を続けなくてはなりません。過去に精を受ける側の伴侶が、認められるまで長時間交合し続け胎や腸が破れ亡くなる事例もありました。だから私は反対をしたのですが、兄上は譲らなくて。そこで魔法模擬戦で進退を掛けたのですが兄上に負けてしまい……」
とベクルが話してくれました。だからイベールはムキになっていたし、ベクルは苦い顔をしたのですか。もし許されなければ……あのまま許されるまで肛門性行を続けなくてはならず、直腸穿孔など起こして死に至り、ベクルもまた命を断つつもりだったのかもしれません。
「イベールの気持ちは分かりました。イベールのように獣の血を持つものは、その本能に抗えません。しかし、ベクルはどうなのですか?」
僕はガリウスの腕の上でお茶を飲みながら聞きました。イベールが同じ宿り木から捥がれた兄ではないと知った時の表情が忘れられないのです。
「私はずっと兄上と一緒に育ちました。だから兄上と一緒にいることが当たり前で、王になり伴侶を横にと言われてもよく分からなかったのです。母上に兄上が同じ木の兄弟ではないと告げられ、繋がりが絶たれたような気がしました」
「で、でも、ベクルは僕の番いだよ!繋がりは……」
イベールがベクルの膝でベクルの腕を叩きます。ベクルはそんなイベールの頭を撫でてながら答えます。
「だからマナリングで繋がりを持ちました。母上達には内緒にしていましたが、マナを深めるために何度か口付けをしました。その唾液の甘さに私は兄上が番いだと知りました。母上もセフェム殿と父上と双方の番いですよね」
「えっ!ガリウスとは……」
「互いに体液の甘さを感じるのは、ガルド神の寵愛を受ける『魂の番い』です。獣人族は感じ取る能力が強いだけで、人にもあるのですよ。ユミルの祖の書物にありました」
ぐううっ……子供に言い負けました。
「俺は、イベルとベクルは大丈夫だと思う。ただ、ゆくゆくイベルは俺の跡を継いで近衛隊長としてベクル側仕え騎士も兼ねてもらう」
セフェムが言います。
「俺も異論はない。命を掛けた婚儀礼見事だった」
ガリウスも認めています。僕はまだ複雑です。しかし、ずっと一緒で幸せだったんだから、これからも一緒で幸せでしょう。そうですよね、ガルド神様。
「認めますよ。では、ガルド神様の御神託に掛けて……」
「おかーさんが認めたんなら、ガルド神様も認めてくれるよ。ガルド神様は、おかーさんに甘々だから」
とイベールがやっと天真爛漫な笑顔を見せました。
「ベクル、いんけーとこーもんってすごいねえ。僕、こんなに気持ちいいこと初めてだったよ。また、沢山交合してね。僕、おかーさんみたいになりたいんだ」
「ちょっと待ってください、イベール。あなたの中で僕の認識は……」
イベールは耳をピンと立てて、
「おとーさんとちちうえとずっとらぶらぶで、いっぱい交合してていっぱい子供がいて、ずっと幸せなおかーさん。僕ね、おかーさんみたいなおかーさんになりたいんだ」
なんて答えます。らぶらぶ……ですか。ナファあたりが教えたんでしょうね。
「イベール、なれますよ。ベクルと一緒なら、ずっと幸せですね」
ベクルをタイタン国王にするガルド神様の御神託に掛けた時、銀杯には一妃イベールと既に刻まれていて、ガルド神様の僕への甘々に、子供たちから失笑すら出ていたのは、僕のせいではないです。
時を待たずして行われた結婚式は、高級貴族を招き王宮神殿で行われました。イベールからベクルの指に指輪をはめ、誓いの口づけをしますが長すぎて、トラムさんが咳払いするおまけ付き。
さすがに王城内を馬車で……はなく、下町の全ての食堂飲食が夜通し無料のお振舞いがあり下町は賑わいました。
ベクルは赤の軍服に、イベールは白のチュニックにレースベールを長く引き、貴族は純白の装いに驚き、伴侶の純白での嫁しが流行することに一役買いました。
そして婚儀の後、久々に全員集まった子供たちに僕はゆっくり会いたくて、子供部屋に行き扉を少し開けますと、
「え、じゃあ、ナファは?交合してるの、ボルテくんと?」
イベールの声がします。
「伴侶だから、それは致しますよ。ボルテ様は真っ赤になりながら寝台の中で逃げ回りますけれど。後半は僕の技巧で腰が抜けてますね。感じやすいのか、いきすぎて失禁することもたびたびです」
ん、ナファ?なんの話ですか。
「ベクル、腰が抜けるなんて、僕婚儀礼の時だけだよ」
「では、今晩から頑張ります」
「逃げるのは、ジュスト様も同じでしてよ。わたくし何度ジュスト様を組み敷いたやら」
「え!ギリアちゃん、ジュストくんに乗るの?」
「ええ。母様たちが教えてくださった、きじょーいですね。ジュスト様は精を漏らしそうになると、一つ目に涙を一杯溜めて出させて欲しいと懇願なさるのですわ。それが可愛らしくて」
「ふわあああ、ギリアちゃん大人ー。ファビちゃんは?」
「あたしは、まだまだ、無理無理!一緒にいてくれるだけでいいんだー」
「ティン、忙しいもんね。家令長だもん。今年も三人入って来てるよね。下町の壁の子供が」
「うん、うちのリストランテでも一人雇ってみたよ。長続きしてくれないかな」
「で?レームはまだつまみ食いばっかり?」
「おう。俺はまだ運命って奴に出会ってないから。ともあれ、俺の妹をどーして母上は作ってくれないんだ!俺は今から抗議に行く!妹を可愛がりたい!ギリア姉上みたいに妹まみれになりたい!」
「うふふ、妹も弟も可愛いわよ、レーム」
「くやしいーー!」
がおおーんとレームの遠吠えが聞こえ、僕は数ミリ開いた扉を閉めてしまいました。妹……まだ、考えていたのですか、それ。僕はふーっとため息をついて、兄弟の猥談を聞いたショックを抱えたまま、一階に戻りました。
ギガス国のジュスト様にはタイタン国の王族ギリアが、ユミル国のボルテ様にはタイタン国の王族ナファが伴侶として嫁します。そうなると本来なら国の結びつきのために、ベクルにはギガスかユミルから伴侶をもらうのですが、ベクルはそれを断固拒否しました。
二月末の卒業式・終了式の後ひと月学舎はおやすみになります。僕は体調を崩して寝込んでいました。久々の寝台釘付けで、セフェムとガリウスが寝台の横にいてくれます。気力の補助のためです。
セフェムより気力の高いガリウスは、ボルテ様の副王即位の段取りに連日ユミル国で、久々の休日でした。
「二人ともすみません」
僕は寝台に寝転んだまま謝ります。
「いい骨休みだ。タークの世界のぶらっくきぎょうのようであったぞ、俺は」
なんてガリウスが知らないのに知識だけで話します。
「ガリィ、なんだそれ」
セフェムとガリウスに挟まれて、セフェムは座って剣を磨いていて、ガリウスは本を読んでいます。
ゆったりとした昼下がり、僕は寝台で食事を取り、時間がゆっくりと過ぎていきます。うとうとしていると、セフェムに揺り起こされました。いつもなら人の気配で起きるのに、この二人と一緒ですとうっかりしてしまうのです。
「ベクル、どうした」
ガリウスの声に目が覚めました。
「お休みのところを申し訳ございません、父上、母上」
ベクルの声がします。寝転んだまま横目で見ると、ベクルはイベールを連れて臣下の礼を取っています。親子でこんなふうに礼を取るなんて……。
「兄上を……伴侶にしたく思います。他には誰もいりません。そうお願いしたく参りました」
……は?
「何を言っているのです!あなたたちは……きょう……だい」
僕は飛び起きました。
「でも、ベクルは僕の『番い』だもん」
僕は目を見張ります。影から出てきたイベールは僕が着たことのあるセリアンの婚儀礼の衣装を、ベクルがガリウスが着ていた婚儀礼の衣装を身につけています。少し緩いのはまだ上背も体躯も小さく細いからでしょう。
「番いって……」
イベールが僕を見て耳をぴんと立てました。
「おかーさんには分からないかも知れないけど、僕はベクルが生まれてきてすぐ分かっちゃったんだ。一緒にいて、林檎みたいないい匂いがしたんだよ。ベクルは僕の『番い』だから、離れちゃダメだって。ねえ、おとーさんなら分かるよね!だっておかーさんと『番い』でしょ!」
セフェムがマズルを押さえます。
「『番い』なんて王族でも一部の……ああ、俺も王族か」
『番い』が獣人族の本能なのは分かります。でも、二人とも兄弟のように育った僕の子供で……。
「おかーさんは絶対反対するよね。だから、ぎれーしきをします。ぎれーしきがちゃんと出来たら、『番い』として認められるんだよ!」
臣下の礼を取り続けるベクルの前で、僕らに背を向けたイベールが透けたベストとサルエルを脱いで裸体になりました。僕より背が高くなり、均等の取れた肢体には薄く筋肉がしなやかについています。そして尾骨には狼のふさふさの尾が少し緊張気味に揺れていました。
「イベールやめなさい!」
「やめない」
僕は寝台から出ようとしましたが、ガリウスに止められます。何度も何度も抜け出そうとしますが、ガリウスの手は緩まないのです。
イベールは尻尾をベクルの手に預けて、僕らに肛門性行がよく見えるようにし、サルエルを寛げたベクルの陰茎に香油を塗っています。まだ半勃ちの亀頭はガリウスの陰茎よりも細く張り出しも少ないのですが、やはり長いし太いのです。
「頑張ってね、ベクル」
亀頭に小さな唇をつけてぺろと舐めるイベールの幼い淫靡さに、ベクルの陰茎が勃起し、イベールは片膝立ちのベクルの陰茎に跨りました。
既に肛門は性交出来るように解してあるのでしょう。桃色の綺麗な窄みは薬で滑り、陰茎を飲み込んでいきます。あんか小さな窄まりに太い陰茎が入り込んでいく。それを僕は見ていました。
「う……ん、ん、ん……」
まだ生え揃わないベクルの陰毛がイベールの尻尾に当たり止まります。ベクルの陰茎がイベールの直腸に収まりました。
「おかーさんに認めてもらうんだから。ね、ベクル」
「はい、兄上」
ベクルが片手でイベールの腰を掴み、上下に揺らしながら抽送をします。獣人族の婚儀礼は、番いが精を出すまで終わりません。ベクルは緊張しているのか動きがぎこちなく、イベールはベクルに抱きつき、ベクルの上で腰をくねらせています。
「うっ、ああっ……兄上っ、出る……っ」
ベクルが深く腰を進めて硬直します。イベールの肛門周りが何度もひくつき、イベールがベクルの右肩と首筋の間を噛みました。
「うっ……」
「血も甘いね。おかーさん、知ってる?『番い』の体液は甘いんだよ」
……知りません、です。僕は子供たちの交合を……性行為を目の当たりにしていて混乱して身動きできません。
「これで許し……きゃんっ!」
「兄上、まだ許されていません」
ベクルが両膝を揃えて膝立ちし、イベールの肛門にさらに深く腰を押し込んだのです。
「さ、さ、さっきより、奥っ、やあっ、きゃ……んあーーーっ!」
イベールがベクルのベストにしがみついて弓なりに背を反らせて綺麗な眉を寄せました。
「中、中に、はまってる!やだ、やだ、お腹、ぼこってしてるーー!やああっ!気持ちいいよう、気持ちいいよう!おかーさんとおとーさんとちちうえが見てるのにー!ああああんっ!」
イベールの陰茎から精液が飛び散りますが、ベクルは我を忘れたように腰を打ちつけています。
「いっちゃう、中でもいっちゃうようっ!きゃあ……あああんっ!」
何度も快楽に痙攣しているイベールは、口角に唾液の泡を付けて崩れそうです。ベクルは手に入れた悦楽に我を失っているみたいで、ガリウスが僕を確保しながら立ち上がりました。そしてベクルを横から抱きしめます。
「もう、分かった。許す!ベクル、止めろ」
ベクルは真っ赤になって少し泣き顔のまま、静液をイベールの直腸に出してから頷きます。
「はあっ、はあっ、はあっ!きゅう……ん……」
「いっ……抜けません」
イベールは耳を下げて肩で息をつきながら、自分の身体に起こる付随痙攣に震えて、ベクルはイベールから陰茎が引き出せずに呻いています。
「痙攣が止まらないな、セフェム来てくれ」
イベールの肛門は初めての快楽に引き絞り気味になり、ベクルの陰茎が抜けないのです。
「セフェム、肛門括約筋痙攣です。イベールの肛門周りをマッサージして下さい」
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と言います。
「タークは寝台にいろ。俺は床を拭くから、セフェムはフェンナにお茶を用意させてくれ」
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とベクルが話してくれました。だからイベールはムキになっていたし、ベクルは苦い顔をしたのですか。もし許されなければ……あのまま許されるまで肛門性行を続けなくてはならず、直腸穿孔など起こして死に至り、ベクルもまた命を断つつもりだったのかもしれません。
「イベールの気持ちは分かりました。イベールのように獣の血を持つものは、その本能に抗えません。しかし、ベクルはどうなのですか?」
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「えっ!ガリウスとは……」
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ぐううっ……子供に言い負けました。
「俺は、イベルとベクルは大丈夫だと思う。ただ、ゆくゆくイベルは俺の跡を継いで近衛隊長としてベクル側仕え騎士も兼ねてもらう」
セフェムが言います。
「俺も異論はない。命を掛けた婚儀礼見事だった」
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「認めますよ。では、ガルド神様の御神託に掛けて……」
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「おとーさんとちちうえとずっとらぶらぶで、いっぱい交合してていっぱい子供がいて、ずっと幸せなおかーさん。僕ね、おかーさんみたいなおかーさんになりたいんだ」
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イベールの声がします。
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ん、ナファ?なんの話ですか。
「ベクル、腰が抜けるなんて、僕婚儀礼の時だけだよ」
「では、今晩から頑張ります」
「逃げるのは、ジュスト様も同じでしてよ。わたくし何度ジュスト様を組み敷いたやら」
「え!ギリアちゃん、ジュストくんに乗るの?」
「ええ。母様たちが教えてくださった、きじょーいですね。ジュスト様は精を漏らしそうになると、一つ目に涙を一杯溜めて出させて欲しいと懇願なさるのですわ。それが可愛らしくて」
「ふわあああ、ギリアちゃん大人ー。ファビちゃんは?」
「あたしは、まだまだ、無理無理!一緒にいてくれるだけでいいんだー」
「ティン、忙しいもんね。家令長だもん。今年も三人入って来てるよね。下町の壁の子供が」
「うん、うちのリストランテでも一人雇ってみたよ。長続きしてくれないかな」
「で?レームはまだつまみ食いばっかり?」
「おう。俺はまだ運命って奴に出会ってないから。ともあれ、俺の妹をどーして母上は作ってくれないんだ!俺は今から抗議に行く!妹を可愛がりたい!ギリア姉上みたいに妹まみれになりたい!」
「うふふ、妹も弟も可愛いわよ、レーム」
「くやしいーー!」
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【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。
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