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4章

90 愛おしい世界※

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 この日を境に僕は動けるようになり、車椅子ではなく自分の足で覚束ない状態ですが、なんとか歩くことができるようになり、神降しをしてから丸一年ほどかけて自由に動けるようになりました。

 今日はセフェムと、イベールを連れてドワフ国に行くのです。

 イベールは異世界転生人の僕と同じで、心臓の裏にマナを溜める心胞がありません。だからマナが溜まりません。僕はガリウスとセフェムのマナ文字を刻んだ指輪で常に供給されています。イベールの為に指輪を作ってもらう為に、ドワフ国の今生こんじょうの父に会いにいくのです。

「では、行ってきますね」

 僕はタイタンの色柄のチュニック、イベールはセリアンの色柄のチュニック、セフェムはセリアンの軍服です。既に先触れの連絡はしてあり、今日向かうことも許可されています。

 ベクルがついて来たそうにしていますが、ガリウスに止めてもらいました。

「複写陣解放。魔法陣展開、転移」

 僕とセフェムとイベールは金の光に包まれ、深緑の森の小さな国の王城の前に出ます。王城が城壁門の替りをし、そこから国に入るのです。小人族の衛士さんが僕とセフェムを見て驚きながら礼をとります。

「ドワフ王に会いに来ました」

 僕はイベールの手を引き、久しぶりのドワフ王城に入りました。賑やかですね。また子供が増えているようです。セフェムはなんとか入れますが、ガリウスは無理そうな天井の高さですね。

「父上、お久しぶり……です」

 工房にいた今生の父が妙に若返っていました。父上はセフェムとイベールを見て、

「何の用だ」

と低い声で言います。

「はじめまして、おじーちゃん。僕はイベールです。おかーさんと同じ指輪が欲しくて来ました」

 イベールがぺこりとおじぎをします。

「お、おじーちゃん?」

 父上の声が上擦ります。

「おかーさんのおとーさんは、おじーちゃんだよね?僕、間違えたのかなあ」

 イベールが耳を伏せて僕を見ますが、父上は明らかに表情が崩れました。なんだか嬉しそうです。

「イベールか、イベールと言うのか」

「うん、おじーちゃん。おかーさんの初めての子供なんだよ。僕にはね、四人の兄弟姉妹がいるんだよー」

「そうか、そうか」

 なんて話しながら意気投合し始めています。

 母上が奥から出て来て、四人の小さな小人の子供達を連れています。母上すらなんだか若返っていました。

「ターク、ああ、無事で」

「はい。ガリウスにもセフェムには良くして貰っています」

 えーっと、子供が増えましたね。

「母上、父上もご健勝で」

 聞いてみますと、僕がタイタン国へ行き、僕が複写陣により魔法陣を使うたびマナが吸い出され、そのたびにマナを充填するサイクルが細胞を活性化したようでした。

 コボルトのお爺様も元気そうで、王族はマナを定期的に使い切る方が良いとの言葉は、ナファの仮説と同じです。つまり王族はマナを使う方が寿命が長くなるわけです。

 母上はユミルでの一件を知っていました。

「あなたが招れ人でガルド神恩寵を受ける子なのは分かりました。でも、あなたはわたくしの子です。たまには顔を見せなさい」

 今生の母上に言われた僕は泣きそうになります。こみ上げるものがある。なんでしょう。

「おかーさん、おじーちゃんに指輪貰ったよ!」

 イベールが転がるように走って来て僕に抱きつき、指輪の入る木箱を手渡します。そんな、そんな簡単に出来る指輪ではないはずです。すると父上が髭を撫でながら、

「お前の伴侶であるそこの元セリアン王は、お前との子をなしたが、お前の子なら同じように指輪が必要かもしれないと、二組を無理やり作らされてな、預かっていたのだ」

セフェムがうんうんと頷き、マズルの先を掻きます。僕は涙が溢れてしまい、セフェムに抱っこされ、思わずマズルキスを繰り返しました。

「ターク、はしたないですよ」

 四人の小さな男女の子に囲まれた母上に窘められ降ろされますと、イベールが母上をじっと見つめてから、ぺこりとおじきをしました。

「おばーちゃん、こんにちは。僕、イベールです。おばーちゃんはおかーさんと同じで美人だから、僕すぐに分かっちゃった」

 イベールの挨拶に驚いた母上は僕とイベールを見比べてから、イベールをぎゅっと抱きしめました。

「まあ、あなたがタークの初めての子なのですね。タークによく似てとても綺麗な良い子ね」

 母上がイベールの頭を撫でます。僕似のイベールの頭を撫でて褒めているのです。綺麗で良い子だと……。イベールも小柄で手足は細く、小人族の中では華奢な方なのに。

「ありがとう、おばーちゃん。あのね、おばーちゃん。僕、五人の兄弟姉妹のおにーちゃんなんだよ」

「では、連れていらっしゃいな。わたくしも会いたいわ。イベール、こちらでお菓子はいかが?」

 小さな子供達に囲まれて、イベールは居間から母上の宮に向かい、父上は役目は終わったと工房に行ってしまいます。

「相変わらず素っ気ないな。でも、タク、愛されてる。うん 、愛されてるぞ」

 セフェムの言葉に嬉しくて胸が詰まりそうな気持ちになり、僕はセフェムと手を繋ぎながら反対側の子供部屋の一角、僕の部屋に案内しました。

 多分あの小さな子の一人が入るだろう僕の部屋はまだ残されていて、明るい日差しがよく入る寝台にセフェムを座らせました。

 本棚には僕が錬成した植物紙の束を綴じた本や、神殿から借りた書物があります。僕は本当に外へ出られない子だったのです。小さく痩せて見苦しい子供、日に何度も倒れ、寝台にいることの多い役立たずの王子。僕は僕自身をそう考えていました。

 でも、でも、愛されていました、愛されているのです。

「セフェム、セフェム、交合してください。今すぐ欲しいのです」

 どうしたらこの胸の疼きを解放出来るのか、僕は座っているセフェムのズボンを下げようとしました。

「タク、タク!別の国ではマズい」

「ドワフも僕の国です!可愛い伴侶がおねだりしているのに、ダメですか?」

 上目遣いに見上げると、セフェムがいそいそとズボンを緩めて包皮から陰茎を出してくれました。

 勃起しても長いから反り返ることはないけれど、みっしりとした肉感があり、僕は頬擦りをしてから亀頭を口に入れて舐めます。

「タク、急にどうした?」

 僕は性急に舐めてから長い陰茎に塗り薬を薄く伸ばしてから、ズボンと下着を脱ぎ捨てると、チュニックのまま抱き上げてもらったセフェムの膝の上に座りました。

「んっ……心が疼いて……」

 セフェムはマズルキスをすると、僕の肛門に陰茎を押し当てます。潤んだ肛門に陰茎はすんなり入りそのままぐっと奥に入ります。

「ふああ……長くてお腹がいっぱい……」

 結腸口を超えてぐるりと大腸を一周する陰茎を、僕の腰を掴んで上下させることで移動させ、僕は背骨を走るぞくぞくとした悦楽の中で腰を振ってしまいました。

「気持ちいい、気持ちいいです。もっと強くっーーーひっ!」

 亀頭球が肛門に入り込みそして引き出され、ぼこっぼこっとお腹の中に響きます。それが気持ち良すぎて、セフェムの服にしがみ付いて、

「あ、あ、あ、出ちゃいますっ!服、服にっ!」

と我慢が出来ず射精をしてしまうと、チュニックの中に手を入れ、セフェムが手で受け止めてくれました。

「あ、あああ~~っ……ぅんっ」

 腸内がじわりじわりと熱くなり、セフェムの精液を感じます。疼きが収まり、セフェムがマズルキスをしてくれ、僕はセフェムの舌を口の中に入れて舐めます。

「タ、タ、ターク兄上がっ!ターク兄上があっ!うわああああああ!」

 ……弟のイエット……の声ですね。

「知り合いか?」

「弟です……。まさか見られていたのですか?」

「キスだけだが、交合しているのは分かったかもな」

 セフェムがゆっくりと陰茎を出して行きます。

「ん、ん、ん……あっ……んっ」

 腸内が震えて痙攣するように感じ入り、僕は息を吐きました。

「タク、色っぽい。役得だな」

「馬鹿……」

 僕はセフェムの横でズボンをはいて身支度をします。セフェムも陰茎を包皮にしまいズボンをなおしました。セフェムの膝の上に座って、持って帰ろうと考えている私物のことを話していましたら、

「あ、いたいた、おかーさん、おとーさん」

と何故か銀狼さんになっていたイベールが子供達に追いかけられながら飛び込んできます。

「どうしたのですか、イベール」

「おばーちゃんがね、みんなに会いたいんだって。ねえ、ちちうえにお話ししてよ」

 僕は小人の子供達に囲まれ動揺しながら、遠言の魔法陣を使うことになりました。





 ドワフ国の本気を見せつけられたのはこの日が初めてです。
 王城門と王城の間に大きな幕屋が建てられ、床には幾重の布が敷かれます。篝火が幻想的な世界を織り成し、この日タイタン王族がドワフの庭に結集したのです。

「お招きいただき光栄です。ドワフ王の義理父上ちちうえ

 ガリウスの低く静かな声がドワフに響き、脇座に座る父が杯を上げました。

「我が子タークの伴侶たるタイタンの王に杯を!」

「杯を!」

 僕らも杯を上げます。久しぶりの蜂蜜酒です。子供達は蜂蜜水を飲んで驚いています。

「おじーちゃん、おばーちゃん、ベクルとナファとレーム、それからギリアとファビだよ。みんな僕の兄弟なんだ」

 イベールが髭の長い父上に兄弟姉妹を紹介して、何故か父上の膝に座っています。父上も満更ではない表情ですが、そこはイエットの席……いえ、よしましょう。息子より孫ですか?

 イエットは父上の横でセフェムを睨んでいて、ピィに窘められています。

「世継ぎの君の機嫌が悪い」

 ガリウス目敏いです。

「タクとの交合を見られた」

 セフェム、黙ってください。

 ガリウスが片眉を上げてから、

「セフェムは今宵夜警だったな。ターク、女装だ」

 ……そう来ましたか。いいですよ、僕は今心がふわふわしているから、許しちゃいます。

「うぇ?ずるい!夜警を変わってもらう。なあなあ、いいだろ、ガリィ。タクのひらひらなんて滅多に……」

「どちらでもいいですよー」

 僕の目の前では父上が孫に囲まれ、イエットがロキに絡まれ、母上がソニンティアム様とテハナ・マグリタと話しています。

 手伝いにと着いて来てくれたティンが僕の弟達に囲まれ、可愛く着飾ったファビが一緒です。近頃は一緒に食べ歩きをしたり、フェンナと三人で料理をしたりと仲良しです。ギリアはピィとピィの伴侶!の貴族の女の子とコスメの話しをしていて、もう、これは円満ではないでしょうか。







 そして、三年後ーーーー。

 僕の記憶と知識を受け継いだ三人は、内外で大活躍をしています。

 ガリウスは一回目の僕に影響され知識に引かれ、治世と国整備を、ナファは三回目の僕の知識を受け継ぎ、利便性や機能を重視して、レームは二回目の僕の治安維持や警備機能について傾倒しています。

 ギガス国はともかくユミル国では、まだ僕らの治世に不満がある貴族も多いから、暴動に備えて治安維持を最優先に警ら隊を育成しています。

 ガリウスにお願いして、ユミル国王都の手前の荒地にガルド神を降ろしたオーディトラム神殿を大移動陣で動かし、僕は錬成陣を使いまくり学術都市を作りました。

 僕の陣はガルド神様からの複写なので、今生の人々にマナ迷惑を掛けていません。でも、複写陣を出す時は自分のマナですので、ガリウスとセフェムには指輪から充電して貰っています。

 タイタン国に一番近い学術都市は学問を学びたい者に門戸を広げ、王立魔法学舎は王族や貴族、マナを多く持つものが二年間学ぶ学舎です。

「学長のガリウス・ユミル・タイタンだ。マナを強く持つ者は、力を自覚し、よく学ぶことだ。王族もそれにしかり」

 ガリウスは巨人族の祖ユミルの名を受け継ぎ、全巨人族の長として挨拶をしました。

 入学した学生には転移腕輪が渡され、自身の家や屋敷から転移して学舎に来られます。

「学舎の規約に沿わぬ行動を成した場合は、腕輪にマナを吸われ学舎から放逐される。それを心に留めよ」

 緊張感漂う入学式を終え、まだ二十人ばかりの学生さんを前にして僕は教壇に立ちました。僕とガリウス、セフェム、ロキ、ソニンティアム様の子供達、巨人族、小人族、獣人族、妖精族の王族子弟や高級貴族の子供達が集まる中、

「おはようございます。僕はターク・タイタン。あなた達の担任です。担当教科は王政学と魔法陣学です。二年間よろしくお願いします」

と僕は告げました。

 僕の夢は、今、これからです!



 ーーー本編 終了


 このたびはご高覧ありがとうございました。本編は終了です。終章の日常編はリクエストなど視点変更やショートストーリーになります。
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